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第68話 馬鹿はピンチに気付かない
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獣道の森の入り口に到着して中に進む準備をしていると、
「お前たち何でそんなに荷物が少ないんだ? 準備位きちんとしてこいや。それとも俺たちを喜ばすためについてきただけなのか? ギャハハハ」
汚い笑い声を無視して、
「収納アイテムを持っていますので全部その中に入れています。この娘たちも立派な冒険者で、Bランク相当の実力があると認められているので、あなた方にとやかく言われる筋合いはありません」
「あぁ? お前らみたいなのが収納アイテム持っているだと? どうせ親の七光りなんだろ? 俺らの荷物も持てよ、あそこにあるから入れておけよ。それにこんな餓鬼どもがBランクなわけねえだろうが! 奴隷みたいだし夜は楽しませてもらうぜ」
「クズどもが自分の荷物くらい自分で運べ、俺たちは荷物運び屋じゃねえんだよ。それに娘たちに指一本でも触れてみろ、八つ裂きにするぞ」
「お~怖い怖い、女の前だからって粋がるなよ。それに収納アイテムがあるなら仲間の分を運ぶのは当たり前だろ?」
「リーダー、他のパーティーの分も運ぶのは当たり前なのか?」
「自分の荷物は自分で運ぶのが決まりだな。もし運んでもらうなら相応の対価を支払うべきだろう。常識だぞ?」
「お前には聞いてねえよ! 俺が運べって言ったら運ぶんだよ。対価なら俺たちが体ではらってやっからよ! 夜にヒーヒーいわせてやるよ」
下種ども四パーティーは言いたい放題言ってゲラゲラ笑っている。
リーダーたちもAランクパーティーたちも無視をすることにしたらしい。俺たちにも無視するように言ってきた。おそらく出発する段階で一悶着あって、今日の野営地でもう一悶着あるから覚悟していてくれと言われた。
俺たちは馬車を収納のカバンにしまい、ウォーホース三匹にAランクパーティーの野営セットを運ぶように荷物を背負わせる。重さにして一〇〇キログラムは超えているが、Lvの上がっているウォーホースには、この程度の重さはあってないようなものだった。
出発の号令がかかり獣道の森へと侵入する段階になって、クズどもがまた騒ぎ出した。
「何で俺たちの荷物が置きっぱなしなんだ? 早く収納しろよ」
「正当な対価もなしに運んでくれるお人よしはここにはいない。運んでほしいなら対価を払え。嫌なら自分で運べ。じゃぁ行くぞ」
リーダーたちは、それ以上口を開かず先へ進んでいく。シングル三人の後にAランク冒険者のポーター二人が続き、俺たちもそれについていく。その後ろからAランクのパーティーがついてきた。
ポーターたちの今回の主な役割は、冒険者ギルドから配布されたポーション類や薬草と支給用の食料を持っていくことと、道中の魔物を倒した際のドロップアイテムを回収する役割を担っているとの事。重要な役割なので、安全な位置に配置されている。
クズどもは慌てて荷物をまとめ、収納アイテムを持っている俺たちに持ってもらいたいとお願いしてくる。
「もう収納できないから自分で運べ」
「はぁ!? 今馬車を収納しやがっただろ? それおいてけば入るじゃねえか」
「ん? それ込みで今回の荷物準備してるんだから当たり前だろ?」
「一こ置いてけば俺たちの荷物持てるじゃねえか、置いてけよ!」
「馬車を一個置いてったとして、お前たちは俺にどんな対価を払ってくれるんだ? お前らのきたねえ体なんて対価にされても困るから初めに言っておくぞ」
「戻ってきたら今回の報酬の一割を渡す。それで十分だろ」
「前金で三割なら考えてやる」
「ふざけんな! 荷物持ちで三割だと? 収納もちだからって調子に乗るな」
「そか、じゃあ自分で運べ、俺たちは先行くぞ。みんな遅れないようにリーダーについていくぞ」
馬鹿どもを放置して進んでいくと、ポーターに報酬の二割を約束させられ荷物をもってもらえることになった。ランクが高いっていうのはそれだけで優位な立場にたてるんだな、同ランク、個人で見れば娘たちはCランクだしな。だからといってすべてを受け入れるかは話は別だ、指一本触れさせん!
獣道の森を進むこと二時間、クズどもはあーでもないこーでもないと、文句や嫌味ばっか言って何とかついてきている。最年少のシェリルですら余裕でついてこれているのに、Bランクパーティーのクズどもは、息が上がって早く休ませろとブツブツ言っていた。
「お前らうるさい! 今日の工程の半分も進んでないのに休めるわけないだろ。二日後の昼には、目的地の広場に到着しなきゃならんのだ。戦闘もしていないお前らが何で一番疲れてんだ、文句を言わずについてこい」
「くそあまが! リーダーだからって調子に乗りやがって、後でみてろよ」
俺は心の中で何をどう見てればいいのやらと考えた。自分が無残にやられる姿を見せつけるのか! クズにしてはギャグのセンス高いな。
ちなみに、クズどものステータスを見るとBランクに何でなれたのが不思議なくらい低い。リリスのステータスと比べると8倍以上のひらきがあるのだ。
今回のシングルを除いた冒険者の平均レベルが八十位なのに対して、クズどもは四十後半から五十台と平均からみてもレベルが低く、ステータスも低い。娘たちよりレベルが低く、この中でみても全員のレベルが低い。シングルのリリスのレベル三二四と比べるとバカみたいに数字が違うのだ。
その上装備も、クズどもはDランクが使うような量産品に対して、リリスの装備は武器こそAランク相当だが、前衛をするため防具は全身がSランク相当の業物を装備しており、アクセサリー類も自動回復や防御を高くする装備を身に着けている。
クズどもが全員でかかっても数秒で全滅するか、どれだけダメージを与えられるかをかけにしないと成立しないようなレベルの違いだった。
娘たちの平均レベルが六十五位でステータスにいたっては四倍近くの開きがあるのだから、同数の俺たちに勝負を挑んだところで勝ち目はないのは明白である。こういった情報もマップ先生のおかげなんだけどね!
強化スキルをとっているのに娘たちのステータスの倍くらいある、リリスがおかしいと言わざるを得ないか? レベルが二六〇も高いのだからそれが普通なのだろうか?
リリス以外の二人も娘たちよりステータスが明らかに高い。ヒーラーのマーニャとピーチを比べても、すべての数値が二倍ほど高い。魔法火力のアントとライムを比べても、およそすべてのステータスが二倍近く高かった。シングル冒険者恐るべし。
ただ今の時刻十九時……予定の時間より二時間も遅れて今夜の野営地に到着した。すべてはクズどものせいなんだけどな。リリスはどうする予定なんだろう? やるなら今夜みたいな物騒な事を言ってたんだけどな。俺も人のこと言えないけど。
野営の準備のために馬車を配置する。三角になるように配置して、中心に長い棒を立てて倒れないように野営用の毛皮のシートを山なりに設置し、馬車が全部シートの内側に来るようにつなげて、モンゴルの遊牧民伝統の移動式住居のゲルを大きくしたようなものが完成する。
耐熱性の高い毛皮で天井付近には煙を逃がす通気口もしっかりとある。匂いが周りに広がらないように野営用の毛皮のシートには消臭のエンチャントを付けている高級品だ。通気口にももちろん特殊加工がされており、匂いが外に漏れることはほとんどなくなっている。
野営地の準備ができると、娘たちは各班に分かれて調理・薪の調達・香草や野菜など食べれるものがないか散策に出た。その様子を見ていたシングルの三名とAランクのパーティーのリーダーたち三名が食事の相談に来た。
「あなたたちって森の中で煮炊きするの?」
「お前たち何でそんなに荷物が少ないんだ? 準備位きちんとしてこいや。それとも俺たちを喜ばすためについてきただけなのか? ギャハハハ」
汚い笑い声を無視して、
「収納アイテムを持っていますので全部その中に入れています。この娘たちも立派な冒険者で、Bランク相当の実力があると認められているので、あなた方にとやかく言われる筋合いはありません」
「あぁ? お前らみたいなのが収納アイテム持っているだと? どうせ親の七光りなんだろ? 俺らの荷物も持てよ、あそこにあるから入れておけよ。それにこんな餓鬼どもがBランクなわけねえだろうが! 奴隷みたいだし夜は楽しませてもらうぜ」
「クズどもが自分の荷物くらい自分で運べ、俺たちは荷物運び屋じゃねえんだよ。それに娘たちに指一本でも触れてみろ、八つ裂きにするぞ」
「お~怖い怖い、女の前だからって粋がるなよ。それに収納アイテムがあるなら仲間の分を運ぶのは当たり前だろ?」
「リーダー、他のパーティーの分も運ぶのは当たり前なのか?」
「自分の荷物は自分で運ぶのが決まりだな。もし運んでもらうなら相応の対価を支払うべきだろう。常識だぞ?」
「お前には聞いてねえよ! 俺が運べって言ったら運ぶんだよ。対価なら俺たちが体ではらってやっからよ! 夜にヒーヒーいわせてやるよ」
下種ども四パーティーは言いたい放題言ってゲラゲラ笑っている。
リーダーたちもAランクパーティーたちも無視をすることにしたらしい。俺たちにも無視するように言ってきた。おそらく出発する段階で一悶着あって、今日の野営地でもう一悶着あるから覚悟していてくれと言われた。
俺たちは馬車を収納のカバンにしまい、ウォーホース三匹にAランクパーティーの野営セットを運ぶように荷物を背負わせる。重さにして一〇〇キログラムは超えているが、Lvの上がっているウォーホースには、この程度の重さはあってないようなものだった。
出発の号令がかかり獣道の森へと侵入する段階になって、クズどもがまた騒ぎ出した。
「何で俺たちの荷物が置きっぱなしなんだ? 早く収納しろよ」
「正当な対価もなしに運んでくれるお人よしはここにはいない。運んでほしいなら対価を払え。嫌なら自分で運べ。じゃぁ行くぞ」
リーダーたちは、それ以上口を開かず先へ進んでいく。シングル三人の後にAランク冒険者のポーター二人が続き、俺たちもそれについていく。その後ろからAランクのパーティーがついてきた。
ポーターたちの今回の主な役割は、冒険者ギルドから配布されたポーション類や薬草と支給用の食料を持っていくことと、道中の魔物を倒した際のドロップアイテムを回収する役割を担っているとの事。重要な役割なので、安全な位置に配置されている。
クズどもは慌てて荷物をまとめ、収納アイテムを持っている俺たちに持ってもらいたいとお願いしてくる。
「もう収納できないから自分で運べ」
「はぁ!? 今馬車を収納しやがっただろ? それおいてけば入るじゃねえか」
「ん? それ込みで今回の荷物準備してるんだから当たり前だろ?」
「一こ置いてけば俺たちの荷物持てるじゃねえか、置いてけよ!」
「馬車を一個置いてったとして、お前たちは俺にどんな対価を払ってくれるんだ? お前らのきたねえ体なんて対価にされても困るから初めに言っておくぞ」
「戻ってきたら今回の報酬の一割を渡す。それで十分だろ」
「前金で三割なら考えてやる」
「ふざけんな! 荷物持ちで三割だと? 収納もちだからって調子に乗るな」
「そか、じゃあ自分で運べ、俺たちは先行くぞ。みんな遅れないようにリーダーについていくぞ」
馬鹿どもを放置して進んでいくと、ポーターに報酬の二割を約束させられ荷物をもってもらえることになった。ランクが高いっていうのはそれだけで優位な立場にたてるんだな、同ランク、個人で見れば娘たちはCランクだしな。だからといってすべてを受け入れるかは話は別だ、指一本触れさせん!
獣道の森を進むこと二時間、クズどもはあーでもないこーでもないと、文句や嫌味ばっか言って何とかついてきている。最年少のシェリルですら余裕でついてこれているのに、Bランクパーティーのクズどもは、息が上がって早く休ませろとブツブツ言っていた。
「お前らうるさい! 今日の工程の半分も進んでないのに休めるわけないだろ。二日後の昼には、目的地の広場に到着しなきゃならんのだ。戦闘もしていないお前らが何で一番疲れてんだ、文句を言わずについてこい」
「くそあまが! リーダーだからって調子に乗りやがって、後でみてろよ」
俺は心の中で何をどう見てればいいのやらと考えた。自分が無残にやられる姿を見せつけるのか! クズにしてはギャグのセンス高いな。
ちなみに、クズどものステータスを見るとBランクに何でなれたのが不思議なくらい低い。リリスのステータスと比べると8倍以上のひらきがあるのだ。
今回のシングルを除いた冒険者の平均レベルが八十位なのに対して、クズどもは四十後半から五十台と平均からみてもレベルが低く、ステータスも低い。娘たちよりレベルが低く、この中でみても全員のレベルが低い。シングルのリリスのレベル三二四と比べるとバカみたいに数字が違うのだ。
その上装備も、クズどもはDランクが使うような量産品に対して、リリスの装備は武器こそAランク相当だが、前衛をするため防具は全身がSランク相当の業物を装備しており、アクセサリー類も自動回復や防御を高くする装備を身に着けている。
クズどもが全員でかかっても数秒で全滅するか、どれだけダメージを与えられるかをかけにしないと成立しないようなレベルの違いだった。
娘たちの平均レベルが六十五位でステータスにいたっては四倍近くの開きがあるのだから、同数の俺たちに勝負を挑んだところで勝ち目はないのは明白である。こういった情報もマップ先生のおかげなんだけどね!
強化スキルをとっているのに娘たちのステータスの倍くらいある、リリスがおかしいと言わざるを得ないか? レベルが二六〇も高いのだからそれが普通なのだろうか?
リリス以外の二人も娘たちよりステータスが明らかに高い。ヒーラーのマーニャとピーチを比べても、すべての数値が二倍ほど高い。魔法火力のアントとライムを比べても、およそすべてのステータスが二倍近く高かった。シングル冒険者恐るべし。
ただ今の時刻十九時……予定の時間より二時間も遅れて今夜の野営地に到着した。すべてはクズどものせいなんだけどな。リリスはどうする予定なんだろう? やるなら今夜みたいな物騒な事を言ってたんだけどな。俺も人のこと言えないけど。
野営の準備のために馬車を配置する。三角になるように配置して、中心に長い棒を立てて倒れないように野営用の毛皮のシートを山なりに設置し、馬車が全部シートの内側に来るようにつなげて、モンゴルの遊牧民伝統の移動式住居のゲルを大きくしたようなものが完成する。
耐熱性の高い毛皮で天井付近には煙を逃がす通気口もしっかりとある。匂いが周りに広がらないように野営用の毛皮のシートには消臭のエンチャントを付けている高級品だ。通気口にももちろん特殊加工がされており、匂いが外に漏れることはほとんどなくなっている。
野営地の準備ができると、娘たちは各班に分かれて調理・薪の調達・香草や野菜など食べれるものがないか散策に出た。その様子を見ていたシングルの三名とAランクのパーティーのリーダーたち三名が食事の相談に来た。
「あなたたちって森の中で煮炊きするの?」
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