ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
704 / 2,518

第704話 その瞬間は突然に!

しおりを挟む
 攻めあぐねていたメデューサの包囲網に加わった俺は、武器を持ち換えている。よくわからないが、この世界の蛇には打撃がききにくいようなので、大薙刀に持ち換えている。

「シュリ、ピーチ待たせた。まずはこいつをさっさと排除しようか。タゲを持っているのは問題ないか?」

「この程度なら大丈夫ですね。武器を持っているわけでもないですし、武器と思われる石化も毒蛇の髪も効果が無いですから、直接殴るか蛇の体を使って締め上げるしかないですから、今の所は何の問題もないですね。動きが早いので1人だと、カウンターでしかダメージが与えにくいってところですね」

「了解。じゃぁタンクに全力を注いでくれ。攻撃はこっちでやるから頼む。みんなも聞いたとおりに攻撃を仕掛けてくよ」

 正直10メートルもある体が無ければ、俺たち全員で攻撃を仕掛ける事は出来なかったが、メデューサの体がでかかったため、攻撃を仕掛けるのは楽だった。

 やはりSランクというだけあって、タフネスが異様に高かった。攻撃力や魔法等の面は全く強くないのだが、特殊能力をタフネスで敵を倒していくタイプなんだろうと感じていた。

「もう一時間近く攻撃してるけど、弱った感じがしないけどみんなどう思う?」

 攻撃の合間にみんなに聞いてみるが、みんな同じだと感じており肯定の返事が多数かえってきた。

「やっぱりそうだよな。スキルリンクでダメージを与えてるはずなのに、上回る勢いで回復してるみたいだなよな。やり方を変えないといけないかもな。尻尾から輪切りにしてみるか。尻尾が生えてこなかったら、体を削いでいけばいずれ倒せると思う。もし違ったらまた考えよう」

 俺はそういって、メデューサの尻尾側に回り、くっつけても再生できないくらいに切り刻んだ。

【百花繚乱】

 スキルの中で初級・中級・上級と俺が割り振った以外にも、いくつかの例外があって、どんな方法をしてもスキルを繋げられない、特級と呼んでいるスキルがあって、ダメージはかなり大きいが色々と隙の大きいスキルなのだ。

 その1つが今使った【百花繚乱】だ。大薙刀、槍、大剣、斧槍等のある程度の武器が長く、斬撃属性のある武器で使用できる特級スキルだ。

 千切れたメデューサの尻尾を念のため、火魔法で焼き払う。しばらく様子を見てみたが、目に見えるように尻尾が生えてくるような変化は見られなかった。見られた変化は、血が出ていた切り口から血が出なくなり、薄い膜がはったような感じになっていた。

「目に見えて再生する事はなさそうだから、末端から削っていこう。その内動きが遅くなるだろ。ただ、普通の切り傷じゃなくて、えぐったり切り落としたりするように、余裕があったら焼くなりして処理してくれ。処理は念のためだから無理にはしなくていいよ」

 俺がこんな風に指示を出している間にも、メデューサは体を削られ続けている。敵には容赦がないな。

 俺も攻撃に参加して体を削っていくが、尻尾から胴体に向かって行くと太くなるため一太刀で切り飛ばすことができなくなり、えぐるような攻撃やV字のように切れ目を入れて、肉を切り取るような攻撃を入れている。

 30分程攻撃を続けていると半分くらいまで処理する事が出来た。

「やっと半分か……初めの一時間を無駄にしたのは痛かったな。そろそろ万能薬飲んでから2時間30分くらい経つんじゃないかな? 入口の目覚ましが鳴ったら順番に、薬飲むんだぞ。それまでは攻撃を続けよう」

 攻撃しているとメデューサの動きが変わった。痙攣して少し体がでかくなった。少しというと語弊があるな。サイズにすると5割増し程にデカくなっていると思う。そしてもっと変化が見られたのが、頭についていた毒蛇も一緒に大きくなって、髪の毛だった毒蛇が頭から離れて、自立行動を開始した。

「うげぇ、蛇がうじゃうじゃだよ。シュリはそのままメデューサのたげをお願い。他のメンバーは手分けして蛇の処理をするよ。毒蛇だから注意するように……っね!」

 最後の言葉を言うと同時に、範囲スキルの【薙ぎ払い】を使用する。大薙刀をかまえて薙ぎ払うようにして足元にいる毒蛇を吹き飛ばす。そのまま【挑発】を使って敵を毒蛇たちのヘイトを稼ぎタゲをとる。そのまま少し後ろに引いて視界内に収める。

「みんな、数が多いから魔法で焼き払おう。火魔法だと自分たちにも影響があるから、風魔法で切り裂くか土魔法で押しつぶすか礫で撃ち抜くか?」

 俺がそういうと、毒蛇を的にして、あまり得意ではない魔法を撃ち込み始めた。風魔法の【ウィンドブレード】や土魔法の【プチメテオ】と名付けた、巨岩を頭上から落とす魔法を使っている。少し上がった土煙の間から、禍々しい色の霧が出てきた。

「みんな退避! 毒だみんな退け! 【フォグ】【レイン】」

 俺はみんなが退く前に、水霧を出して禍々しい色の霧を押さえ込み、集中豪雨のような雨を降らせて毒だと思られる霧を、全部地面にたたき落した。

 それ以上の発生がないかを見守るが、突然

 ジリリリリリリリ!!

 目覚まし時計の音が鳴り響いた。しばらくその音が空間に響き渡るが誰も動かない。禍々しい色の霧はそれ以上発生しなかった。

「みんな、順次万能薬を服用してくれ」

 みんなが服用するのを見守りながら、空飛ぶ蛇の方をみる。あっちは順調に時間を稼いでいてくれるようだ。ただ追加で体からアンカーが半分ほど抜けているのが分かった。メデューサにあまり時間をかけていられなくなった。俺も万能薬を服用して、シュリの前に出る。

「シュリ、いったん俺が引き受けるから万能薬を飲め」

 ヘイトを稼がずにシュリとの間に強引に割り込み、時間を稼ぐようにスキルを使用する。

【月下美人】

 上下左右からの4連撃をたたき込み、少し後ろに押しやり距離をとり再度突貫する。全体重を乗せるようにして神歩を使い、そのまま【椿】を使用する。高速で大薙刀を突き刺し、さらにシュリから距離を離す。この間にシュリは万能薬を飲み終わっていたので、俺の前に出てきた。

「シュリ、もうちょっと任せたよ」

 無言で頷きメデューサに接近し、俺達が攻撃をしやすい位置に誘導してくれた。

「体がでかくなってるけど、向こうの蛇の事を考えると時間があまりないから少しペースを上げて削ろう」

 体に無理が無い程度に強めのスキルやスキルリンクで、メデューサの体を削っていく。再度攻撃を始めてから、20分ほどするとその瞬間が唐突に訪れた。

 メデューサがドロップ品に変わったのだ。そしてみんなの声が揃った。

「「「「「えっ!?」」」」」
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...