1 / 4
1、お話を書くおじいさん
しおりを挟む
お話を書くお仕事をしているおじいさんは、次のお話の内容を考えながら歩いていました。池に通りかかった時、カエル君が跳び出してきました。
「こんにちは、お話を書くおじいさん。ここで何をしているんだい?」
「こんにちは、カエル君。次はどんなお話にしようかと考えていたんだ」
「それなら僕のお話にすればいいよ」
カエル君はおじいさんに自分の話をしました。
水の中を華麗に泳げること、泳ぐときの気持ち良さ、陸でぴょんぴょん跳ねる時の爽快感などをたくさん。
「それはおもしろい。カエル君のお話を書くことにしよう」
おじいさんはさっそく家に帰って書き始めました。
書いている途中、おじいさんはお話の内容の一部を忘れてしまいました。もう一度カエル君に聞こうと思って池に向かっている途中、キリンさんに会いました。
「こんにちは、お話を書くおじいさん。ここで何をしているの?」
「こんにちは、キリンさん。カエル君が教えてくれたお話を書いていたんだが、途中で内容を忘れてしまってね。もう一度聞きに行くところなんだ」
「それなら私の話を書くといいわ」
キリンさんはおじいさんに自分の話をしました。
長い首のおかげで遠くまで見えることや、蹴るときの威力が強いこと、草原を駆ける時の風の気持ち良さなどをたくさん。
「それはおもしろい。キリンさんのお話を書くことにしよう」
おじいさんはさっそく家に帰って、カエル君のお話のあとに続けてキリンさんのお話を書き始めました。書いている途中、おじいさんはまたお話の内容の一部を忘れてしまいました。もう一度キリンさんに聞こうと歩いている途中、カバさんに会いました。
「こんにちは、お話を書くおじいさん。ここで何をしているんだ?」
「こんにちは、カバさん。キリンさんが教えてくれたお話を書いていたんだが、途中で内容を忘れてしまってね。もう一度聞きに行くところなんだ」
「それならわしの話を書くといい」
カバさんはおじいさんに自分の話をしました。
水の中や泥の中の気持ち良さ、水の中でも陸でも走るのが早いこと、とても力が強いことなどをたくさん。
「それはおもしろい。カバさんのお話を書くことにしよう」
おじいさんはさっそく家に帰って、キリンさんのお話のあとに続けてカバさんのお話を書き始めました。そして完成したお話は本になりました。
水の中を颯爽と泳ぎまわるカエル君が飛び跳ねたり、草を食むキリンさんが気持ちよさそうに日光を浴びながら景色を楽しんだり、泥の中でのそりと動くカバさんが凄いスピードで走ったりする、それぞれが過ごす日常の素晴らしさを生き生きと描いたお話です。最後にはみんなが互いの家族と笑い合い、幸せに過ごしている様子で終わりを迎えます。その本は、動物たちにとてもおもしろいと好評でした。
そのお話を読んだカエル君とキリンさんとカバさんは、みんなで感想を言い合いました。
「このお話は面白いね。僕が泳ぎの競争で勝ったところなんて特にいい」
「ええ、面白いわね。私が長い首で後ろを見ながら、寄ってきた不届き者を蹴り飛ばす場面なんて最高よ」
「ああ、面白いな。わしが身体を張って縄張りを守るところが特に素晴らしい」
三人はうんうん、と頷きました。
「やっぱりこのお話の主役である僕が、一番かっこよく描かれているな」
「何言っているの。このお話の主役である私が、一番美しく描かれているわ」
「何を言っておる。このお話の主役であるわしが、一番素晴らしく描かれているだろう」
三人は口論になりました。三人とも自分が主役であることを譲らず、何日も話し合いが続きました。それでも決着はつきません。そんなとき、カバさんが言いました。
「ようし、こうなったら誰が主役なのか、お話を書いたおじいさんに聞いてみようじゃないか」
「そうね。それがいいわ」
「僕も異論はないよ」
三人は、お話を書いたおじいさんに聞きに行くことにしました。
「こんにちは、お話を書くおじいさん。ここで何をしているんだい?」
「こんにちは、カエル君。次はどんなお話にしようかと考えていたんだ」
「それなら僕のお話にすればいいよ」
カエル君はおじいさんに自分の話をしました。
水の中を華麗に泳げること、泳ぐときの気持ち良さ、陸でぴょんぴょん跳ねる時の爽快感などをたくさん。
「それはおもしろい。カエル君のお話を書くことにしよう」
おじいさんはさっそく家に帰って書き始めました。
書いている途中、おじいさんはお話の内容の一部を忘れてしまいました。もう一度カエル君に聞こうと思って池に向かっている途中、キリンさんに会いました。
「こんにちは、お話を書くおじいさん。ここで何をしているの?」
「こんにちは、キリンさん。カエル君が教えてくれたお話を書いていたんだが、途中で内容を忘れてしまってね。もう一度聞きに行くところなんだ」
「それなら私の話を書くといいわ」
キリンさんはおじいさんに自分の話をしました。
長い首のおかげで遠くまで見えることや、蹴るときの威力が強いこと、草原を駆ける時の風の気持ち良さなどをたくさん。
「それはおもしろい。キリンさんのお話を書くことにしよう」
おじいさんはさっそく家に帰って、カエル君のお話のあとに続けてキリンさんのお話を書き始めました。書いている途中、おじいさんはまたお話の内容の一部を忘れてしまいました。もう一度キリンさんに聞こうと歩いている途中、カバさんに会いました。
「こんにちは、お話を書くおじいさん。ここで何をしているんだ?」
「こんにちは、カバさん。キリンさんが教えてくれたお話を書いていたんだが、途中で内容を忘れてしまってね。もう一度聞きに行くところなんだ」
「それならわしの話を書くといい」
カバさんはおじいさんに自分の話をしました。
水の中や泥の中の気持ち良さ、水の中でも陸でも走るのが早いこと、とても力が強いことなどをたくさん。
「それはおもしろい。カバさんのお話を書くことにしよう」
おじいさんはさっそく家に帰って、キリンさんのお話のあとに続けてカバさんのお話を書き始めました。そして完成したお話は本になりました。
水の中を颯爽と泳ぎまわるカエル君が飛び跳ねたり、草を食むキリンさんが気持ちよさそうに日光を浴びながら景色を楽しんだり、泥の中でのそりと動くカバさんが凄いスピードで走ったりする、それぞれが過ごす日常の素晴らしさを生き生きと描いたお話です。最後にはみんなが互いの家族と笑い合い、幸せに過ごしている様子で終わりを迎えます。その本は、動物たちにとてもおもしろいと好評でした。
そのお話を読んだカエル君とキリンさんとカバさんは、みんなで感想を言い合いました。
「このお話は面白いね。僕が泳ぎの競争で勝ったところなんて特にいい」
「ええ、面白いわね。私が長い首で後ろを見ながら、寄ってきた不届き者を蹴り飛ばす場面なんて最高よ」
「ああ、面白いな。わしが身体を張って縄張りを守るところが特に素晴らしい」
三人はうんうん、と頷きました。
「やっぱりこのお話の主役である僕が、一番かっこよく描かれているな」
「何言っているの。このお話の主役である私が、一番美しく描かれているわ」
「何を言っておる。このお話の主役であるわしが、一番素晴らしく描かれているだろう」
三人は口論になりました。三人とも自分が主役であることを譲らず、何日も話し合いが続きました。それでも決着はつきません。そんなとき、カバさんが言いました。
「ようし、こうなったら誰が主役なのか、お話を書いたおじいさんに聞いてみようじゃないか」
「そうね。それがいいわ」
「僕も異論はないよ」
三人は、お話を書いたおじいさんに聞きに行くことにしました。
0
あなたにおすすめの小説
リヤカー、駆けぬける
はまだかよこ
児童書・童話
中学入学を控えていた、 あの春の日、 僕は急に母の田舎へ行った。 そこであったことを、なつかしく思い出すのだ。 リヤカーが駆けぬけたあの日の話を聞いて下さい。
イーハトーブに虹を
安芸月煌
児童書・童話
世界の一つに、パレットという世界がありました。パレットにある国には、それぞれたった一つの色しかありません。黒の国にイーハトーブという町がありました。黒一色の町です。そこに、トトリとアリスという、子供がいました。二人は、病気になってしまったアリスのお母さんを助けるために、色を集める旅に出ます。空に、虹をかけるために――
『赤の国ロッソの町 エルドラド』
『橙の国アランシオネの町 アヴァロン』
『黄の国ジャッロの町 桃源郷』
『緑の国ヴェルデの町 エデン』
『青の国ブルの町 ニライカナイ』
『藍の国インダコの町 アトランティスと龍宮』
『紫の国ヴィオラの町 アガルタ』
トトリとアリスと猫のココ、二人と一匹は旅の先々で出会う仲間たちと一緒に困難に立ち向かい、イーハトーブに虹を駆けるために奔走します。七色の色は、無事に集まるのでしょうか――
野良犬ぽちの冒険
KAORUwithAI
児童書・童話
――ぼくの名前、まだおぼえてる?
ぽちは、むかし だれかに かわいがられていた犬。
だけど、ひっこしの日に うっかり わすれられてしまって、
気がついたら、ひとりぼっちの「のらいぬ」に なっていた。
やさしい人もいれば、こわい人もいる。
あめの日も、さむい夜も、ぽちは がんばって生きていく。
それでも、ぽちは 思っている。
──また だれかが「ぽち」ってよんでくれる日が、くるんじゃないかって。
すこし さみしくて、すこし あたたかい、
のらいぬ・ぽちの ぼうけんが はじまります。
猫の法律
秋長 豊
児童書・童話
雪がしとしと降る夜のこと。1匹の猫が川に流された。10年後、王女様が生んだばかりの娘が一晩で姿を消した。リンゴのように美しいくちびるをした女の子、という意味をこめて紅姫様と呼ばれていた。王女様は変わり果てた王様の姿を発見する。獣のように荒れ狂った王様は「お前たちがしたことを決して忘れはしない。氷の谷に来たらすべて教えてやろう。氷の谷に来なければ娘の命はない」と言う。
王女様は1人で氷の谷に向かうが、飼い猫のサリがこっそりついてきていた。しかし、寒さのあまり遭難し気を失ってしまう。目が覚めると、すべてが猫サイズの部屋の中で横になっていた。人のように歩き話す2匹の白い猫が現れて、「あなたも、娘さんも、お城に帰してあげます」という。片方の猫は一緒に来た飼い猫サリだった。
王女様は猫の国に入り込み、娘を探すために猫の王女様と対峙する――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる