ダンマス(異端者)

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第132話 街の散策

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 新しい家に到着した。リーファスの街で買った家よりは小さいが、二十人前後は問題なく住める家だろうか? ただ、使いにくい家の造りだな。これはDPで改装しちゃおうか。

 まずは、キッチンから! ミドリに来てもらい要望を聞く事にした。この家では流石にメインの家の様なシステムキッチンは置くつもりはないが、キッチン馬車に設置しているような魔導キッチンは設置しよう。

 後は保存がしやすくなる倉庫を隣接させて、食堂を設置する。後はお風呂を設置する。本当は温泉にしたいのだが、さすがに何かあった時に困るので、魔導具でお湯を生み出せる魔導風呂にしよう。っていっても、水を生み出す魔導具と熱を出す魔導具を組み合わせただけだけどね。

 キッチンでお湯を出す魔導具を大型にしたものだ。この位の魔導具であればDPで召喚できるのでありがたい限りだ。

 部屋をいくつか用意し、俺の部屋も設置する。あんまり広い部屋はいらないと言ったのだが、娘たちが全力でお願いしてきたため、その迫力に負けて大きめの部屋を設置したのだ。家の中心になる位置に設置させられたのは、俺の隣の部屋や正面の部屋に娘たちが入りたかったためだ。

 各部屋に家具をどんどん設置していく。俺の部屋には、執務用の大きな机や座り心地のいいイスを設置し、隣の部屋に大きいベッドも設置する。

 うむ、一時間もしないうちに家の中が別物になった。娘たちは家の掃除をはじめ、ミドリはキッチンにこもり食事の準備を始めた。

 俺は暇だったので、仕事の途中だったシェリルとイリアを呼んでおやつを食べる事にした。この二人は特に俺がかわいがってることもあり、よくこうやって仕事を中断させておやつを食べることがある。

 そういえば、以前娘たちに仕事の邪魔をしてごめんって謝ったことがあったが、俺のお願いが何より最優先される仕事なので仕事の邪魔ではありません! むしろ私たち全員に平等に機会を与えてください! とお願いされたくらいだ。

 それ以来、おやつやお茶の時は娘たちを呼ぶことにしている。何がそんなにうれしいのか、呼ばれるとニコニコしているので目の保養になりこっちもホコホコだ。

 夕食まで時間があるので、暇つぶし第二弾として街の散策に出る事にした。おやつに引き続きシュリとイリアを連れて行く事にした。戦闘力的には問題ないとのことで、今回の娘たちの責任者であるシュリが許可をしてくれた。可愛い戦闘メイド服を着た二人と手をつなぎ散歩へ出る事にした。

 珍しい物が無いか探していると見慣れない果物を発見した。

「おばちゃん、これって果物だよね? 一個ここで食べさせてもらっていい? 食べ方わからないからそれもお願いできるかな? いくら?」

「お前さんたち、外から来たようだね。これは樹海の中でとれる果物だよ。甘味が少ないこの街では煮詰めて砂糖代わりに使う事もある果物さね。初めてならサービスするから食べてみな」

 ん~、何だろ? 見た目は小さなパイナップル、食感はリンゴ、味はサツマイモの甘いやつ。俺にはすごい違和感しかないが、まずくはない。芋系の甘さだからある程度は甘味料としても使えるのかな? シェリルやイリアもぱくぱくと美味しそうに食べている。

「おばちゃん、これ美味しいね。みんなにも食べさせたいから、ここにある半分程もらっていいかな?」

「これは嬉しいね、それでどうやって運ぶんだい?」

「あぁ、これ持ってるからここで受け取ってくよ」

 収納の腕輪を見せて商品を受け取っていく。受け取った後におばちゃんが勧めてくれた、他の樹海産の食べ物が売っている店を紹介してもらった。

 聞いたとおりに道を進んでいくと、ちょっと見た目的にはあれな感じの露店が並んでいた。おばちゃん曰く、見た目はあれだけど樹海産の食べ物は美味しいとのことだ。栄養が豊富なのだろうか? そんなことを考えながら店の前に到着する。

 露店の店主、さっきのおばちゃんの知り合いらしい。お金を払って色々試食させてもらう事にした。

 ウリカというのは、見た目はジャガイモ、食感はきゅうり、味はトマト。これは正直ミスマッチ過ぎてキツイ。

 他には、ティルルという見た目はピーマン、食感と味はカボチャの様な野菜や、ミーランという見た目と食感はキャベツ、味はゆで卵といった見た目と味と食感が釣り合ってない食べ物が多かった。

 中にはあたりの物もあったので、多目に買い込んでみんなに食べてもらうことにした。街に戻ったらみんなで樹海探検するのも悪くないかな? 知らない食べ物も多いだろうし、見つけたら木や苗ごと持ち帰ってドリアードたちに面倒見てもらおう。

 面白い物も見れた事だし散歩の続きを開始する。街の中心部付近に大きな建物?を発見する。少し距離があるが向かってみる事にした。

 円形状、中はすり鉢、中からは歓声が聞こえてくる。これって闘技場かな? マップ先生で確認すると、観客席みたいなところに人がいっぱいおり、中央で数人の人間が戦っているようだった。

 シェリルとイリアに話すと興味を失ったようだ。理由を聞くと、みんな弱いからお姉ちゃんたと戦うこと以外、あんまりおもしろくないのだとか。

 俺の興味も尽きたので散歩をやめて帰ることにした。マップ先生で確認したかぎり、レベル一〇〇を超える人間はここで戦闘をしていない様子だった。この街最強決定トーナメントでもあれば別だろうが、おそらくここで戦ってるのは犯罪を犯した、戦闘奴隷あたりじゃないかと思っている。

 だって、闘技場の戦ってる付近に死体がいくつかあるからな、戦っているのは奴隷だろうと考えている。

 自分の家に帰ろうとしてたら、イリアが手を引っ張ってきた。

「ご主人様、さっきからずっとついてきている人がいるけどどうしますか?」

 やっぱり気付いてたか、シェリルもどうするの? みたいな表情でこっちを見ている。商人ギルドにいた連中か収納の腕輪をみた露店の時の客たちの誰かかな? 俺も気付いてマップ先生で確認してたけど、意外にレベルが高いんだよなついてきてるやつが。

 スキルが確認できないから困ってるが、尾行に慣れている様子も気になる所だ。俺たちの視界には入らない位置どりをしてついてきているんだよな。

「どうしよっか? あまり興味もないし放置するか? イリア、精霊魔法で痛みを伴う拘束魔法ってあるかな?」

「ん~と、あるみたい! 木精霊の子が教えてくれた」

「じゃあ、俺たちをつけてる代償として、その魔法体験してもらおう。出来れば膝の下だけにトラップの様な感じで仕掛けられたらお願い」

 ほ~い、と気の抜ける返事をしてイリアは魔法を詠唱し始めた。

【ソーンバインド】

 後方で三人の悲鳴の声が聞こえた。きちんと数も把握してたかえらいえらい。二人の頭を撫でると、うれしいのか頭をこすりつけてきた。何事もなかったように家へ戻ることにした。

 それにしても、あんなに悲鳴あげるって痛みに強くねえのかな? あそこまでプロっぽくつけられるんだったら、そういった痛みにも強くなる訓練とかしてそうだと思ったけど俺の偏見かな? どんな魔法だったのかイリアに聞いたら問題は解決した。

 今回使った【ソーンバインド】は、茨のツルを巻き付ける精霊魔法だけど、その茨の棘に毒があったようだ。刺さった棘から毒が入って、痛みを倍増させるとのこと。思ってたよりエグイ魔法だった。

 巻き付いて刺さって痛みが倍増して身をよじれば、さらに食い込んで痛みが増していく、負のスパイラル的な魔法だな。今度俺も精霊魔法覚えよっかな? 宝珠も召喚できるみたいだしイリアに習ってみよ。

 二人と手を繋いでお話をしながら帰った。今日は一緒に寝たい! とお願いされたので俺に付き合ってくれたご褒美、という事で一緒に寝る事にした。ロリコンじゃなくてお兄ちゃんとしての愛だからな! 勘違いすんなよ!
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