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イルグリット王国 魔道具編
119話 さようならケネト街 いざ行かん王都!!
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宿屋を出て、トーさんに肩車をしてもらい、高い位置から数日滞在してた街を見下ろしながら門までの道のりを家族で一緒に移動する。
「あのね、あのマルシェの中にある串焼き屋の串肉いつも買っていたんだ。たれが甘辛で美味しかったでしょ。それとね奥に珈琲のお店もあって、苦みが強めの深入り焙煎で、とても奥行きのある味わいなの。珈琲豆を買ってあるから、宿屋に付いたら入れてあげるね。門の近くにあるクレプ屋さんのバターシュガーのクレプが美味しかったの。まだ朝早いから開いてないから、帰りはトーさんも食べようね。あとね……」
私がしゃべり続けるのを、トーさんは嬉しそうにずっと相槌を打ちながら聞いてくれた。ここ数日返事が返ってこなかったことに自分でも思うより寂しかったんだって、気づかされた。帽子になってくれているウハハをなでながら笑顔で話し続けた。
門に行くと、大きな貴族様用の立派な馬車が2台あって、そこにおねーちゃんと領主さん。その隣に奇麗な金髪の女の人が居た。
トーさんに下ろしてもらい、おねーちゃんにかけよった。おねーちゃんも私の所に走ってきてくれて、きゅっと抱きしめてくれた。
「おはようおねーちゃん」
「おはようカナメ。きのうはありがとう。もうお別れなんて寂しいわ」
「帰りにトーさんに昨日食べたクレプ食べてもらいたいから、また来るね」
「本当!その時はぜひ我が家に遊びに来て。お父様!お母様!良いでしょう?」
私を抱きしめたままおねーちゃんはご領主夫妻に聞いている。
「もちろん。親子そろって我が家にお寄りください」
領主様が私とトーさんを見て笑って言ってくれる。隣の金髪の奇麗な人が私の前に膝を付き、おねーちゃんに似た優しい顔で
「クリスティーネが無事で居られたのも貴方のおかげです。ありがとう勇敢な冒険者さん」
私はくすぐったいような、恥ずかしい気持ちになり…顔が熱くなった。とっても嬉し。そんな私の頭をトーさんが優しくなでてくれる。
お別れの挨拶をしている間に、トーさんに領主さんは事件の全容を語ってくれた。
馬車に乗り込んだ後、その事を詳しくトーさんから聞いた。
どうやらミーナ嬢は元貴族、伯爵家のお嬢さんだったらしい。でも家が没落して、この街の領主で元の自分の家格よりも下の子爵家に働きに来た。働いても給金のほとんどは家族の仕送りにしなくてはいけない。キラキラときらびやかなお屋敷で、自分がとてもみじめに思ってしまった。
そんな中で、この家の少々わがままな末の娘のクリスティーネ嬢が自分が失った生活をしている事が、羨ましくて、羨ましくて、憎らしかった。
金髪碧眼の見目の良いクリスティーネ嬢に目を付けたある貴族の男の口車に乗り誘拐の手助けをしたそうだ。もちろん昨日のうちに、証拠を集め騎士団を動かし、その貴族家に乗り込んで捕縛した。子爵家なのに凄い行動力だ。
ミーナ嬢以外の害意がある気配は、誘拐しようと待ち構えていた男たちが3人ほど周りにいたそうだ。結界のおかげで近づく事も出来ず、うろうろしただけで終わった。
「クリスティーネ嬢が無事でよかった」
馬車の窓から外を見ながらカナメはポツリとこぼした言葉。トーさんが不思議そうにカナメに聞いた。
「なんかイルやアーチェの時と違って距離がある言い方だな」
私はトーさんを見る。そしてまた馬車から見える景色に目を戻す。
「甘やかされ過ぎな子は苦手なの。食べ物を大事にしない子も苦手。でも悪い子ではなかった。だからまた会うのは嫌じゃない」
大事にされて育ったから、食べれなければ残せば良いと言われ育った彼女が悪いわけではない。
でもさ…私はお腹が空いて犯罪に走って後悔した子を知っている。
公園で水を飲んで空腹をごまかしている子を知っている。
私が作ったカレーを涙を流しながら食べていた小さなあの子を知っているから……
「貴族の考え方が受け入れられなかっただけ。大丈夫。私いい歳だから本人に悟られないようには出来ていたでしょ」
トーさんはいつもと違う私の言葉に、少し眉を下げて困り顔で頭をなでてくれた。
「……そうだな」
「そうね。今度手作りのお菓子をプレゼントして食育するわ」
「ショクイク?」
「私の元の世界では、食に関する教育があったの。お残しする人にはみっちり教えなきゃネ。………そう言えばトーさん門兵さんたちに何か言われていたけど、なんだったの?」
トーさんが固まった。なんか汗がメッチャ出てるけど、何言われたの?
「ハハハハハハ。叱咤・激励って所かな」
わざとらしい笑い声でトーさんは会話を止めてしまった。変なの……まぁこの馬車メッチャ早いから夕方には着きそうだ。やっと王都♡魔道具楽しみだ。
***
街を出ようとしたとき、なぜか門兵数人に連れていかれて、
「娘さんの優しい気持ちにつけこんで、世話をかけすぎじゃないか? 」
「あんた、父親ならあんなに健気な子に、これ以上心配をかけちゃいけないだろう!」
「あの子には、自分の人生を精一杯生きてほしいんだ。まず父親として、あの子の輝く未来を守るために、あんた自身がしっかりしてくれ!」
「おい!!わかってんのか!!しっかりしろよ!父親だろ!!」
「はっはい!!えっと肝に銘じます」
凄くしっかりしろと怒られた…ごめん俺ここ数日ホント何してたんだよぉ!!!
「あのね、あのマルシェの中にある串焼き屋の串肉いつも買っていたんだ。たれが甘辛で美味しかったでしょ。それとね奥に珈琲のお店もあって、苦みが強めの深入り焙煎で、とても奥行きのある味わいなの。珈琲豆を買ってあるから、宿屋に付いたら入れてあげるね。門の近くにあるクレプ屋さんのバターシュガーのクレプが美味しかったの。まだ朝早いから開いてないから、帰りはトーさんも食べようね。あとね……」
私がしゃべり続けるのを、トーさんは嬉しそうにずっと相槌を打ちながら聞いてくれた。ここ数日返事が返ってこなかったことに自分でも思うより寂しかったんだって、気づかされた。帽子になってくれているウハハをなでながら笑顔で話し続けた。
門に行くと、大きな貴族様用の立派な馬車が2台あって、そこにおねーちゃんと領主さん。その隣に奇麗な金髪の女の人が居た。
トーさんに下ろしてもらい、おねーちゃんにかけよった。おねーちゃんも私の所に走ってきてくれて、きゅっと抱きしめてくれた。
「おはようおねーちゃん」
「おはようカナメ。きのうはありがとう。もうお別れなんて寂しいわ」
「帰りにトーさんに昨日食べたクレプ食べてもらいたいから、また来るね」
「本当!その時はぜひ我が家に遊びに来て。お父様!お母様!良いでしょう?」
私を抱きしめたままおねーちゃんはご領主夫妻に聞いている。
「もちろん。親子そろって我が家にお寄りください」
領主様が私とトーさんを見て笑って言ってくれる。隣の金髪の奇麗な人が私の前に膝を付き、おねーちゃんに似た優しい顔で
「クリスティーネが無事で居られたのも貴方のおかげです。ありがとう勇敢な冒険者さん」
私はくすぐったいような、恥ずかしい気持ちになり…顔が熱くなった。とっても嬉し。そんな私の頭をトーさんが優しくなでてくれる。
お別れの挨拶をしている間に、トーさんに領主さんは事件の全容を語ってくれた。
馬車に乗り込んだ後、その事を詳しくトーさんから聞いた。
どうやらミーナ嬢は元貴族、伯爵家のお嬢さんだったらしい。でも家が没落して、この街の領主で元の自分の家格よりも下の子爵家に働きに来た。働いても給金のほとんどは家族の仕送りにしなくてはいけない。キラキラときらびやかなお屋敷で、自分がとてもみじめに思ってしまった。
そんな中で、この家の少々わがままな末の娘のクリスティーネ嬢が自分が失った生活をしている事が、羨ましくて、羨ましくて、憎らしかった。
金髪碧眼の見目の良いクリスティーネ嬢に目を付けたある貴族の男の口車に乗り誘拐の手助けをしたそうだ。もちろん昨日のうちに、証拠を集め騎士団を動かし、その貴族家に乗り込んで捕縛した。子爵家なのに凄い行動力だ。
ミーナ嬢以外の害意がある気配は、誘拐しようと待ち構えていた男たちが3人ほど周りにいたそうだ。結界のおかげで近づく事も出来ず、うろうろしただけで終わった。
「クリスティーネ嬢が無事でよかった」
馬車の窓から外を見ながらカナメはポツリとこぼした言葉。トーさんが不思議そうにカナメに聞いた。
「なんかイルやアーチェの時と違って距離がある言い方だな」
私はトーさんを見る。そしてまた馬車から見える景色に目を戻す。
「甘やかされ過ぎな子は苦手なの。食べ物を大事にしない子も苦手。でも悪い子ではなかった。だからまた会うのは嫌じゃない」
大事にされて育ったから、食べれなければ残せば良いと言われ育った彼女が悪いわけではない。
でもさ…私はお腹が空いて犯罪に走って後悔した子を知っている。
公園で水を飲んで空腹をごまかしている子を知っている。
私が作ったカレーを涙を流しながら食べていた小さなあの子を知っているから……
「貴族の考え方が受け入れられなかっただけ。大丈夫。私いい歳だから本人に悟られないようには出来ていたでしょ」
トーさんはいつもと違う私の言葉に、少し眉を下げて困り顔で頭をなでてくれた。
「……そうだな」
「そうね。今度手作りのお菓子をプレゼントして食育するわ」
「ショクイク?」
「私の元の世界では、食に関する教育があったの。お残しする人にはみっちり教えなきゃネ。………そう言えばトーさん門兵さんたちに何か言われていたけど、なんだったの?」
トーさんが固まった。なんか汗がメッチャ出てるけど、何言われたの?
「ハハハハハハ。叱咤・激励って所かな」
わざとらしい笑い声でトーさんは会話を止めてしまった。変なの……まぁこの馬車メッチャ早いから夕方には着きそうだ。やっと王都♡魔道具楽しみだ。
***
街を出ようとしたとき、なぜか門兵数人に連れていかれて、
「娘さんの優しい気持ちにつけこんで、世話をかけすぎじゃないか? 」
「あんた、父親ならあんなに健気な子に、これ以上心配をかけちゃいけないだろう!」
「あの子には、自分の人生を精一杯生きてほしいんだ。まず父親として、あの子の輝く未来を守るために、あんた自身がしっかりしてくれ!」
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