ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,036 / 2,518

第1036話 子供のために……

しおりを挟む
 子どもたちが産まれて1週間が経った。

 子どもたちは元気よく泣いて、いっぱい母乳を飲んで、しっかりと出すものを出している。夜泣きをするが、食事のおっぱいをもらったり、お尻を綺麗にしてもらえると、鳴き声もピタッと止んだ。

 3人もいるので、俺も面倒を見たかったのだが、今の所完全に排除されている。

 それの主な原因は、シルキーやブラウニーが『私たちの仕事をとらないで!』と家で働いている全員で言いに来たため、俺も参加したいとは言えなかった。

 さすがに母親や俺たちの嫁までは排除しなかったが、俺はそう言った面倒を一切見れていない。だけど、一緒に遊ぶというか遊ばれるというか、一緒に時間を過ごす事はしてほしいと言われているので、昼間は工房で物作りをして、時間になったら速攻で家に帰ってきて指を握られたりとスキンシップをとっている。

 あまり長い間抱いていてもいいのか分からないので、赤ちゃん専用に作った床全体がクッションになっている特別製の部屋を用意して、そこで同じように横になりながら3人の様子を見ている感じだ。

 あまりに長い時間入り浸るので、追い出されてるけどね。

 3人の名前が決まった。

 カエデの子供は、同じ花の名前でスミレ。

 ミリーの子供は、ミーシャ。頭文字を同じのにする事が多いと聞いたので。

 リンドの子供は、ブルム。伝説上のドラゴン、リンドブルムから名前をもらっている。母親がリンドと言う事もあって、ブルムと名付けた。

 今、我が家は、3人の子どもたち中心に動いている。俺が優先されていないわけではないが、一番優先される対象の俺が子どもたちを優先しているので、そういう流れになっている感じだ。

 でも、シルキーたちの対応が冷たいです。シルキーたちから見たら、俺がかまいすぎるのが邪魔なようで、良く部屋から追い出されるのだ。

 そういえば、写真もいっぱいとっている。同じような体勢の写真をたくさん撮っていて、みんなに見せるため1日に撮っていい枚数が決められてしまった。赤ちゃんの負担にもなるから! って、シャッターの時にフラッシュたいてないけど、赤ちゃんから俺を遠ざけたいらしい。解せぬ。

 ただ一言、そんな事ばかりしてると嫌われるよ。と言われた事で、慌てて接し方を考えてしまったのは仕方がない事だろう。

 かまいすぎると嫌われるかもしれないけど、あまり相手にしないと「あんた誰?」みたいな事になりそう。バランスが難しい!

 高校の女友達に聞いた話で、父親の事を夜遅くに来て朝帰ってく男の人、と認識されていた可哀そうなお父さんがいたのだ。それ聞いた時、なんか切なくなっちゃったよ。あまりに接点が少なくて、父親だと思ってなかったらしい。

 かといって、パパ嫌い! とも言われたくないし、もうちょっと大きくなったら、一緒に昼寝でもしたら親近感持ってくれるかな?

 妻たちに知られたら、何考えてるんだ? とか思われそうなことを、真剣に考えていた。

 それにしても赤ちゃんって、1日に10回以上も排泄をするんだね。日本の紙おむつは優秀なのか、1回目では赤ちゃんが不快を感じないのだろう、泣く事はほとんどなさそうだ。

 ちなみに紙おむつの処理は、粘液スライムがしてくれている。というか、紙おむつに限らず、ゴミは全て粘液スライム任せである。

 地下下水にいるスライムとは別の種類で、自分の体にふれた地形以外の物を取り込んでしまうので扱いが難しいのだが、穴の中に入れておけば落ちない限り危険はない。とても便利な奴らである。

 そういえば、この1週間で微量の電気を発する魔導具の作成には成功した。ただ、どうやってその威力を増幅するかの目途が立っていないので、なかなか先へ進まない。

 そしてドワーフたちは、水車を動力とした織機を作ってしまった。舐めてるつもりはなかったけど、ドワーフたちを舐めていたようだ。その過程で、歯車も簡単に作っており、物作りへの並々ならぬ執念がうかがえた。

 そのおかげで、ミシンの動力部分は簡単に作る事が出来た。

 問題は、ボビンやその細部、ミシンの肝の針を上下させる部分、針の上下に合わせて一定の距離生地を動かす機構。色々と問題はあるが、針を上下させる部分はピストンにも使う技術を、応用できるのでさほど難しくなかった。

 設計図があってもボビン周辺の細かな機構が難しく、そこの調整に苦労している。ドワーフたちが。俺たちには手が出せないので、細かい調整は全部ドワーフ任せである。

 ズボンの裾を縫うためにボビンの所のコンパクト化を目指しているため、ドワーフたちは苦労しているようだ。というか、初めから何でそこまで、って設計図の所為か。設計図があるのに作れないなんて言うのが許せないのかもしれないな。

 暇ができてしまい、娘たちに会いたいと思っても、すぐに追い返されるのは分かっているので、何かいい方法がないかと思って色々考えている。

 監視カメラで様子を見るのはどうかと思ったが、妻たちに話をした瞬間に却下された。娘たちがいる場所は掌握している範囲ではあるが、ダンジョンの中ではないためダンジョンの監視機能で見る事ができないんだよな。

 昨日、猫たちが娘たちの近くで、丸くなって寝てたな。猫たちは近くにいて大丈夫かと思ったのだが、対策をしっかりしているのか、抜け毛などは問題ないそうだ。どうやら、綾乃がクリエイトゴーレムで作ったペット用の魔導具のおかげで、抜け毛がすぐに回収されるらしい。どういう機能なのやら?

 ただ、ペットたちなら近付けるのか? ならば! 召喚してみたいと思っていた、猫型の精霊ケットシーを召喚して、娘たちの守護神ならぬ守護精霊になってもらうか? 娘たちの安全を考えると安心できるという物だ! そして、視覚共有をして様子を見る。完璧な作戦だ!

 よっし! 今日帰ったら相談しよう! その日は早退ぎみで帰ったのは言うまでもない。

 内容を話した結果、そこまでして娘たちの事を見たいのか? みたいな事を言われてしまったが、見たいに決まっているじゃないか!

 だって、みんな可愛いんだぞ! ミリーの娘は、あんな愛くるしい赤ちゃんにケモミミが付いてるんだぞ? その娘と一緒にカエデとリンドの娘が寝てる姿なんて、見たいに決まっている!

 何とかケットシーの召喚は許可してもらった。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...