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二章 巫女の舞
26.レナとアミル-2
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レナとアミルの話が盛り上がっている中、ルルティアはお昼ご飯の準備をするために先に部屋を抜け出した。
往診が忙しいとヌイはすぐに食事を抜いてしまうので、レナの診察をわざとお昼時にしてヌイのために食事を用意することにしていた。
昼食の準備をしていると、空中をトテトテとバズが歩いてきてルルティアを見てニャアと鳴いた。
バズに続いてすぐにアミルもやってくる。
「もう終わったの?」
「あぁ。話も終わったし、あの兄さんがレナの診察をするって言うんで出てきた」
「そう、今日はありがとう。お礼ってほどじゃないけどお昼ごはん食べてって」
「お、助かる。あんたが作ったのか?」
アミルは並べる前の皿からヒョイと一つつまんで口に放り込んだ。
「うん、うまい」
「もう、お行儀悪いよ」
ルルティアが料理を並べると、アミルは食べながらいちいち大げさなくらいに、うまい、うまい、と絶賛していた。
細く見えてもさすが男の人らしく、あっという間にお皿は空になった。
「ふー、ごちそうさん。うまかったよ」
「大したものじゃないのに大げさだよ」
「いや、いつもは店の隅でまかないを食っているからさ。こうやって誰かに家で料理を作ってもらって食べるなんて久しぶりだ」
しみじみした言い方がなんだか気になってアミルを見つめると、アミルも目を細めてルルティアを見つめ返してきた。
ルルティアは少し気恥ずかしくなって頬が熱くなる。
「あんた、良い姉さんなんだな」
「えー、そうかな?」
「あぁ。レナはあんたのことずっと褒めていたよ」
「レナの方が可愛くて賢い自慢の妹だけどね」
「ふ……そうか」
アミルが夜空色の目を柔らかく細めてあまりにも優しく微笑むので、ルルティアはアミルをまっすぐ見ることができなくなり下を向いた。
(レナのことを思ってそんな優しい顔をするの……?)
ルルティアはそんな風に考えてしまって、レナに対してなんだか申し訳ない気がして胸がツキンと痛くなった。
アミルが食べ終えた食器を下げて帰り支度をする。
ひとしきりルルティアと遊んでバズも満足したのか、ニャと鳴いてアミルの肩まで駆け上がるとポンと消えた。
「そういえば今日の課題でやったんだけど、精霊の愛し子はいつもいるわけじゃなくて、しばらく現れない時期が続いてから現れることもあるんだって」
ふぅん、とアミルが腕を組んで考える。
「そういえばあれから何度か一体化を試してみたんだよな。んで、一体化するとバズの力をいつもより使えるようになるし、身体も回復して元気になる。とりあえず、何かの役に立ちそうだから色々訓練してみてる」
「へー」
たださ……とアミルが意味深に笑う。
「一体化するとその後がちょっと困るんだよな」
「困る?」
あぁ、とうなずいてからチョイチョイと指を曲げてルルティアを呼び寄せると耳元でささやいた。
「一体化すると勃っちゃう」
「た……」
アミルの言葉の意味を理解した瞬間、ルルティアの顔にボッと一気に熱が集まる。
そういえばパウさまが一体化は子作りのためにすると言っていた。
それならば一体化するとそうなるのは当たり前なのかもしれない。
(それにしたって、わざわざ言わなくても良いじゃない!)
こうやってルルティアが動揺するからよけいにからかってくるってわかっているのに、いちいち反応してしまうのが悔しかった。
ルルティアは真っ赤になった頬をふくらませてアミルをにらんだ。
アミルはそんなルルティアを見てニヤリと口の端をあげた。
「この前みたいに、あんたの手で抜いてくれる?」
「……!!」
アミルが流し目をしながらあやしく笑う。
抜く、の意味がわからなかったけれど、アミルが指を輪っかにして上下に動かしていたので、多分そういうことなんだろう。
恥ずかしくて忘れようとしていたのに、アミルにしたあれこれがまざまざと思い浮かぶ。
ルルティアは両手で顔をおおうとその場にしゃがみこんだ。
「もうヤダ……!」
「何? 今度は口でしてくれんの? 大胆だな」
「え?」
ルルティアが顔を上げると、身体を曲げてのぞきこむようにしていたアミルの股間部分がちょうどルルティアの目の前にあった。
往診が忙しいとヌイはすぐに食事を抜いてしまうので、レナの診察をわざとお昼時にしてヌイのために食事を用意することにしていた。
昼食の準備をしていると、空中をトテトテとバズが歩いてきてルルティアを見てニャアと鳴いた。
バズに続いてすぐにアミルもやってくる。
「もう終わったの?」
「あぁ。話も終わったし、あの兄さんがレナの診察をするって言うんで出てきた」
「そう、今日はありがとう。お礼ってほどじゃないけどお昼ごはん食べてって」
「お、助かる。あんたが作ったのか?」
アミルは並べる前の皿からヒョイと一つつまんで口に放り込んだ。
「うん、うまい」
「もう、お行儀悪いよ」
ルルティアが料理を並べると、アミルは食べながらいちいち大げさなくらいに、うまい、うまい、と絶賛していた。
細く見えてもさすが男の人らしく、あっという間にお皿は空になった。
「ふー、ごちそうさん。うまかったよ」
「大したものじゃないのに大げさだよ」
「いや、いつもは店の隅でまかないを食っているからさ。こうやって誰かに家で料理を作ってもらって食べるなんて久しぶりだ」
しみじみした言い方がなんだか気になってアミルを見つめると、アミルも目を細めてルルティアを見つめ返してきた。
ルルティアは少し気恥ずかしくなって頬が熱くなる。
「あんた、良い姉さんなんだな」
「えー、そうかな?」
「あぁ。レナはあんたのことずっと褒めていたよ」
「レナの方が可愛くて賢い自慢の妹だけどね」
「ふ……そうか」
アミルが夜空色の目を柔らかく細めてあまりにも優しく微笑むので、ルルティアはアミルをまっすぐ見ることができなくなり下を向いた。
(レナのことを思ってそんな優しい顔をするの……?)
ルルティアはそんな風に考えてしまって、レナに対してなんだか申し訳ない気がして胸がツキンと痛くなった。
アミルが食べ終えた食器を下げて帰り支度をする。
ひとしきりルルティアと遊んでバズも満足したのか、ニャと鳴いてアミルの肩まで駆け上がるとポンと消えた。
「そういえば今日の課題でやったんだけど、精霊の愛し子はいつもいるわけじゃなくて、しばらく現れない時期が続いてから現れることもあるんだって」
ふぅん、とアミルが腕を組んで考える。
「そういえばあれから何度か一体化を試してみたんだよな。んで、一体化するとバズの力をいつもより使えるようになるし、身体も回復して元気になる。とりあえず、何かの役に立ちそうだから色々訓練してみてる」
「へー」
たださ……とアミルが意味深に笑う。
「一体化するとその後がちょっと困るんだよな」
「困る?」
あぁ、とうなずいてからチョイチョイと指を曲げてルルティアを呼び寄せると耳元でささやいた。
「一体化すると勃っちゃう」
「た……」
アミルの言葉の意味を理解した瞬間、ルルティアの顔にボッと一気に熱が集まる。
そういえばパウさまが一体化は子作りのためにすると言っていた。
それならば一体化するとそうなるのは当たり前なのかもしれない。
(それにしたって、わざわざ言わなくても良いじゃない!)
こうやってルルティアが動揺するからよけいにからかってくるってわかっているのに、いちいち反応してしまうのが悔しかった。
ルルティアは真っ赤になった頬をふくらませてアミルをにらんだ。
アミルはそんなルルティアを見てニヤリと口の端をあげた。
「この前みたいに、あんたの手で抜いてくれる?」
「……!!」
アミルが流し目をしながらあやしく笑う。
抜く、の意味がわからなかったけれど、アミルが指を輪っかにして上下に動かしていたので、多分そういうことなんだろう。
恥ずかしくて忘れようとしていたのに、アミルにしたあれこれがまざまざと思い浮かぶ。
ルルティアは両手で顔をおおうとその場にしゃがみこんだ。
「もうヤダ……!」
「何? 今度は口でしてくれんの? 大胆だな」
「え?」
ルルティアが顔を上げると、身体を曲げてのぞきこむようにしていたアミルの股間部分がちょうどルルティアの目の前にあった。
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