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イルグリット王国 魔道具編
150話 お茶会と言う名の作戦会議
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バルトロメオ殿下が首をかしげて聞いてくる。
「すまない、ここに参加している者の詳細を私は把握していないのだが、貴殿は?」
「俺は、オーラシアン王国出身Aランク冒険者クロト。黒烏の暗殺者って言う二つ名の方が知られています」
トーさんが肩をすくめそう言うと、「貴殿が…あの盗賊殺しの…」と、バルトロメオ殿下が呟く。トーさんてホント有名人だな。ウィルが心配げにトーさんに目線をやる。
「黒のドラゴンは一人で対処できるような相手では……」
トーさんを気遣うウィルの言葉を手で制し、トーさんは立ったまま指を三本立てた。
「まず今回のフリムストの陰謀への対策の主な作戦が三つ、
1,魔道具のゲンムノトバリの展開阻止
2,下水道の術式と魔石の撤去
3,黒のドラゴンの対応。
ドラゴンはイルグリット王国に向けて動くよう、既にフリムストが何かしてると思うから対処が必要って所かな」
バルトロメオ殿下にガンゾウ工房の爺さんの手紙を渡してもらう。トーさんは出した指を1本立てる。
「1,はすでに技師が動いている。殿下含む王族の方々にはその手助けをお願いする。此処に居るシンはガンさんの孫でな。相手に身柄を取られると危うい立場なので、保護を。ガンさんとの繋ぎにジェニーさんを」
手紙を呼んだバルトロメオ殿下はニヤリと笑い、手紙を王様に渡し返事をした。
「相分かった」
「ふふふ、メルちゃん、メルちゃん。相変わらずガンさんは面白い事をするのう」
「ルフ様、ルフ様。本当ね。相変わらずだわ」
王族の皆さまがとっても楽しそうに笑っている。それを見てトーさんが、指を一本増やし二本立てる。
「2,は今日の夕方に全部終わらせた。そしてフリムストと下水道を繋ぐ転移陣も消失させてある。この時点でフリムストは簡単に下水道には出入り出来ない。設置されていた術式の詳細はそこでお菓子食べてる坊主に聞いてくれ。魔術回路の作成者本人だ」
そう言われ、お菓子を頬張って食べていたマルリシオ君は口の周りにクリームがたっぷりついた顔を上げる。8歳の王族がこれって良いの?呆れたウィルがマルリシオ君の顔を布で奇麗に拭いてあげる。
「マルリシオ…お前は何歳だ…」
呆れたウィルに真っ赤になりながら、マルリシオ君は話を逸らすべく魔術回路について話し出す。
「我が作った魔術回路とは、古城の地下の魔術回路の事であろうか?あれはドルマンが、魔物に一定の行動のみをさせて大人しく誘導に従う術式を設置すれば魔物が街に来なくなるから民たちも喜ぶと言ってくれて、街から離れた古い古城の地下室に6歳の頃から書き込んできたんだ。でも先日その術式が破壊されたと聞いたので、今日ドルマンたちの後をつけてコッソリ古城に術式の状態を見に来たら、我が来ている事を知らないドルマンがこちら側の転移術式を破壊して帰って行ったんだ…我は気づいたら取り残されていたのだ」
バルトロメオ殿下が額を押さえマルリシオ君に聞いてきた。
「その古城って、どこの城かを実際自分の目で確認したのかな?」
「ううん。ドルマンが古城って言っていただけだけど…」
「ドルマンと言う男が古城の地下と言った場所は我が国、イルグリット王国の下水道だったんだよ…」
バルトロメオ殿下の言葉に「え?」っと漏らし、少しずつ顔色が悪くなっていくマルリシオ君。やっと事の重大さが伝わった様だ。
「父も…国王もお前に本当のことを話さず、魔術回路の設置をさせていたみたいだ。この前報告に来たドルマンからの言葉を伝えても驚く様子が無かった……ドルマン、あいつは…もっと早くお前と離すべきだった…」
「そっ、そんな…ドルマンが我に嘘を言っていたと…そんな……」
落ち込むマルリシオ君を横目に、トーさんは続ける為、指を三本立てる。
「3,最後に黒のドラゴンの対応だが、俺一人で問題ない。黒って事は闇魔法を使うドラゴンだろ。多分俺の方が強いから」
立てた三本の指を握り込み、親指を立てて自分に向ける。相変わらず頼もしいトーさんだな。ニコニコ顔で拍手する私に、周りはおかしなものを見る目でこちらを見る。
「その動きで意見があるか?無いなら俺は、これから黒のドラゴンの方に向かうけど」
ウィルがすぐさま反論する!
「だから黒のドラゴンの単独討伐なんて、それこそ勇者や魔王でもない限り無茶だ!」
その言葉に皆が頷くが、私とトーさんはニコニコしながら、
「「じゃあ何の問題もない」ね」
同時にそう出た言葉に、マルリシオ君が冗談めかして、
「まるで自分が勇者か、魔王だって言ってるみたいじゃないか」
そう言った瞬間、視線がトーさんに集まった。トーさんは席に座っていた私を抱え上げ肩に乗せて、窓に向かう。窓の前で私たちは皆に向けてにこりと笑い、
「バルトロメオ殿、ウィルと紬木とシンの保護頼みましたよ。先ほどの答えは、そうですねこの事件が解決した暁にでもオーラシアン王国に居る聖女様に聞いてください」
「では皆さま、ごきげんよう」
そう言って私たちは窓から飛び降りて消えた。
「すまない、ここに参加している者の詳細を私は把握していないのだが、貴殿は?」
「俺は、オーラシアン王国出身Aランク冒険者クロト。黒烏の暗殺者って言う二つ名の方が知られています」
トーさんが肩をすくめそう言うと、「貴殿が…あの盗賊殺しの…」と、バルトロメオ殿下が呟く。トーさんてホント有名人だな。ウィルが心配げにトーさんに目線をやる。
「黒のドラゴンは一人で対処できるような相手では……」
トーさんを気遣うウィルの言葉を手で制し、トーさんは立ったまま指を三本立てた。
「まず今回のフリムストの陰謀への対策の主な作戦が三つ、
1,魔道具のゲンムノトバリの展開阻止
2,下水道の術式と魔石の撤去
3,黒のドラゴンの対応。
ドラゴンはイルグリット王国に向けて動くよう、既にフリムストが何かしてると思うから対処が必要って所かな」
バルトロメオ殿下にガンゾウ工房の爺さんの手紙を渡してもらう。トーさんは出した指を1本立てる。
「1,はすでに技師が動いている。殿下含む王族の方々にはその手助けをお願いする。此処に居るシンはガンさんの孫でな。相手に身柄を取られると危うい立場なので、保護を。ガンさんとの繋ぎにジェニーさんを」
手紙を呼んだバルトロメオ殿下はニヤリと笑い、手紙を王様に渡し返事をした。
「相分かった」
「ふふふ、メルちゃん、メルちゃん。相変わらずガンさんは面白い事をするのう」
「ルフ様、ルフ様。本当ね。相変わらずだわ」
王族の皆さまがとっても楽しそうに笑っている。それを見てトーさんが、指を一本増やし二本立てる。
「2,は今日の夕方に全部終わらせた。そしてフリムストと下水道を繋ぐ転移陣も消失させてある。この時点でフリムストは簡単に下水道には出入り出来ない。設置されていた術式の詳細はそこでお菓子食べてる坊主に聞いてくれ。魔術回路の作成者本人だ」
そう言われ、お菓子を頬張って食べていたマルリシオ君は口の周りにクリームがたっぷりついた顔を上げる。8歳の王族がこれって良いの?呆れたウィルがマルリシオ君の顔を布で奇麗に拭いてあげる。
「マルリシオ…お前は何歳だ…」
呆れたウィルに真っ赤になりながら、マルリシオ君は話を逸らすべく魔術回路について話し出す。
「我が作った魔術回路とは、古城の地下の魔術回路の事であろうか?あれはドルマンが、魔物に一定の行動のみをさせて大人しく誘導に従う術式を設置すれば魔物が街に来なくなるから民たちも喜ぶと言ってくれて、街から離れた古い古城の地下室に6歳の頃から書き込んできたんだ。でも先日その術式が破壊されたと聞いたので、今日ドルマンたちの後をつけてコッソリ古城に術式の状態を見に来たら、我が来ている事を知らないドルマンがこちら側の転移術式を破壊して帰って行ったんだ…我は気づいたら取り残されていたのだ」
バルトロメオ殿下が額を押さえマルリシオ君に聞いてきた。
「その古城って、どこの城かを実際自分の目で確認したのかな?」
「ううん。ドルマンが古城って言っていただけだけど…」
「ドルマンと言う男が古城の地下と言った場所は我が国、イルグリット王国の下水道だったんだよ…」
バルトロメオ殿下の言葉に「え?」っと漏らし、少しずつ顔色が悪くなっていくマルリシオ君。やっと事の重大さが伝わった様だ。
「父も…国王もお前に本当のことを話さず、魔術回路の設置をさせていたみたいだ。この前報告に来たドルマンからの言葉を伝えても驚く様子が無かった……ドルマン、あいつは…もっと早くお前と離すべきだった…」
「そっ、そんな…ドルマンが我に嘘を言っていたと…そんな……」
落ち込むマルリシオ君を横目に、トーさんは続ける為、指を三本立てる。
「3,最後に黒のドラゴンの対応だが、俺一人で問題ない。黒って事は闇魔法を使うドラゴンだろ。多分俺の方が強いから」
立てた三本の指を握り込み、親指を立てて自分に向ける。相変わらず頼もしいトーさんだな。ニコニコ顔で拍手する私に、周りはおかしなものを見る目でこちらを見る。
「その動きで意見があるか?無いなら俺は、これから黒のドラゴンの方に向かうけど」
ウィルがすぐさま反論する!
「だから黒のドラゴンの単独討伐なんて、それこそ勇者や魔王でもない限り無茶だ!」
その言葉に皆が頷くが、私とトーさんはニコニコしながら、
「「じゃあ何の問題もない」ね」
同時にそう出た言葉に、マルリシオ君が冗談めかして、
「まるで自分が勇者か、魔王だって言ってるみたいじゃないか」
そう言った瞬間、視線がトーさんに集まった。トーさんは席に座っていた私を抱え上げ肩に乗せて、窓に向かう。窓の前で私たちは皆に向けてにこりと笑い、
「バルトロメオ殿、ウィルと紬木とシンの保護頼みましたよ。先ほどの答えは、そうですねこの事件が解決した暁にでもオーラシアン王国に居る聖女様に聞いてください」
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そう言って私たちは窓から飛び降りて消えた。
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