始める気もなかったゲームのガチャの引きが良すぎた

らふれられ

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情報収集すればするほど雑くない?

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聞き捨てならない単語のように思えた。
「じゃ、さっきわたしが撃退した緑の憎いアイツは…」
「グリーンドラゴンはなかなかに大物だよ。最近「落ちて」くるひとたちは大抵アイツにやられてアウトだったし」
「なにその全滅不可避イベ…クソ過ぎない?」
「でもドラゴンどもだって、急に来たひとたちに「異世界から来ました。じゃあ皆死のうか」で見知らぬ相手に皆殺しにされるのもイヤだろうし。で、こっちの人間もこのまま滅ぼし尽くされるのもイヤだけど独力で万を超えるドラゴン軍団を撃退も出来ないし」
少女はどうやら相当の事情通か、もしくは運営の回し者なのだろうくらいにわたしには思えたが、いまなんかサラッとヒドイ数が聞こえたような。
「まんこぇ?」
「うん。…あ、まあそこは後々分かるとして…それはそれとして人類は異世界召喚秘法に最後の命運を託したの」

なるほど。なるほど?

「この地の王は課金の神に祈った。すると、神は課金額に応じた勇者ガチャを回す権利を王に与えた」

あれ?

「気が遠くなるような課金の末、課金の神は王にこう告げた。「うん、その、あんまりだから次はオマケしてあげるわ」見よ、課金の神は前回他の世界を救う際に回させたガチャの当たり確率を不当に下げたままにしていたのを忘れていたのである」
「それ詫び石ってレベルじゃなくない?」

少女はわたしの言葉を意図的に聞かなかったようだ。

「そして新たな勇者ピックアップが始まり、王は回した。すると…」
少女はびしっ、とわたしを指差す。
「選ばれし者のみ扱える神札を携えた、契約の書にある伝説の勇者が現れたではないか」
「運営はks」
わたしは溜息を吐きながら偽らざる心情を吐露した。
「て、まあ。それはともかく王様が居る城はあっちの方へもう少し歩くと着くよ」
少女はさっきまでのような少女らしい表情に戻って、わたしが来た方の逆を指差した。
「で。そこはきちんとした街になってるからあなたの持ってるものを換金も出来るだろうし、今言ったようにあなたは王のガチャの勇者だから、その事さえ伝えれば多分丁重に扱われるよ」
「それは助かる。ところで君は一体…」

彼女の方を振り返ると。
そこには誰もいなかった。
吹き過ぎる風の音。小鳥のさえずりだけが聞こえる。
まるで最初から誰もいなかったかのように。
「異世界…っつってもホラー寄りなとこ来ちゃったかな」
わたしは残されたパンを頬張り、飲み込むと例の龍のツノだかヒゲだかを抱えて、さっき彼女が最後に指し示した方へ歩き出した。
いつしか霧が出ていた。
昼とも夜とも判然としない…と思いながら歩いていたが。
急に足元が石畳の、人の手が入った造りに変わった。
気付くと、目の前は賑やかな市場のようであった。
売り手買い手が騒々しくやりとりをする活気は、アメ横辺りのそれに似ているようにも思えた。

「お、ねーちゃん何持ってんだい?」
野菜を売るおっさんが、緑龍のヒゲを見て、興味ありげに聞いて来た。
「ん、ああ。なんか珍しいモンらしいけどわたしにもよく分からんから、分かる人を探して、ね。」
とりあえず正体は伏せた。
まだ世界観が掴めてないのにわたしドラゴンスレイヤーだからよろしくね!は何かとリスキーに思えたからだ。
王に会えば話が進展しそうな事をあの女の子は言っていたが、果たして簡単に会える相手かと言うと…
「ね、お城ってどっちの方?」
とはいえまずはそこへ行くのが先決かとは思えた。
「お。お城へ行きたいってことは嬢ちゃんガチャ勇者か!頑張んなよー。城はそっち真っ直ぐな」
「なにその雑な感じ」
話が早くていいなと思いながらも思わず口にしていた。
「いや、次のガチャこそ救国の英雄が当たる!って触れ込みのガチャを王様が回すらしい、って噂になってたからよ。ここ四十連は全部ハズレで排出即ドラゴンのエサになったって騎士団の連中も言ってたし」
「異世界からせっかく来たのに扱い軽くない?」
排出即ドラゴンのエサという状況は考えるまでもなく自分もそうなり得ただけにまったく笑えない。
「まあまあ!そうは言ってもアンタ生きてここまで来た時点でエサにならずに済んだんだろ!すげーじゃん!…てことはあんたが持ってるその長細いのは」
「緑のトカゲ野郎を軽く撃退した時のカケラ」
「やっぱりそうか!すげえや!」
いつのまにか、野菜売りのおっさん以外の物売りやら、買いに来てた普通の市民やらもこちらのやりとりに注目、傾聴しており、この緑の長いのがドラゴンゆかりの物だと分かるとどよめきが上がった。
コール、手拍子、歓声。
わたしはこいつらノリいいな、滅ぼされそうとか嘘やろ、と思いながらも歓待されているようなのは悪い気もしなかった。
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