始める気もなかったゲームのガチャの引きが良すぎた

らふれられ

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穴蔵の底へ

だったらキットの出来で勝負だ!

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声の主の方へ振り返る。
秋葉原(まあ黄泉葉原だが)には不似合いな、わたしとどっこいの武装姿(ただし向こうは赤系統の色でのカラーコーディネートが揃っている…憎い…)で、腰には剣を下げている。
んでやっぱり女の子だった。
茶髪ロング背低胸無。
「…大分失礼な眼差しで舐め回すね…キミ」
そいつは胸あたりを手で隠しながらそう言った。何故頬を赤らめるのか。こっちも女の子なのに(少なくとも外見は)。
「いや…だってどうせ敵でしょ?流れ上」
わたしはキングオブソーズをカード状のままぴらぴら見せびらかす。
「いやいや!ショップの中でやる気かねキミ!」
「そっち次第じゃね?」
なんでそっちの方が腰引けてんだよ…つーかシチュ的にはそっちの方からの奇襲だろうが…
「いや、キミが倒すべき敵なのは変わらないんだが、思った以上に文化的な相手なのであれば話も少し変わるかと思ってね」
茶長低無(仮名)は慌てた自身を宥めるように、息を整えながらそう告げてきた。
「…キミ今またなんか失礼な事考えてなかった?」
身体特性を生かした我ながらナイスなネーミングだがひとのモノローグにまでケチをつけてくるとはやはりこいつは…敵…
「ま、まあ!話が進まないのでこちらから進めるが!キミも見ての通りこのショップでは、その青くて量産されてる心憎い機体の発売記念コンペティションが開催される!」
「はあ」
わたしも箱を手に取る。意味も無く胸が熱い…なんだろうこの感情は…
「そこでわたしとキミの勝負は、このプラモコンペで得票数の多かった方を勝ちとする形式で勝負だキミ!」
「唐突すぎる…あ、でも見た人がシール貼る系の得票数カウント自体はする形式なのね」
「もちろん。これなら一目瞭然でお店側に別途負担を掛ける事もない、完璧な勝負…!」
割と良いやつだわコイツ。
「これで勝負よ!キミ!」
「見返りは?」
「わたしが勝ったらキミは地上へ即時撤退する事!帰るのは手伝ってあげるわ。もしわたしが負けるような事があれば…その時はわたしの身柄をあなたに預ける。あなたのモノになる、でどう?」
意外にも大胆な申し出だった。どっかで卑怯な条件提示をしてきた瞬間に正面から前蹴りでも見舞ってやろうと思ったのだが。
「なるほど、身柄のやり取りとしては一対一の形になる訳だ。そっちがわたしを大勢で狙ったとしてても、このひと勝負に勝ったとしてわたしは相手を葬り去るよりは、モノ扱いでも所有権を得られる方が効率は良いしね」
「よし、決まりね」
どのみち一旦地上へ戻るのも悪くはない(手伝ってくれるらしいし)上に、あまりデメリットらしいデメリットも感じられない。まあコイツが名うてのプロモデラーとかで明らかにこちらに勝ち目無しとかなのかも知れないが。だとしてもまあ命のやり取りよりはイージーだろう。
「なに勝手な事決めてるんですか…?」
何故かマイナが過剰反応した。茶髪低無の背後に音も無く立ち、気配を察した茶髪低無がビビる。
「そういう条件ならわたしも参加しますね…いいですよね?どうせオープンなコンテストですし」
「え?…ま、まあいいけど…」
今確実に何かのフラグが立った気がしたが、まあいいだろう…最終的にマイナが勝ってくれても、要はこいつが負ければOKだろうし…
とりあえずわたしもマイナも、急に絡んできたコイツも皆んなでこの青いヤツのキットを買い終え、店員さんからコンテスト応募要項と参加用紙を手渡され…
そのままわたしは早速キットの改造案を模索する為に、流用可能な小物類のパーツを物色しに店の奥へ更に入る。
「火がつきましたね」
マイナはそんな私の背についてきたようだ。
「いや…別にそういう訳じゃないし…」
「いいじゃないですか。あ、さっきは塗装のスペースについて家の中はちょっと、って言いましたけど、外ならOKですからね。リビングやベッドルームに臭いがこもるのが嫌なだけなんで」
スケルトンがウロウロする横でプラモ塗装するのも中々にシュールな絵面だが…
「せっかくだからパワーアップパーツゴリゴリ付けて原作には無いifを楽しみましょう!もうこの一機あれば十分じゃないかな…みたいな感じで」
「ノリノリね」
「良いですよね量産機…量産機ゆえのパイロット別パーソナルカラーリングに走るも良し、雑に破壊された態のウエザリングに凝るも良し、あくまでも劇中シーンの再現を図るも良し。正に調理方法は無限…!」
マイナの表情がヤバイ。恍惚と蕩けた感じはいったい何故そこまで…感が強い。
「ちなみにあなたはどういう切り口で?まあまあ、まだ確定はさせなくても良いんですけど!こういうのはプランニングから楽しむべきですし!」
「あー…ソウダネェ…」
 色々な風景が浮かぶ。ハンガーでのメンテナンス風景は定番だろうし、戦闘情景のディオラマもアリだろう。あるいは日常風景に馴染ませるか…
「良いですねぇ、ワクワクしてる顔してますよ!…初めて見たかもですね、そういえばそんな表情」
マイナに言われて、自分がマイナとそう変わらない表情を浮かべていた事に気付かされた。
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