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1月1日 新年②
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舞衣歌がジャージに着替えている間に、シン君が買ってきた物をリビングのローテーブルに並べてくれていた。
プシュッと缶ビールを開けて一口飲むと舞衣歌は叫んだ。
「はぁ、終わったー!!」
「舞衣歌さん、お疲れさまでした」
「シン君も色々ありがとね」
「いえ。今日の昼間、すごく久しぶりに集中して勉強できました。舞衣歌さんのおかげです。ありがとうございます」
「え~、私は何もしてないよ。シン君の実力だって~」
シン君はなんだかスッキリしたような顔をして笑っていた。
シン君はボリュームたっぷりハンバーグ弁当をペロリと食べた後、お雑煮を食べ始めた。
舞衣歌もお雑煮の蓋を開けると、すまし汁に焼き餅、かまぼこ、鶏肉、しいたけ、にんじんなどが入っていた。
「このお雑煮は鶏肉とか色々入ってるけど関東風ってやつなのかな? ウチの実家はブリが入ってるヤツだったな~」
「うちはお餅となんか青い葉っぱのヤツでした」
「青い葉っぱって」
シン君の言い方が面白くてケラケラ笑うと、シン君はムキになって言い返してきた。
「ちょっと待ってください! なんか親の実家の名古屋の有名なヤツなんですよ」
シン君がスマホで何やら検索している。
「ほらこれ!」
シン君のスマホの画面には名古屋のお雑煮の写真が映っていた。
「へー、もち菜って言うんだ」
画面に映った説明によると、名古屋の雑煮は餅ともち菜とかつお節らしい。
ふと顔を上げると、舞衣歌の顔のすぐ横にシン君の綺麗な顔があった。
一緒にスマホの画面を覗いているうちに近づいていたようだ。
舞衣歌に見られていることに気づいたシン君が、舞衣歌の目を覗きこむ。
「舞衣歌さんは、普段はお酒飲まないんですか?」
「えっと、あんまり飲まないかな。あ、でもこの間、弟が二十歳になったから、今度お祝いに飲もうって約束してるよ」
そう言ってあわててシン君から離れると、舞衣歌はビールをもうひと口飲んだ。
「舞衣歌さん、俺が二十歳になったら俺とも飲んでくださいよ」
「いいよ。誕生日いつ?」
「4月7日です」
「カイさんとかあかりとかみんなで飲めたら楽しいかもね」
「……俺、舞衣歌さんと二人きりが良いです」
「え!?」
シン君が舞衣歌の目をジッと見つめる。
「あ、シン君からあげ食べる?」
舞衣歌はシン君から目をそらして、先ほど買ったからあげをシン君に薦めた。
「いえ、いらないです」
シン君は舞衣歌の手をギュッと握った。
舞衣歌が驚いてシン君の顔を見ると、シン君は舞衣歌の顔から目をそらさずにゆっくりとその顔を寄せてきて、二人の鼻が触れ合いそうなくらいに近づいた。
「舞衣歌さん、キスして良いですか?」
舞衣歌の目を覗き込んだままシン君がつぶやくと、その熱い吐息が舞衣歌の唇に触れた。
「ダメ? 舞衣歌さん……」
「え、いや、そんな……」
「舞衣歌さん……」
シン君が熱のこもった声で舞衣歌の名前を呼ぶたびに頭の奥がしびれてきて、舞衣歌はすぐに観念した。
「ん……シン君、目つぶって?」
シン君が目をつぶる。
白い肌の上に長い茶色いまつ毛が綺麗に並び、あまりの美しさに舞衣歌は見惚れてしまった。
「舞衣歌さん……?」
目をつぶったのに何も起こらない事に焦れて、シン君が舞衣歌の名を呼ぶ。
舞衣歌はシン君の頬にチュッと軽くキスをした。
「舞衣歌さん!!」
シン君は目を開けると、怒ってそのまま舞衣歌を押し倒した。
プシュッと缶ビールを開けて一口飲むと舞衣歌は叫んだ。
「はぁ、終わったー!!」
「舞衣歌さん、お疲れさまでした」
「シン君も色々ありがとね」
「いえ。今日の昼間、すごく久しぶりに集中して勉強できました。舞衣歌さんのおかげです。ありがとうございます」
「え~、私は何もしてないよ。シン君の実力だって~」
シン君はなんだかスッキリしたような顔をして笑っていた。
シン君はボリュームたっぷりハンバーグ弁当をペロリと食べた後、お雑煮を食べ始めた。
舞衣歌もお雑煮の蓋を開けると、すまし汁に焼き餅、かまぼこ、鶏肉、しいたけ、にんじんなどが入っていた。
「このお雑煮は鶏肉とか色々入ってるけど関東風ってやつなのかな? ウチの実家はブリが入ってるヤツだったな~」
「うちはお餅となんか青い葉っぱのヤツでした」
「青い葉っぱって」
シン君の言い方が面白くてケラケラ笑うと、シン君はムキになって言い返してきた。
「ちょっと待ってください! なんか親の実家の名古屋の有名なヤツなんですよ」
シン君がスマホで何やら検索している。
「ほらこれ!」
シン君のスマホの画面には名古屋のお雑煮の写真が映っていた。
「へー、もち菜って言うんだ」
画面に映った説明によると、名古屋の雑煮は餅ともち菜とかつお節らしい。
ふと顔を上げると、舞衣歌の顔のすぐ横にシン君の綺麗な顔があった。
一緒にスマホの画面を覗いているうちに近づいていたようだ。
舞衣歌に見られていることに気づいたシン君が、舞衣歌の目を覗きこむ。
「舞衣歌さんは、普段はお酒飲まないんですか?」
「えっと、あんまり飲まないかな。あ、でもこの間、弟が二十歳になったから、今度お祝いに飲もうって約束してるよ」
そう言ってあわててシン君から離れると、舞衣歌はビールをもうひと口飲んだ。
「舞衣歌さん、俺が二十歳になったら俺とも飲んでくださいよ」
「いいよ。誕生日いつ?」
「4月7日です」
「カイさんとかあかりとかみんなで飲めたら楽しいかもね」
「……俺、舞衣歌さんと二人きりが良いです」
「え!?」
シン君が舞衣歌の目をジッと見つめる。
「あ、シン君からあげ食べる?」
舞衣歌はシン君から目をそらして、先ほど買ったからあげをシン君に薦めた。
「いえ、いらないです」
シン君は舞衣歌の手をギュッと握った。
舞衣歌が驚いてシン君の顔を見ると、シン君は舞衣歌の顔から目をそらさずにゆっくりとその顔を寄せてきて、二人の鼻が触れ合いそうなくらいに近づいた。
「舞衣歌さん、キスして良いですか?」
舞衣歌の目を覗き込んだままシン君がつぶやくと、その熱い吐息が舞衣歌の唇に触れた。
「ダメ? 舞衣歌さん……」
「え、いや、そんな……」
「舞衣歌さん……」
シン君が熱のこもった声で舞衣歌の名前を呼ぶたびに頭の奥がしびれてきて、舞衣歌はすぐに観念した。
「ん……シン君、目つぶって?」
シン君が目をつぶる。
白い肌の上に長い茶色いまつ毛が綺麗に並び、あまりの美しさに舞衣歌は見惚れてしまった。
「舞衣歌さん……?」
目をつぶったのに何も起こらない事に焦れて、シン君が舞衣歌の名を呼ぶ。
舞衣歌はシン君の頬にチュッと軽くキスをした。
「舞衣歌さん!!」
シン君は目を開けると、怒ってそのまま舞衣歌を押し倒した。
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