【R18/完結】猫は魚を食べちゃいたい(※性的な意味で)〜愛され巫女の運命の番は美形で意地悪な吟遊詩人〜

河津ミネ

文字の大きさ
26 / 89
二章 巫女の舞

26.レナとアミル-2

しおりを挟む
 レナとアミルの話が盛り上がっている中、ルルティアはお昼ご飯の準備をするために先に部屋を抜け出した。
 往診が忙しいとヌイはすぐに食事を抜いてしまうので、レナの診察をわざとお昼時にしてヌイのために食事を用意することにしていた。

 昼食の準備をしていると、空中をトテトテとバズが歩いてきてルルティアを見てニャアと鳴いた。
 バズに続いてすぐにアミルもやってくる。

「もう終わったの?」

「あぁ。話も終わったし、あの兄さんがレナの診察をするって言うんで出てきた」

「そう、今日はありがとう。お礼ってほどじゃないけどお昼ごはん食べてって」

「お、助かる。あんたが作ったのか?」

 アミルは並べる前の皿からヒョイと一つつまんで口に放り込んだ。

「うん、うまい」

「もう、お行儀悪いよ」

 ルルティアが料理を並べると、アミルは食べながらいちいち大げさなくらいに、うまい、うまい、と絶賛していた。
 細く見えてもさすが男の人らしく、あっという間にお皿は空になった。

「ふー、ごちそうさん。うまかったよ」

「大したものじゃないのに大げさだよ」

「いや、いつもは店の隅でまかないを食っているからさ。こうやって誰かに家で料理を作ってもらって食べるなんて久しぶりだ」

 しみじみした言い方がなんだか気になってアミルを見つめると、アミルも目を細めてルルティアを見つめ返してきた。
 ルルティアは少し気恥ずかしくなって頬が熱くなる。

「あんた、良い姉さんなんだな」

「えー、そうかな?」

「あぁ。レナはあんたのことずっと褒めていたよ」

「レナの方が可愛くて賢い自慢の妹だけどね」

「ふ……そうか」

 アミルが夜空色の目を柔らかく細めてあまりにも優しく微笑むので、ルルティアはアミルをまっすぐ見ることができなくなり下を向いた。

(レナのことを思ってそんな優しい顔をするの……?)

 ルルティアはそんな風に考えてしまって、レナに対してなんだか申し訳ない気がして胸がツキンと痛くなった。

 アミルが食べ終えた食器を下げて帰り支度をする。
 ひとしきりルルティアと遊んでバズも満足したのか、ニャと鳴いてアミルの肩まで駆け上がるとポンと消えた。

「そういえば今日の課題でやったんだけど、精霊の愛し子はいつもいるわけじゃなくて、しばらく現れない時期が続いてから現れることもあるんだって」

 ふぅん、とアミルが腕を組んで考える。

「そういえばあれから何度か一体化を試してみたんだよな。んで、一体化するとバズの力をいつもより使えるようになるし、身体も回復して元気になる。とりあえず、何かの役に立ちそうだから色々訓練してみてる」

「へー」

 たださ……とアミルが意味深に笑う。

「一体化するとその後がちょっと困るんだよな」

「困る?」

 あぁ、とうなずいてからチョイチョイと指を曲げてルルティアを呼び寄せると耳元でささやいた。

「一体化すると勃っちゃう」

「た……」

 アミルの言葉の意味を理解した瞬間、ルルティアの顔にボッと一気に熱が集まる。

 そういえばパウさまが一体化は子作りのためにすると言っていた。
 それならば一体化するとそうなるのは当たり前なのかもしれない。

(それにしたって、わざわざ言わなくても良いじゃない!)

 こうやってルルティアが動揺するからよけいにからかってくるってわかっているのに、いちいち反応してしまうのが悔しかった。
 ルルティアは真っ赤になった頬をふくらませてアミルをにらんだ。
 アミルはそんなルルティアを見てニヤリと口の端をあげた。

「この前みたいに、あんたの手で抜いてくれる?」

「……!!」

 アミルが流し目をしながらあやしく笑う。

 抜く、の意味がわからなかったけれど、アミルが指を輪っかにして上下に動かしていたので、多分そういうことなんだろう。
 恥ずかしくて忘れようとしていたのに、アミルにしたあれこれがまざまざと思い浮かぶ。
 ルルティアは両手で顔をおおうとその場にしゃがみこんだ。

「もうヤダ……!」

「何? 今度は口でしてくれんの? 大胆だな」

「え?」

 ルルティアが顔を上げると、身体を曲げてのぞきこむようにしていたアミルの股間部分がちょうどルルティアの目の前にあった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした

鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、 幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。 アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。 すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。 ☆他投稿サイトにも掲載しています。 ☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。

主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?

玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。 ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。 これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。 そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ! そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――? おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!? ※小説家になろう・カクヨムにも掲載

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...