ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1384話 自覚?

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 俺たちは朝食後に分娩室の隣にある安静室の前に来ている。まだ生まれたばかりの赤ちゃんはこの中で、ピーチと一緒に過ごしている。ブラウニーも新しく呼んだ、専属ケットシーもスライムも中にいるけどね。

 アメーバ状のスライムは、雑菌ばい菌だらけなのだが、うちのニコから分裂して生まれたスライムたちは、完璧な無菌状態になることができる。スライムの特性なのだろう、全てを体内に取り込んで消化してしまうのだ。それにクッションとしても優秀なので近くにいてもらっている。

 ミリーたち母親は、妊娠している残り2人のところへ行き話を聞いている。出産が近付くにつれて不安になっているので、経験者としてミリーたちが近くにいてくれているのだ。

 プラムは起きているようでピーチに抱かれており、手を伸ばしたりしてピーチを触っている。ピーチの肩の上にいるケットシーの尻尾がいいのか触れられると、喜んだような声を出している。もしかして、産まれてすぐにケモラーとなったのだろうか?

 ん? まてよ、うちの子たちはみんなケモラーだったな。ケットシーや猫たち、俺の従魔たちが惜しみない愛を注いでいるし、面倒も見ているからな。

 ミーシャたちはピーチがプラムの顔が見えるように体を傾けてくれているところに「プラムちゃん、お姉ちゃんですよ~」と微笑ましい姿をせてくれている。

 さすがにまだ見えない子にお姉ちゃんですよ~って言ってもな。声は聞こえてくれているから、何となくわかるのだろうか? って生まれたばかりの赤ちゃんって、音というより振動で感じているんだっけ? ん~わからんや。

 それにしてもプラムが生まれた事によって、ミーシャたちにお姉ちゃんとしての自覚が出て来たのだろうか? この子たちって自分より小さい子供がいなかったから、実感がなかったのかもしれないな。今実際にプラムを見て実感がわいたとか?

 これが地球だったら、弟や妹にお母さんをとられて、退行してしまう子もいるって話だよな。そういう意味では、一夫多妻制だと子たちの感じ方が変わるのかな? それにうちは母親以外にもたくさんいるしな、退行する子はいないのかもしれないな。

 そんなことを考えていると、体が揺さぶられる感覚して現実に引き戻される。

「とーたん、いつになったらプラムちゃんと遊べるようになるの?」

 ミーシャがそんなことを訊いてくる。

「そうだな……一緒に遊べるのはまだ先だと思うけど、シルキーやブラウニーたちから許可が出れば、近くにいることはできるよ」

 俺の答えに若干の不満を見せるが、近くにいられるっていう部分には大いに反応を見せた。面倒を見る! とか言っているけど、ブラウニーたちに怒られるようなことはするなよ。俺も手を出そうとすればすぐに怒られるからな!

 プラムが寝てしまったのでミーシャたちの興味が違うところへ向いた。もうすぐ予定日のアリスとマリーのところだ。

 そこには母親もいるので、3人とも母親の膝の上に座りアリスやマリーとお話を始めた。少し離れた位置で、俺の膝の上にはもちろんウルを乗せている。何も言わずに自然な流れで胡坐の上に乗せたので戸惑っていたが、お腹をホールドして座らせたので大人しく座っている。

 しばらくすると、俺の膝の上を争うようにミーシャたちが突撃してきた。胡坐の中にウルがいるので、両膝は空いている。でも座りたいのは、ミーシャ・スミレ・ブルムの3人……誰が座るかプチ喧嘩を始めてしまった。

 そんな様子をみていたウルが、手をどかすようにお願いしてきたのでどかすと、3人で仲良く座るように注意をした。体の一番大きなミーシャがウルのいた胡坐の中で、スミレとブルムが両膝に座った。ウルは3人の前に座って4人で話し始める。

「シュウ君、その子たちの面倒を看てくれてありがとね。本当に助かってるわ。アリスたちも初めてだから、気持ちが不安定になってるみたいでね……シュウ君にも近くにいてもらいたいみたいだけど、不安でつぶれそうな状態の時に、あたってしまうのが怖いみたいなの」

「別に可愛い妻が不安になって、当たり散らしたからって気にしないんだけどね。それが分かってても近くにいさせないっていうことは、何か理由があるんだろ? だったら俺は俺のできることをしないとな。それに娘たちと一緒にいられるのは嬉しいからな。ミーシャたちはお父さんと一緒いるのは嫌か?」

「「「とーたんと一緒! 嬉しい!」」」

「そうよね、私たち母親に比べれば、シュウ君が娘たちと一緒にいられる時間って短いもんね。この子たちもシュウ君のことが好きみたいだしね。アリスたちもシュウ君の気持ちは分かっているけど、もし当たり散らしてしまったら、あの子たちが病んでしまうからね。だから私たちが近くにいるのよ」

 なるほど、そういう理由だったのか。頭で分かっていても、もし当たり散らしてしまったらって考えると、自責の念に囚われてしまうって感じかな? そんなことで苦しむくらいなら、今は遠くから見守ろう。後でいっぱいお礼を言って、感謝の気持ちを伝えればいいかな?

「了解。もし俺が必要になったら呼んでくれたらいいから。もし病むようなことがあっても、何とかするから。絶対に2人は無理をさせないでくれ。先輩として良く看てあげてほしい。さぁみんな、お母さんたちに負担を掛けないように、そろそろ行こうか? 何して遊ぼう?」

 ミーシャたちを降ろしてから、4人を引き連れて遊ぶ事にした。

 この子たちもゲームをできるのだが、理解して遊んでいるのではなく何となく動かして、それを見て楽しんでいるというレベルなので、ゲームよりアニメを見たりする方が好きなんだよな。前の続きでも一緒に見るか?

 リビングに戻ると、スカーレットが待っていた。あれ? 俺なんかしたっけ? 怒られるようなことは何もしていないと思うけど……自信が無くなって来た。

 どうやら俺の心配は杞憂に終わった。スカーレットは、ピーチの赤ちゃんが生まれたことで、ウルたちに赤ちゃんについて話をしたいのだとか。

 ミーシャたち3人は普段、あまり集中力が持続することはないのだが、妹……プラムに関する事だと聞いて、真剣な様子でスカーレットの話を聞いている。どこまで理解しているのか分からないけど、大切なことだということは分かっているようだ。
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