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少年期
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しおりを挟むエリーザベトと分かれた後、レーヴェはハンスと顔を見合わせる。
「なあハンス。父上がわざわざ顔を出した理由がわかるか?」
「先日ん一件は全てご存知なんやろう」
「俺も同意だ」
(マズイよね。国王との対立についてはゲームで語られた以上の知識がない。駆け引きなんて知らない元日本人で立ち回っても限界が来るだろうし)
ゲームのレーヴェならば、一体どうやって乗り越えるだろう。考えてもすぐに答えは出ない。
(解釈違いだ……。こんな風にただ翻弄される弱いレーヴェは。こんなに弱い推しは推しなんかじゃない……!)
革の手袋がギチギチと鳴る。手袋がなければ、爪が食い込んでいそうなほど強く。悔しくてどうにかなりそうだった。
(ゲームの……ゲームのレーヴェはどうだった?国王との仲の悪さは触れられていた。冷遇されていることもイベントで言っていた。でもこんなふうに国王から圧力をかけられてることは知らなかった)
ゲームで述べられていないことである以上、行動の指針も見えてこない。しかし推しである以上失敗は許されないのだ。暗闇の中を手探りで進むようなものだが、だからといって立ち止まるのはレーヴェとは言えない。
(自分のスペック不足!解釈違いだ!推しならば父親からの重圧に毅然と立ち向かわなければ。そして、有能イケメン至高超絶パーフェクト最高なレーヴェのその名を国内に轟かせなければ……ランベルトに並び立つトイテンベルクの第二王子の名を)
それこそゲームのように堂々とあらねばレーヴェとは呼べない。
「ハンス、君の上司と話したい」
「な、何ば言いよーったい。俺ん上司はレーヴェやなかか」
「なにを今さら。外務卿から指示されて私の従者になったんだろう?ハンスなりに事情があるのも分かっている。責める訳じゃない」
「う……。確かに俺は外務卿ん手引きでこん国に来た恩がある。でもレーヴェば裏切るような繋がりがあるわけやなかけん、会えるよう手引きするんな楽やなか」
「まさか外務卿が善意でハンスを連れてくるわけがない。俺から話があると言えば喜ぶはずだ。なんせ私は父上に反抗する勢力の旗印にもってこいだからな。便利な傀儡だ。向こうもそのつもりでハンスを寄越してる」
ハンスは人より賢くともまだ子供だ。だから友のように感じてきたレーヴェの害になってしまう可能性があったことに気づき、歯がゆそうにする。
「レーヴェ……。分かった。話ば通しとく」
「ああ、頼む」
(さて、ゲーム通りならこれから起こるはずだ。ランベルトとレーヴェの決別の始まりが……)
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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