始める気もなかったゲームのガチャの引きが良すぎた

らふれられ

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開始記念ログボ

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何か明確な考えがあった訳でもない。
が、戦利品がわりにさっき斬り飛ばした
ドラゴンのツノを、焚き木用の枝みたいに集めて抱え、とりあえず歩き始めた。
東西南北も、日も星も分からない。
いまが昼か夜かも判然としない。
ただ、腹は減った。
しばらくは見た目も変わらぬ草原をただただ歩き続けた。
時間の感覚も希薄だった。二、三十分歩いたか、あるいは数時間歩いていたのかも知れない。
視界の果てに、家屋らしい陰が入った。
嬉しくなって小走りに走ると、建物の陰は増えた。街と言うには足りないが
村落程度という程度には家やら何やらが
連なっていた。
だがどう見ても現代家屋とは言い難い…
「まあファンタジーだよね」
木と石で築かれた家屋は、ノスタルジーを感じさせながらも、リアルに住むのは隙間風だなんだがきつそうだな、という感慨を起こさせた。
「誰?」
気を抜いていたのか、背後に小さな女の子が立っていたのに気付かなかったようだ。可愛らしい声の誰何に、
「俺は…」
「おれ?女の子なのにおかしー」
ふふっ、と笑われた。

そうだ。
俺…わたし…アタシ?
いや、わたしは女の子。
…ホントか…?
「わたしは、ついさっきその辺に急に現れたんだわ、コレが」
「あー、開始したてなんだねー」
わたしの言葉に納得したように、
その小さな女の子は愛らしく微笑み、
「ここはね、はじまりの村だよ。大体皆最初はここに来るんだ」
長い金髪に碧眼、小学校低学年くらいかという少女はまさにゲーム開始時の初会話村人のテンプレのような言葉を発した。
「お腹空いてない?大したものは無いけどパンくらいならあるよ」
「減ってます!いやーなんか申し訳ないなー」
ただの村人にしては景気の良い話だ。
緊張からの緩和もあり、急激に腹が減ったようにもわたしは思っていたからだ。
「ねー、ところで、あなたお名前は?」
少女はわたしを何処かへと誘い歩きながら、振り返りわたしの名を聞いてきた。
そうだ。
自分の名前…

なんだっけ?

この世界?に来てから妙に色々なものがフワフワしている。
自分が女?であること。
そもそも名前さえ記憶に無い…
漠然と脳の中には浮かび上がる言葉は
あるようだが…

「すきしゃぶ食べ放題一時間半、千九百八十円」
「え?」
少女は聞き返して来た。当然だろう。
「やっぱ肉の質を良くしたコースの方で二千四百八十円かな…?」
「いやー、そんな長い名前なの?」
少女は困ったような笑っているような顔で聞き返してくる。まあ当然のリアクションだわな。
「ごめん、実のところ記憶がフワフワしてて自分の名前がよく分からなくて…ちなみに今のは今すぐ食べたい店屋のコースで」
「そうなんだね。うん、自分の名前がわからない人は結構いるから…でもそれだとあなたを呼ぶ時になんて呼んだら良いかな」
「せやな」
適当に相槌を打ちながら、わたしは。
「そーいやこんな物を持ってたわ。なんか段々記憶が曖昧になって来たけど、なんか凄いアイテムのような気がする」
例の古ぼけたスペードのキングを見せた。
それを見た少女は、一瞬固まった。
「…あなたが緑龍の髭らしいのを抱えてた理由がようやく分かったよ…これはこれは久しぶりのお客様だね」
少女は最初に出会った時のように微笑んだ。
「…でも、女の子なのにキングオブソーズはちょっと呼びづらいね。クイーンオブソーズとかだったら良かったのに」
「このガラの事?これスペードのキングじゃないんだ」
「ん、でもまあ似たようなものかなぁ。まあとにかく何か食べながら話ししよう?」
少女の先導で、粗末な小屋の一つに入る。
そういえば、というかあのドラゴン戦の時に一瞬自分の着ているものまで豪華に変わったように思ったが、今の自分は例の白っぽい服を着ているだけだった。
…あと、胸がある。そこそこあるな。
違和感がある…気がする。自分自身話し方が女っぽくないようにも思うし、この異世界?に来た時点で何かあったのかもしれない。
広くもない小屋の中、テーブルと椅子がふたつ。テーブルの上には皿の上にパンが数個並んでいた。
「食べていいよ」
少女は椅子に座り、わたしにも座るよう促しながらパンを勧めてきた。
「助かる、ちょう腹減ってた」
即パンに手を付けフゴフゴと齧り始める。味気はあまりないが、焼いたばかりのようだ。
「まあ、街へ出ればもう少し良いもの食べれるよ。緑龍の髭なんてあれば、一本売るだけで一年は食べてけるだろうし」
少女はわたしが置いた、例の数本の戦利品を眺めてそう言った。
「マジで?」
「そりゃそうだよ…この世界、」

少女は一旦言葉を切り、

「ドラゴンがもうすぐ人間を滅ぼしちゃう世界なんだから」
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