【R18/完結】猫は魚を食べちゃいたい(※性的な意味で)〜愛され巫女の運命の番は美形で意地悪な吟遊詩人〜

河津ミネ

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五章 アミルの想い

72.アミルの想い-1

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 洞窟の天井に開いた穴からは陽が差し込んでキラキラと光っている。
 アミルはルルティアを後ろから抱きしめて、噛みついて赤くなってしまった首筋をペロペロと舐めていた。
 舌の動きがくすぐったくて気持ち良くて、ルルティアは中にあるモノをキュウと締めつけてしまう。
 そのたびにアミルはグリグリと塗りこめるように何度も腰を押しつけた。

 ルルティアの耳に、ザザ、と波の音が聞こえてきた。
 互いを求めるのに夢中で周りの音なんて聞こえてなかった。
 顔を上げると洞窟の外では元気に鳥が鳴いている。
 アミルがルルティアをギュッと抱きしめて静かな声で言った。

「ルー、俺にできることなら何でもする。だから、もし子どもができたら産んで欲しい」

「あ……こども」

 そうか、もしお腹の中に放たれた子種が実を結べばこのお腹にアミルとの子が宿るかもしれないのか、とルルティアはやっとそのことに思いいたる。
 ルルティアは震える手でゆっくりとお腹をなでてから、ふり返ってアミルに尋ねた。

「ずっと一緒にいてくれる?」

「あたりまえだ」

 間髪入れずにアミルが答えた。

「もう、あんたと離れるなんて考えられない。あんたのこと離せるわけない」

 アミルはようやく中に埋めていたモノをズルリと取り出した。
 抜いた勢いでボタボタと子種が白い砂浜に落ちる。
 ルルティアの敏感になった身体は、そんな小さな刺激にも反応してしまった。

「んんん」

 ビクビクと小さくけいれんしているルルティアを、アミルが向かい合う形になるように抱き直す。
 おでこを付けると夜空色の目が朝焼け色の目をまっすぐに見つめた。

「もう二度とあんたを離さないし、誰にもわたさない」

「うん、嬉しい」

 ルルティアが目を細めて微笑んだ。
 そして力が入らない身体をくたりとアミルに預けた。

「……でもアミルはどこかに帰らなくて良いの?」

「あぁ。全部ちゃんと説明する」

 ルルティアの背中を優しくなでながら、アミルは話し始めた。


 *****


 アミルは長い長い自分の話をルルティアに語って聞かせた。

 いつか姉ナビーラと共にラムールに帰りたいと願っていたこと。
 その夢はもう叶わないこと。
 そして死なないことが復讐になるとそれだけを考えて、ただ死なないためだけに生きてきたこと。

「ノウスの父親は蛇の愛し子で、皇帝の座を狙ったメトゥスに殺された。生きている時は同じ精霊の愛し子同士として俺の父親と知り合いだったらしい。何度か会ったことがあって、その頃にナビーラと会ったこともあったんだってさ」

「アミルは王子さまだったんだよね?」

「あぁ。守る国ももう無いけど」

 アミルは口の端を上げて自嘲気味に笑いながら肩をすくめた。

「メトゥスを倒した後の話として、ノウスにラムールの地を治めないかって話もされた。でもラムールの地はこれまでノウスが上手に統治していたし、今さら俺が戻っても争いが増えるだけだ。俺はリュートを弾くぐらいしかできない」

「アミルは歌も上手いよ」

「はは、そうか? ま、俺は人の上に立つなんてガラじゃないよ」

 そう言って笑うアミルの顔はなんだかスッキリしたようでとてもまぶしかった。
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