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五章 アミルの想い
73.アミルの想い-2
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アミルはあっという間に色んな人を魅了してしまう才能があるので、案外王様も向いているんじゃないかとルルティアは少しだけ思ったけれどそれは黙っておいた。
「ただどこからでもずっと見張っているからなってノウスに言ったら、ナビーラの名にかけてラムールの民の幸せを約束するってさ」
「アミルはこれからどうするの?」
「わからない。でもあんたと一緒にいたい」
膝の上に乗るルルティアを抱きしめなおしてルルティアの顔をのぞきこむ。
「俺はあんたと一緒にいるためなら何でもするよ、ルー。……なぁ、ルルティア」
アミルが声のトーンを変えて真面目な顔をしてルルティアの名を呼んだ。
「俺とずっと一緒にいてくれるか?」
「ふふ、私が先にアミルにお願いしたのに?」
ルルティアは嬉しくて笑いながらアミルに抱きついた。
「あのね、『運命の番』って言うんだって。私はもう一生アミルのことしか好きにならないよ」
「運命の番?」
「うん。会えば必ず惹かれ合う運命の相手のこと。精霊の愛し子には運命の番がいて、その番に会うと一体化して変化できるようになるんだってパウさまが言ってた。あと運命の番には特別な匂いを感じて目を見るとときめくんだって」
アミルもそうだった? とルルティアが頬を染めながらアミルを見つめると、アミルは夜空色の目を細めた。
「あぁ、そうだな。あんたの目と匂いは特別で、人間のふりをしているけどやっぱり海の魔物なのかなって思っていた」
「もう!」
頬をふくらませるルルティアを、アミルはハハッと笑いながら優しく髪をなでた。
「それにしても一体化は番に会うとできるようになる?」
「あぁ、うん。だって一体化は……」
子作りのためだから、と言おうとしてさすがにそれは口には出せずルルティアは口を閉じた。
急に黙ったルルティアにアミルが不思議そうにする。
「ん? 一体化は何?」
「えぇと、あの、一体化して交わって精霊の力を分け与えられるのは番だけだから?」
ごまかし……きれてない気もするが、アミルはルルティアの言葉を聞いてしばし考えこんでからボソリとつぶやいた。
「じゃあ、他のやつとシても精霊の力は分けられないのか」
「アミル、他の人とする予定があるの!?」
「へ? 違う違う!! あんただよ!!」
「私が他の人としそうってこと!?」
ルルティアの勢いに、アミルがまいったなとつぶやいた。
「いや、だって、あんたは人を助けるためならやりかねないじゃないか。俺はあんたに俺以外とそんな事をして欲しくないんだよ」
アミルが口を曲げながらプイと横を向いた。
まさか自分が他の人とそんなことをすると疑われていると思わなくて、ルルティアは目をパチパチと瞬かせた。
「アミルとしかしないよ」
「ん、俺だけにして。俺もルーだけだから」
アミルがギュッとルルティアの頭を胸にかき抱いた。
ルルティアの鼻にアミルの甘い匂いが香ってきた。
ルルティアはそれを思いきり吸い込むと、笑いながら「わかった」とつぶやいてアミルの背中に腕を回した。
「ただどこからでもずっと見張っているからなってノウスに言ったら、ナビーラの名にかけてラムールの民の幸せを約束するってさ」
「アミルはこれからどうするの?」
「わからない。でもあんたと一緒にいたい」
膝の上に乗るルルティアを抱きしめなおしてルルティアの顔をのぞきこむ。
「俺はあんたと一緒にいるためなら何でもするよ、ルー。……なぁ、ルルティア」
アミルが声のトーンを変えて真面目な顔をしてルルティアの名を呼んだ。
「俺とずっと一緒にいてくれるか?」
「ふふ、私が先にアミルにお願いしたのに?」
ルルティアは嬉しくて笑いながらアミルに抱きついた。
「あのね、『運命の番』って言うんだって。私はもう一生アミルのことしか好きにならないよ」
「運命の番?」
「うん。会えば必ず惹かれ合う運命の相手のこと。精霊の愛し子には運命の番がいて、その番に会うと一体化して変化できるようになるんだってパウさまが言ってた。あと運命の番には特別な匂いを感じて目を見るとときめくんだって」
アミルもそうだった? とルルティアが頬を染めながらアミルを見つめると、アミルは夜空色の目を細めた。
「あぁ、そうだな。あんたの目と匂いは特別で、人間のふりをしているけどやっぱり海の魔物なのかなって思っていた」
「もう!」
頬をふくらませるルルティアを、アミルはハハッと笑いながら優しく髪をなでた。
「それにしても一体化は番に会うとできるようになる?」
「あぁ、うん。だって一体化は……」
子作りのためだから、と言おうとしてさすがにそれは口には出せずルルティアは口を閉じた。
急に黙ったルルティアにアミルが不思議そうにする。
「ん? 一体化は何?」
「えぇと、あの、一体化して交わって精霊の力を分け与えられるのは番だけだから?」
ごまかし……きれてない気もするが、アミルはルルティアの言葉を聞いてしばし考えこんでからボソリとつぶやいた。
「じゃあ、他のやつとシても精霊の力は分けられないのか」
「アミル、他の人とする予定があるの!?」
「へ? 違う違う!! あんただよ!!」
「私が他の人としそうってこと!?」
ルルティアの勢いに、アミルがまいったなとつぶやいた。
「いや、だって、あんたは人を助けるためならやりかねないじゃないか。俺はあんたに俺以外とそんな事をして欲しくないんだよ」
アミルが口を曲げながらプイと横を向いた。
まさか自分が他の人とそんなことをすると疑われていると思わなくて、ルルティアは目をパチパチと瞬かせた。
「アミルとしかしないよ」
「ん、俺だけにして。俺もルーだけだから」
アミルがギュッとルルティアの頭を胸にかき抱いた。
ルルティアの鼻にアミルの甘い匂いが香ってきた。
ルルティアはそれを思いきり吸い込むと、笑いながら「わかった」とつぶやいてアミルの背中に腕を回した。
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