ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第665話 盲点

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 うるさいチビ神がいなくなって、話した内容を思い返す。

 スキルリンクは俺が付けた名前だから、正式名称があると思ってたけど、チビ神の反応からするとこの技術は、今までなかった可能性があるか、限定的にしか使われていなかった、可能性があるってことか。

 上級スキルが使える奴等にとってみれば、トドメや追い込みで使うくらいだろうから、それまでは初級中級を上手く使って、ダメージを与えてるってことだよな。

 さらに言えば、俺たちを含めたスキルに弱点があると思っている、レベルの高い奴らは基本スキルを使わないのだから、隙の少ない初級スキルでも、わざわざ使う意味がなかった感じだろうか? それならスキルリンクの技術が、生まれなかったのも無理はないか。

 俺も神のダンジョンで、ファイアナイトとダークナイトに合わなければ、わざわざスキルリンクを編み出す事もなかったもんな。

 妻たちが帰ってくるまでは、まだまだ時間があるので検証を続けている。

「やっぱり、初級⇒中級⇒上級とスキルの強さが上がっていくと、スキルリンクで繋げられるスキルの数が減ってくな。上級なんて二個あればいい方ってところだし、そもそも上級スキルは、スキルリンクをする余地がない位に移動して攻撃してるからな。

 改めて思ったけど、上級スキルはほとんどがスキルの力? によって体を動かされるせいで、違和感が半端ない」

 シュウは、絶賛独り言のオンパレードだ。元々独り言をいう癖があるが、妻たちもおらず聞いている者がいない最近は、酷さに拍車がかかっている。

 シュウの独り言は、考えをまとめるためにしている行為なので、道路を歩きながらブツブツ言っている人達とは違うのだ。

 あの人たちにも、何か理由があってブツブツ言っているのだと思うけど、近くを歩いている時に、急に大声を出すのはやめていただきたい、と思ったことがあるもんだ。人に迷惑をかけない範囲で、やっていただきたい。

 それはさておき、スキルリンクは初級スキルの威力を高める技術だと、考えた方がいいな。スキルリンクできる技をしっかり頭と体に叩き込んで、実戦で使っていけるようにならないと、意味が無くなってしまうな。

 妻たちが帰ってくるまでの間、スキルリンクできるスキルを再度把握してメモを取っていく。

 メモを取って気付いたが、格ゲーのコンボを思わせるような流れに、少し眩暈を感じてしまった。今までもゲームっぽい所が沢山あると思っていたが、今度は格ゲーまで出てくるとは思わなかったわ。

 でも、これで大分やりやすくなったけど、スキルリンクの連携を読まれてしまったら、手痛いカウンターをうけてしまうな。

 格ゲーの要領で良いのであれば、連携も一つだけではなく、複数繋げる先があると考えて色々試していくと……考えの通り、色んな連携の方法があった。ただ連携が多岐にわたるため、把握がさらに困難になってしまったという問題が出てきた。

 妻たちはメインの武器が決まってるから、ある程度時間はかかるだろうけど、しっかりと覚えてくれるだろう。教える事は出来るけど、そこから先の使いこなせる所までは、自分たちで頑張ってもらうしかない。

 スキルとスキルを繋げるスキルリンクを行っていて、気付いた事がある。初級だけなら四回まで、中級は二回まで、上級はその後に繋げる事が出来なかった。

 他には、初級⇒初級⇒初級⇒中級or上級は繋がるが、初級⇒初級⇒中級or上級⇒初級は繋がらなかった。他にもつながるスキルリンクは、初級⇒中級⇒中級or上級、中級⇒中級or上級等があった。

 何となく仮説をたててみる。初級は一ポイント、中級は二ポイント、上級は四ポイントで、使ったスキルのポイントが、四ポイント以上になると使えなくなると仮説をたてた。

 格ゲーに似ているとはいえ、反則に近い無限コンボみたいな事は出来ない様だ。もしできるなら、対魔物戦であれば、ゴリ押しできると思ったんだけどな。そう上手くはいかないようだ。

 自分のメイン武器のスキルリンクより、嫁たちに教えるためのスキルリンクの訓練を行っている。

「やっぱり、スキルがつながらない奴もあるから、注意が必要だな。ある程度、身体で覚えないといけないってことだな」

 ブツブツ独り言をいいながら、繋げられるスキルをメモしていく。何回か失敗した時に、違和感を覚えたのでわざとスキルリンクを失敗すると、違和感の原因が分かった。

 それっぽくスキルリンクが失敗する事を、バーストと名前を付けてみた。バーストすると、スキルが発動できなかった影響のためか、体が硬直するからだったのだ。

 スキルの級が高くなると硬直時間が長くなるようで、上級スキルでバーストすると、結構致命的になりかねないと言うリスクがあった。強いけど、それなりのリスクがある。硬すぎる敵には、ダメージがなかなか与えれないから、使っていかないと戦闘時間が長引くからな。

 色々試していると、急に体の動きが悪くなり、動くのもだるくなり立っている事も出来なくなった。

「ハァハァ……何だこれ? 全然体が動かなくなった。やばいやばい、ニコ! こっちに来てくれ。ちょっと俺の身体を頼む。ハク、四大精霊の誰でもいいから連れてきてくれ……」

 ニコとハクにお願いすると同時に意識が遠のいた。

 柔らかいクッションの上で目が覚めた・・・

「シュウ様、目が覚めましたか? ハクが慌てて呼びに来たから、何かと思いました。ハクとニコから話を聞いた所、今のシュウ様の状態は、スタミナ切れだと思われます。魔法を沢山使って、魔力が切れる事をマナ切れと言いますが、スキルを沢山使ったことによる、スタミナの枯渇が原因かと。

 シュウ様たちは、スキルを使う事があまりなかったので、スタミナ切れを起こすことが、無かったのではないですか? スキルが使える冒険者であれば、調子に乗ってスキルを乱発して、倒れる事があると言う話ですし」

「そういう事か、召喚できるポーションに、マナポーションの他にスタミナポーションもあったもんな。あれって、てっきり疲れた時に飲む、オロ〇ミンCみたいな感じの飲みもんだと思ってたわ。マナ切れと同じなら、スタミナポーションを飲めば、ある程度改善するってことか?」

「そうですね、スタミナ切れで起こっている症状なので、回復すればある程度改善されますね」

 アクアがそういったので、俺はダンマスのスキルを操作して、スタミナポーションをAランクで召喚して飲み干す。するとスーッと体が楽になったことが分かった。

「こんな感じなんだな。スタミナポーションも、しっかり準備しておかないとな。本来ならマナ切れと同じように、初期の段階で経験するスタミナ切れを経験してこなかったから、どういう状況か理解できなかったんだな。みんなにも注意を促しておかないとな」

 そんなことを、心のメモに書き留めた。
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