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Sortie-02:騎士たちは西欧より来たりて
第七章:背中合わせのエレメント/01
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第七章:背中合わせのエレメント
その大きな翼を広げた黒翼たちが、茜色に染まった空を背にしながら降りてくる。
二機がほぼ横並びになって緩く下降し、多少機首を上向きに上げながら、展開した主脚タイヤを滑走路に触れさせる。滑走路のアスファルトと接触したタイヤがキュッと甲高いスキール音を立てると、タイヤから一瞬だけ白煙が吹き出す。
長大なアスファルトの路面、陽炎揺れる滑走路に真新しいタイヤ痕を刻みながら、再び地上へと――――この蓬莱島の滑走路へと戻ってきた二機の≪グレイ・ゴースト≫。アリサと翔一、そして宗悟とミレーヌがそれぞれ乗り込んだ二機の黒翼が滑走路上でその動きを一旦止め、そのまま脇の誘導路を通ってゆっくりとエプロンに戻っていく。
「あー……神経使いっ放し、流石に疲れたわ……」
「お疲れ、アリサ」
エプロンに駐機したゴーストがキャノピーを開き、機首に格納されていた簡易ラダー(はしご)も展開して。そうして翔一が疲れ気味のアリサと一緒に機体から降りていくと、隣では同じように宗悟とミレーヌの二人もゴーストから降りてきていた。
「おう、お疲れアリサちゃん」
「二人とも凄かったじゃないか。正直、僕が想像していた以上だ」
そんな二人が、アリサたちの方に近づきながら気さくに話しかけてきてくれる。アリサはそれに「アンタたちもね」と微かな笑みで返し、
「相手が相手だから、多少覚悟はしていたけれど……そんなモンじゃなかったわ。手加減だとか、様子を見るだとか、そんな馬鹿みたいなことを考えている余裕もなかった。流石は『風の妖精』ね、伊達じゃないわ」
「へへっ、そんなに褒めてもなーんにも出ねえぜ?」
「宗悟から出るものといえば、この減らず口ぐらいなものだよ」
「良いじゃねえかよミレーヌ、コイツが俺の良いトコロなのさ」
「…………ま、そこに関しては僕も否定できないかな」
「相変わらずだな、この二人も」
「いつものことよ、翔一。アタシはもう慣れたわ」
ミレーヌたちのやり取りを少し遠巻きな位置で眺めつつ、苦笑いをする翔一にアリサがフッと肩を竦めて返す。
――――模擬戦だが、結果的にあの一戦のみで時間切れとなってしまった。
というのも、あまりにも決着が付かなさすぎたのだ。実力が均衡しているが故なのか、互いに一歩も引かぬ全力勝負の結果……ああして真正面からの対決で引き分けになった直後、一時間のタイムリミットを迎えてしまったというワケだ。
だから、勝負の結果はアリサたちと宗悟たちは完全に引き分け。当然、そんな奇妙な結果に収まるなんてお互い思ってもみなかった。だからこそ、こうして互いに健闘を称え合っているというワケだ。
「おおーい! オメーらさっさと格納庫に機体戻せやぁーっ!!」
二人と二人、四人でそうして互いのゴーストを背後にエプロンに突っ立って健闘を称え合っていると。すると遠くから大股でこっちに近づいてくる南が、何やら翔一たちに叫んでいる。
とはいえ、その言葉の中身はちょっと変だ。事前の手筈では確か、翔一たちイーグレット隊のパイロット四人はこのエプロンで機体を降りて。その後、格納庫に機体を戻したりだとかの後片付けは全て、南たち整備班が担うはずだったのだが……?
「えー? ちょっと南、アンタがやっといてくれるんじゃあなかったの?」
「そうしてやりてえのは山々なんだけどよ、アリサちゃん。お前さんらが使ってた空域にな、この後クロウ隊の連中が入れ違いで訓練に上がるんだよ。それも十二機フルでだ。俺も含めて整備の連中、その準備やらで手いっぱいなんだわ」
「全機上がるのか? それは随分と、大所帯というか何というか……」
感心したような、少し困惑気味なような。そんな翔一の言葉に南が「まあな」と腕組みをしながら頷く。
「ぶっちゃけ、お前さんらの世話もやってやれなくはない。ないが……出来れば、格納庫への移動ぐらいはやっといてくれると助かるんだわ。タイミングの悪りいことに、整備班にも今チョイと何人か欠員が出ちまってて、マジに人手不足だからよ……」
「そういうことなら、僕らは構わないけれど……アリサ、それに翔一くん。君たちはどうかな?」
「ん? まー……良いわよ、別にそれぐらい。移動させて、いつものトコに置いておくだけで良いんでしょう?」
「おう、後のメンテは俺たち専門家に任せてくれよ。悪いなアリサちゃん、それにオメーらも。後で珈琲ぐらい奢るわ」
「そこまで気を遣う必要なんかないわよ、それぐらい。……ねえ、翔一?」
「かもな。つまりはただの車庫入れなんだから」
「何にせよ、そういうことで頼んだぜオメーら! 俺はちょっとマジに忙しいからよ!!」
南は言うだけ言って、最後にそれだけを告げると……すぐさま何処かへと走り去って行ってしまった。
まあ、そういうことなら仕方ない。原因は知らないが……ただでさえ欠員が出て人手不足な状況下で、十二機全部を一度に空へ上げなきゃならないのだ。別にそう大した手間でもないし、機体の移動ぐらいはやっておいてやっても良いだろう。
とにもかくにも、そういうことになり。翔一たちは再度、自分たちの≪グレイ・ゴースト≫に乗り込み。機体をいつもの地下基地の格納庫へと収めるべく、地下に続くエレヴェーターに向かって再び機体をタキシングさせ始めた。
その大きな翼を広げた黒翼たちが、茜色に染まった空を背にしながら降りてくる。
二機がほぼ横並びになって緩く下降し、多少機首を上向きに上げながら、展開した主脚タイヤを滑走路に触れさせる。滑走路のアスファルトと接触したタイヤがキュッと甲高いスキール音を立てると、タイヤから一瞬だけ白煙が吹き出す。
長大なアスファルトの路面、陽炎揺れる滑走路に真新しいタイヤ痕を刻みながら、再び地上へと――――この蓬莱島の滑走路へと戻ってきた二機の≪グレイ・ゴースト≫。アリサと翔一、そして宗悟とミレーヌがそれぞれ乗り込んだ二機の黒翼が滑走路上でその動きを一旦止め、そのまま脇の誘導路を通ってゆっくりとエプロンに戻っていく。
「あー……神経使いっ放し、流石に疲れたわ……」
「お疲れ、アリサ」
エプロンに駐機したゴーストがキャノピーを開き、機首に格納されていた簡易ラダー(はしご)も展開して。そうして翔一が疲れ気味のアリサと一緒に機体から降りていくと、隣では同じように宗悟とミレーヌの二人もゴーストから降りてきていた。
「おう、お疲れアリサちゃん」
「二人とも凄かったじゃないか。正直、僕が想像していた以上だ」
そんな二人が、アリサたちの方に近づきながら気さくに話しかけてきてくれる。アリサはそれに「アンタたちもね」と微かな笑みで返し、
「相手が相手だから、多少覚悟はしていたけれど……そんなモンじゃなかったわ。手加減だとか、様子を見るだとか、そんな馬鹿みたいなことを考えている余裕もなかった。流石は『風の妖精』ね、伊達じゃないわ」
「へへっ、そんなに褒めてもなーんにも出ねえぜ?」
「宗悟から出るものといえば、この減らず口ぐらいなものだよ」
「良いじゃねえかよミレーヌ、コイツが俺の良いトコロなのさ」
「…………ま、そこに関しては僕も否定できないかな」
「相変わらずだな、この二人も」
「いつものことよ、翔一。アタシはもう慣れたわ」
ミレーヌたちのやり取りを少し遠巻きな位置で眺めつつ、苦笑いをする翔一にアリサがフッと肩を竦めて返す。
――――模擬戦だが、結果的にあの一戦のみで時間切れとなってしまった。
というのも、あまりにも決着が付かなさすぎたのだ。実力が均衡しているが故なのか、互いに一歩も引かぬ全力勝負の結果……ああして真正面からの対決で引き分けになった直後、一時間のタイムリミットを迎えてしまったというワケだ。
だから、勝負の結果はアリサたちと宗悟たちは完全に引き分け。当然、そんな奇妙な結果に収まるなんてお互い思ってもみなかった。だからこそ、こうして互いに健闘を称え合っているというワケだ。
「おおーい! オメーらさっさと格納庫に機体戻せやぁーっ!!」
二人と二人、四人でそうして互いのゴーストを背後にエプロンに突っ立って健闘を称え合っていると。すると遠くから大股でこっちに近づいてくる南が、何やら翔一たちに叫んでいる。
とはいえ、その言葉の中身はちょっと変だ。事前の手筈では確か、翔一たちイーグレット隊のパイロット四人はこのエプロンで機体を降りて。その後、格納庫に機体を戻したりだとかの後片付けは全て、南たち整備班が担うはずだったのだが……?
「えー? ちょっと南、アンタがやっといてくれるんじゃあなかったの?」
「そうしてやりてえのは山々なんだけどよ、アリサちゃん。お前さんらが使ってた空域にな、この後クロウ隊の連中が入れ違いで訓練に上がるんだよ。それも十二機フルでだ。俺も含めて整備の連中、その準備やらで手いっぱいなんだわ」
「全機上がるのか? それは随分と、大所帯というか何というか……」
感心したような、少し困惑気味なような。そんな翔一の言葉に南が「まあな」と腕組みをしながら頷く。
「ぶっちゃけ、お前さんらの世話もやってやれなくはない。ないが……出来れば、格納庫への移動ぐらいはやっといてくれると助かるんだわ。タイミングの悪りいことに、整備班にも今チョイと何人か欠員が出ちまってて、マジに人手不足だからよ……」
「そういうことなら、僕らは構わないけれど……アリサ、それに翔一くん。君たちはどうかな?」
「ん? まー……良いわよ、別にそれぐらい。移動させて、いつものトコに置いておくだけで良いんでしょう?」
「おう、後のメンテは俺たち専門家に任せてくれよ。悪いなアリサちゃん、それにオメーらも。後で珈琲ぐらい奢るわ」
「そこまで気を遣う必要なんかないわよ、それぐらい。……ねえ、翔一?」
「かもな。つまりはただの車庫入れなんだから」
「何にせよ、そういうことで頼んだぜオメーら! 俺はちょっとマジに忙しいからよ!!」
南は言うだけ言って、最後にそれだけを告げると……すぐさま何処かへと走り去って行ってしまった。
まあ、そういうことなら仕方ない。原因は知らないが……ただでさえ欠員が出て人手不足な状況下で、十二機全部を一度に空へ上げなきゃならないのだ。別にそう大した手間でもないし、機体の移動ぐらいはやっておいてやっても良いだろう。
とにもかくにも、そういうことになり。翔一たちは再度、自分たちの≪グレイ・ゴースト≫に乗り込み。機体をいつもの地下基地の格納庫へと収めるべく、地下に続くエレヴェーターに向かって再び機体をタキシングさせ始めた。
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