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14.そして、ねたばらし-2

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「ずっとマリエルに相談されていたので協力してあげたんですよ。コーヘイの気持ちも知っていたので、いいかなと思いまして」

 ゴードンがローブの中で小さく肩をすくめる。

「それにもし本当に嫌だったら、コーヘイなら今みたいに逃げられるでしょう?」

「それじゃあやっぱり魔法かける意味なかったんじゃねーの?」

 アランがゴードンのローブをさらにぐいと引っ張るのを、ゴードンが迷惑そうに払いのけた。

「あの魔法はマリエルの背中を押すためのものですよ。あれくらいお膳立てしてあげれば、マリエルでも押し倒せるかなって思ったんです。それくらいしないと間に合わなくなって、コーヘイが元の世界に帰る羽目になりそうですし。それにヘタレのコーヘイがマリエルを口説き落とすのを待っていたら、いつになるかわからないじゃないですか」

「ぼ、僕はヘタレなんかじゃないし!」

 コーヘイが真っ赤な顔をしてゴードンに抗議する。
 魔王との繋がりが切れたコーヘイはいつ元の世界に戻されるかわからず、一刻も早く誰かと繋がりを持たなくてはいけなかったのは確かだ。

「それにしてもさ、魔王との繋がりを残しておくためだからって、魔王を倒すまで童貞でいろってほんとヒドイ話だよね」

 召喚時に魔王と無理矢理繋がされたおかげで、コーヘイには魔王のいる場所や感情などがなんとなくわかるようになっていた。
 魔王を討伐するまでは魔王との繋がりを残し続けるよう、コーヘイは他のものと繋がりを持つ行為、つまりセックスを禁止されていた。

「もう、一刻も早く脱童貞したくて魔王討伐がんばっちゃったよね」

「脱童貞のために倒されるなんて、魔王も哀れなヤツだな」

「そもそもこの世界に召喚すること自体が酷い話なんですが」

「ま、ね。でもそれはイイんだよ。僕、あのままだったら向こうの世界で死んでたから」

 むしろコーヘイにしてみればあの時自分は一度死んで、この世界に転生したようなものだと思っている。
 九歳の時から十年間もこちらの世界で過ごしているのだ。
 今さら元の世界に戻っても馴染める気はしない。
 それに元の世界の実の親たちは、ほとんど病院にも見舞いに来なかった。
 コーヘイがこの世界に来て懐かしんだのは、親よりもよっぽど優しくしてくれた医者や看護師たちだった。
 ふいにコーヘイが顔を上げた。

「あっと、マリエルが起きそう。そろそろ戻らないと」
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