ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第456話 レッドドラゴンとは?

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「長年放置されたダンジョンは、魔物の強さが上がるのかな? みんな頑張れよ!」

 俺の応援に背中を押されて、レッドドラゴンに挑みに行く七人。

 やはり先制攻撃は、ドラゴンウィングから放たれる矢だった。普通の矢とはいっても、鋼鉄製の矢なので、それなりに高価なものではある。これはDPで呼び出せる矢なので、大量に呼び出して収納の腕輪に全部突っ込んでいる。矢が切れる心配は今の所ない。

 その矢が次々に、レッドドラゴンの鱗を貫いて突き刺さっている。魔法使いのケモ耳娘は、突き刺さった鋼鉄の矢にめがけて、雷系の魔法を何度も放っている。避けようとしても、伝導率のせいかレッドドラゴンを追尾して着弾する。そのたびに悲鳴をあげるレッドドラゴン、何か哀れだな。

 それでもドラゴンとしての意地だろうか、火炎ブレスをお返しで吐き出してはいるが、それはタンク二人に完璧にブロックされている。

 手の空いているメンバーが三人いるが、レッドドラゴンが下りてくるのを待っている感じだろう。タンクに隠れながら、隙を伺っているような印象だ。

 その間にもドラゴンウィングから放たれる矢が、レッドドラゴンの身体に刺さっていく。そのうちの何本かが翼に刺さり穴をあけていく。その穴は次第に大きくなりレッドドラゴンは、飛ぶ体勢を維持できなくなり地面に降りてきた。

 前から思ってたんだが、ワイバーンやハニービー、ドラゴン等の空飛ぶ魔物があの巨体を、どうやって自前の翼で飛行を維持をしているのか不明である。

 一つ目の仮説は、翼が特殊な魔法道具で、そこに魔力を込める事で飛行する事が出来る説。

 二つ目の仮説は、飛行できる魔物は、特殊な魔法で飛行している説。

 と二つは思いついたのだが、後者の場合は理論上翼がなくても飛ぶことが可能である。魔法で飛んでいることになるので、今のレッドドラゴンのように、翼に穴が開いても問題なく飛べるはずなので、仮説にすぎない。

 前者の場合は、筋は通るが生体魔導具とでも呼ぶのだろうか? 今の所この世界で生きているものを、魔道具にすることは成功していないので、魔物の神秘といえば解決してしまうのだが、この説も決定力にかけている気がする。

 どちらでもなかったとして、今は翼が傷つけば、地上に降りてくるという事実が、大切である。討伐する分には、何の問題もない。

 降りてきたレッドドラゴンに対して、タンク二人が距離を詰めてヘイトを引き付けている。その際にシールドバッシュや剣で攻撃しているのだが、何故か鱗ではじかれずに傷をつけている。

 タンクがもっている武器は、ドラゴンキラーではなく、老ドワーフたちの逸品である。明らかにダメージを与えているのだ。俺たちが戦ったレッドドラゴンより、明らかに弱いよな。

 タンクの後ろに隠れていた三人が、レッドドラゴンに切りかかる。

 やはり再度飛ばれるのが嫌なのだろう。ドラゴンキラーを持っている二人は前足を切り付けた後、体勢を崩したレッドドラゴンに駆け上がり、翼の付け根を切り落とそうとする。

 だが、ドラゴンキラーの効果があったとしても、翼の骨を断つ事は出来なかったようで、途中で剣が止まってしまっていた。これだけ切り付けられたら、さすがにもう飛べないだろう。

 そこからは一方的だった。

 全員が離れたことを確認すると、収束された氷系の魔法が何本も突き刺さり、タンク二人に横っ面を叩かれ、弓に眼を撃ち抜かれ、武器で斬り付けられ……もうね、可哀想としか言いようがない状況だった。

 一方的に攻撃していると、レッドドラゴンの体力が尽きたのだろう、ドロップ品に変わりその場に残される。

「シュウ様、問題なく倒せました! ですが、シュウ様たちがこの程度の相手に苦労したのでしょうか? 私たちが言うのも変ですが、龍なのでSランクはSランクだとは思うのですが、小さかったので限りなく最下位の魔物ではないでしょうか?」

「あ~言いたいことはわかるんだけど、俺らが戦ったレッドドラゴンって二回り以上デカかったんだよな。それに俺の持ってるた大薙刀でも、鱗にはじかれてたからな。明らかに強いレッドドラゴンだったよ」

 どうやって倒したか改めて説明すると、絶句されてしまった。

「……そんなレッドドラゴンを、私たち七人で倒せと言っていたのですか?」

「武器もあるし倒せると思ってたんだよ。それに多分同じやつでも多分倒せたぞ。それだけあの武器は異常だからな、この程度なら危なげなく倒せるかな?」

「そうですね、スピードがあるわけではないし、ドラゴンキラー付きの武器があるので、無茶さえしなければ問題ないと思います」

「ドロップ品も、思ってた通り前の奴よりは少ないけど、それでも半分くらいか? 質は変わらなそうだし、特に問題なさそうだな。念のために全員にこれ渡しておくな」

 あらかじめ用意しておいた、Bランクのエリクサーを全員に二本ずつ渡していく。

「これなんですか?」

「ん? Bランクのエリクサーだけど。もし使ったら申請してくれたら、物資として届けるから忘れないようにね」

「「「「「「「Bランクのエリクサー!?!?!?」」」」」」」

「え? 驚くところなのか? レッドドラゴンから、素材になる血が手に入ったから、Bランクくらいなら何とか作れるようになったぞ。他の素材は綾乃が準備できるからな」

「シュウ様、エリクサー自体希少価値が高くて、Eランクでも莫大なお金が必要ですよ。それでも部位欠損が、ある程度の確率で治せるのですから当然です。それにCランク以上のエリクサーなんて、国の重鎮にしか使われないアイテムですよ?」

「なら、何の問題もないじゃん。これから君たちはディストピアというより、俺たちにとって大切な素材を生み出す、レッドドラゴンを狩ってくれる大切な人材なんだからな!」

「「「「「「「…………」」」」」」」

「みんなそろって黙るなよ。これで倒せることはわかったんだから、よろしくお願いするよ。定期的にレッドドラゴンを狩ること以外は、自由にしてていいから、合間にしたいことがあったら、俺に教えてくれ。可能な限り望みをかなえられるようにするからな。

 あっ! 間違っても、無茶して怪我をするような戦い方はするなよ! もし倒せそうにないレッドドラゴンが出たら、連絡するように。絶対に撤退するんだぞ」

 俺からの特別扱いを聞いた七人は、声も出せないくらい驚いているようだった。生まれたてとはいえ、レッドドラゴンを倒せるんだから優遇してもいいよな。

 というか、俺がいいといったんだから、誰にも文句は言わせない! 本人たちが嫌だと言わない限りな!

 定期的に入ってくるドラゴンの素材を使って、何を作ろうか悩むところだな。

 一応最下級とはいえ、Sランクの魔石が手に入るのも実に嬉しい。拳程度の大きさしかないのに、Aランクの魔石の十倍以上の魔力を生み出したり、情報を書き込む事が出来るのだから、クリエイトゴーレム使いの俺には、活用できる範囲がひろい。

 さて明日は何をしようかな?
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