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第1035話 蚊帳の外
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ん? スカーレットの出してくれた紅茶が美味しくて、2杯目を飲み終わったあたりで、記憶が無くなってる? 落ち着きすぎて寝てしまったようだ! スカーレットの紅茶、恐るべし!
慌てて体を起こして周りを見渡す。廊下に置かれている長椅子で俺は眠ってしまっていたらしい。妻たち全員が揃っていたはずなのに、今は誰も見当たらない?
どういうことだ?
3人の痛みに耐える声は聞こえてこない。耳を澄ませると、話し声が聞こえるので近くにはいるようだ。
「みんなどこにいるの?」
そう声をあげると、扉が開いてカエデ、ミリー、リンドが何やら布を胸の前に抱いている。え? なんで? もう産まれてるの?
「シュウ君、やっと起きたんだね。3人共元気な赤ちゃんを産んだわ」
「え? どういうこと? もう産まれたの? 産んだばかりなのに動いて大丈夫なの? え? どういうこと?」
俺は現状を理解できずに混乱していた。
スパーンッ!!
俺の頭に衝撃が走る。
「ただでさえ役立たずでしたのに、これ以上醜態をさらさないでください!」
後ろに現れたのは、ハリセンを持ったスカーレットだった。本当に、3人が妊娠してから遠慮が無くなったよな。
「じゃない! 何でもう産まれてるの? 鳴き声も聞こえるから、俺の子供が生まれたんだよね?」
「何でって、シュウは落ち着かなかったから、特製の紅茶で寝ててもらったのよ。私たちにまで足音が聞こえていたのよ? もっと落ち着きなさいよ」
リンドの言葉で更に混乱した。
「寝てた? 紅茶だけで? 俺が寝てたのか!?」
「あの睡眠薬は毒ではないですからね。なにせ、女神御手製の睡眠薬らしいですよ?」
チビ神のしてやったりの顔が思い浮かんだ。
『プププッ! 我が子の誕生に邪魔だと言われて寝ていたお父さん、おはようございます!』
くそ、やっぱり見られてたか。それより、何でこっちに干渉してきてるんだよ! お前の作った薬を何でこっちに送ってこれるんだよ! そのせいで、産まれる瞬間に立ち会えなかったんだぞ!
『そう言われてもね、あなたの奥さんから頼まれて用意しただけだし、あの子たちの信仰は心地いいのよね。あれだけ熱心に祈られたら、神の奇跡を授けないわけにはいかないのよ!』
心地いいって、俺の妻たち以外に信仰してくれる人がいないんじゃないのか?
『ギクッ!』
ギクッて言っちゃってるし。それにしても、妻たちのお願いだったのか……俺がこうなる事を見越していたのか、もっと大丈夫だと思ってたのに全然ダメだったみたいだ。
「シュウ、シュウの期待にはそえなかったけど、元気な赤ちゃんが生まれたわよ。見てあげて」
カエデが申し訳なさそうな顔をしてそう言ってきた。
「期待にはそえなかった? 元気な赤ちゃんが産まれたんだろ? 十分じゃないのか?」
「違うの、3人共、女の子だったのよ……ごめんね」
カエデ、ミリー、リンドが申し訳なさそうに謝ってきた。
「は? 別に女の子で元気に生まれて来てくれたら十分じゃないか! あ~でも、大きくなって……パパの服臭いから、一緒に洗わないでとか言われたら立ち直れないかも」
どう育つかもわからないのに、そんな事を言っている俺に生暖かい視線が集まる。
「おぉ! みんな可愛いな! もっとお猿さんみたいなのを想像していたけど、思った以上にもう赤ちゃんなんだな。みんな同じくらいの重さかな?」
「そうですね。ご主人様のお子様はみんな同じくらいの大きさで産まれていますね。ですが、ほぼ同時に産まれてしまったので、どう順番をつけていいか悩んでいます」
アマレロがそんな事を言っている。
「3人の長女って事でいいんじゃない? みんな長女でいいじゃない? 上下をわける必要なんてないだろうしさ」
「ですが、区別する時に必要ではないですか?」
「ん~区別する必要がないから、良いんじゃない? あれ? カエデの赤ちゃん、ドワーフじゃないか?」
俺は違和感を感じてマップ先生で子どもたちを見てみると、
「カエデの娘はドワーフだね。リンドの娘もドワーフか、ミリーの娘は、猫耳猫尻尾の可愛いキャットピープルだな。ハーフどころか、俺の要素を受け継いだ娘がいなくないか……」
俺の因子を受け継いでいる娘がいない事にショックを受けた。
『あんた、馬鹿じゃないの? あなたは子供をつくれても、普通の人間じゃないんだから、その世界にあなたの種族は残せないわよ。でも、あなたの特徴は受け継ぐだろうから安心しなさい。でもね、生意気な所とか受け継がれてほしくないな』
そっか、俺って人だと思ってたけど、普通じゃないんだった。そもそも、種族がダンジョンマスターだったのを忘れてたよ。
「何言ってるの? リンドの娘は目元、ミリーの娘は口、カエデの娘は頬とか耳が、シュウそっくりよ」
「そうね、産まれてすぐに人間の特徴が似てるなんて普通分からないわよ」
カエデとリンドが、俺に似ている所を上げてくれているが歯切れが悪い。
「似てるところはあっても、みんな女の子ですからね」
ミリーのセリフで何を考えているのか分かったが、
「そうだよな、女の子なのに男親の俺に似ちゃったって事は……はぁ、また娘たちに嫌われる要素かもしれないな。私女の子なのに、何でパパに似てるの! とか言われないだろうか? 可愛い3人に似たかったよな。みんなごめんね」
と、ちょっと茶化した言い方をすると、他の妻たちにも流れていた暗い雰囲気が少し和らいだように感じる。
「そうだ、この娘たちって俺が抱いても大丈夫か?」
「ご主人様のお子様なのですから、抱く事に何の問題があるのですか?」
「俺が抱いてこの娘たちに何か影響あったりしない?」
そんな事を言っていると、
スパーンッ!!
いつの間にか後ろに回っていたスカーレットが、俺の頭をまたハリセンで叩いていた。その音に驚いて、あかちゃんたちが泣きだしてしまった!
「ご主人様がバカな事言うからですよ」
おっと~叩いた原因を作った俺の責任になった。3人共が慌ててあやし始めるが、産まれたてなので何で泣いているか分かっても、どうあやしていいのか分からないのだ。
役に立たないと思われたのか、俺は蚊帳の外に置かれて妻たちであやし始めた。ん~子供が生まれて嬉しいけど、俺以外みんな女なんだよな。それがちょっと寂しいけど、無事に生まれてくれてよかった!
慌てて体を起こして周りを見渡す。廊下に置かれている長椅子で俺は眠ってしまっていたらしい。妻たち全員が揃っていたはずなのに、今は誰も見当たらない?
どういうことだ?
3人の痛みに耐える声は聞こえてこない。耳を澄ませると、話し声が聞こえるので近くにはいるようだ。
「みんなどこにいるの?」
そう声をあげると、扉が開いてカエデ、ミリー、リンドが何やら布を胸の前に抱いている。え? なんで? もう産まれてるの?
「シュウ君、やっと起きたんだね。3人共元気な赤ちゃんを産んだわ」
「え? どういうこと? もう産まれたの? 産んだばかりなのに動いて大丈夫なの? え? どういうこと?」
俺は現状を理解できずに混乱していた。
スパーンッ!!
俺の頭に衝撃が走る。
「ただでさえ役立たずでしたのに、これ以上醜態をさらさないでください!」
後ろに現れたのは、ハリセンを持ったスカーレットだった。本当に、3人が妊娠してから遠慮が無くなったよな。
「じゃない! 何でもう産まれてるの? 鳴き声も聞こえるから、俺の子供が生まれたんだよね?」
「何でって、シュウは落ち着かなかったから、特製の紅茶で寝ててもらったのよ。私たちにまで足音が聞こえていたのよ? もっと落ち着きなさいよ」
リンドの言葉で更に混乱した。
「寝てた? 紅茶だけで? 俺が寝てたのか!?」
「あの睡眠薬は毒ではないですからね。なにせ、女神御手製の睡眠薬らしいですよ?」
チビ神のしてやったりの顔が思い浮かんだ。
『プププッ! 我が子の誕生に邪魔だと言われて寝ていたお父さん、おはようございます!』
くそ、やっぱり見られてたか。それより、何でこっちに干渉してきてるんだよ! お前の作った薬を何でこっちに送ってこれるんだよ! そのせいで、産まれる瞬間に立ち会えなかったんだぞ!
『そう言われてもね、あなたの奥さんから頼まれて用意しただけだし、あの子たちの信仰は心地いいのよね。あれだけ熱心に祈られたら、神の奇跡を授けないわけにはいかないのよ!』
心地いいって、俺の妻たち以外に信仰してくれる人がいないんじゃないのか?
『ギクッ!』
ギクッて言っちゃってるし。それにしても、妻たちのお願いだったのか……俺がこうなる事を見越していたのか、もっと大丈夫だと思ってたのに全然ダメだったみたいだ。
「シュウ、シュウの期待にはそえなかったけど、元気な赤ちゃんが生まれたわよ。見てあげて」
カエデが申し訳なさそうな顔をしてそう言ってきた。
「期待にはそえなかった? 元気な赤ちゃんが産まれたんだろ? 十分じゃないのか?」
「違うの、3人共、女の子だったのよ……ごめんね」
カエデ、ミリー、リンドが申し訳なさそうに謝ってきた。
「は? 別に女の子で元気に生まれて来てくれたら十分じゃないか! あ~でも、大きくなって……パパの服臭いから、一緒に洗わないでとか言われたら立ち直れないかも」
どう育つかもわからないのに、そんな事を言っている俺に生暖かい視線が集まる。
「おぉ! みんな可愛いな! もっとお猿さんみたいなのを想像していたけど、思った以上にもう赤ちゃんなんだな。みんな同じくらいの重さかな?」
「そうですね。ご主人様のお子様はみんな同じくらいの大きさで産まれていますね。ですが、ほぼ同時に産まれてしまったので、どう順番をつけていいか悩んでいます」
アマレロがそんな事を言っている。
「3人の長女って事でいいんじゃない? みんな長女でいいじゃない? 上下をわける必要なんてないだろうしさ」
「ですが、区別する時に必要ではないですか?」
「ん~区別する必要がないから、良いんじゃない? あれ? カエデの赤ちゃん、ドワーフじゃないか?」
俺は違和感を感じてマップ先生で子どもたちを見てみると、
「カエデの娘はドワーフだね。リンドの娘もドワーフか、ミリーの娘は、猫耳猫尻尾の可愛いキャットピープルだな。ハーフどころか、俺の要素を受け継いだ娘がいなくないか……」
俺の因子を受け継いでいる娘がいない事にショックを受けた。
『あんた、馬鹿じゃないの? あなたは子供をつくれても、普通の人間じゃないんだから、その世界にあなたの種族は残せないわよ。でも、あなたの特徴は受け継ぐだろうから安心しなさい。でもね、生意気な所とか受け継がれてほしくないな』
そっか、俺って人だと思ってたけど、普通じゃないんだった。そもそも、種族がダンジョンマスターだったのを忘れてたよ。
「何言ってるの? リンドの娘は目元、ミリーの娘は口、カエデの娘は頬とか耳が、シュウそっくりよ」
「そうね、産まれてすぐに人間の特徴が似てるなんて普通分からないわよ」
カエデとリンドが、俺に似ている所を上げてくれているが歯切れが悪い。
「似てるところはあっても、みんな女の子ですからね」
ミリーのセリフで何を考えているのか分かったが、
「そうだよな、女の子なのに男親の俺に似ちゃったって事は……はぁ、また娘たちに嫌われる要素かもしれないな。私女の子なのに、何でパパに似てるの! とか言われないだろうか? 可愛い3人に似たかったよな。みんなごめんね」
と、ちょっと茶化した言い方をすると、他の妻たちにも流れていた暗い雰囲気が少し和らいだように感じる。
「そうだ、この娘たちって俺が抱いても大丈夫か?」
「ご主人様のお子様なのですから、抱く事に何の問題があるのですか?」
「俺が抱いてこの娘たちに何か影響あったりしない?」
そんな事を言っていると、
スパーンッ!!
いつの間にか後ろに回っていたスカーレットが、俺の頭をまたハリセンで叩いていた。その音に驚いて、あかちゃんたちが泣きだしてしまった!
「ご主人様がバカな事言うからですよ」
おっと~叩いた原因を作った俺の責任になった。3人共が慌ててあやし始めるが、産まれたてなので何で泣いているか分かっても、どうあやしていいのか分からないのだ。
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