ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1386話 少しは休めだって

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 目を覚ましトイレから戻って来たウルたちは、いつものように元気いっぱいだった。

 プラムが起きていると聞いたので、また4人で窓に張り付いている。今回は母親に抱きかかえてもらっているのではなく、台を準備して自分たちの足で立って中をのぞいている。

 ちっちゃいね~かわいいね~と言いながら、所々でお姉ちゃんですよ~と言っているあたり本当にうれしいのだと思う。さっきのスカーレットの話で、プラムはまだ目が見えないと言っているんだけどな。

 見えても見えなくても関係ないんだろうな。

 それにしても産まれてまだ1日も経っていないのに、何か様子が変わって来たな。別人とまではいわないが、産まれたときがお猿さんみたいだったのに、今は人の子供っぽく見える……何だろね。

 もう少し大きくなったら、どっちに似ているか分かるかな? ミーシャ・スミレ・ブルムの3人は、しっかりと母親に似たので、現状では100パーセント母親に似ている。俺に似たところと言えば、寝相とか食いしん坊とかだろうか?

 俺の種族的にも、母親の血が濃く出るみたいだしな。カエデのハーフドワーフは、ドワーフになってしまったけどね。

 おそらくだけど、スミレは合法ロリドワーフにも、ビヤ樽ドワーフにもならないと思う。カエデの見た目に近いものになりそうだと感じている。ブルムはリンドと同じように合法ロリドワーフになるんじゃないかな?

 そう考えるとスミレは、ヒューマンの見た目に近い初ドワーフなるかもしれないな。

 プラムはヒューマンだからピーチの種族に……って俺も元々はヒューマンだったはずなんだけどね! 今は俺の種族は『?』になってるからな! 神でもわからんのかい! あれ? そういえば、この世界に転移してきた時ってダンマスって出てなかったっけ?

 あれ? 俺ってダンマスですらなくなったのか? 鑑定では種族人間って出ます……みたいなことが掛かれていたような? 今ではそれすらなくなってる!? これは手抜きか?

 おや? プラムが泣き出してしまった。そうすると、ミーシャたちが慌て始めた。どうしよう! とか言っているが、君たちにできることは何もないぞ。多分お腹が空いてるんだと思うぞ。

 赤ちゃんは食事の時以外は、寝ていることが多いっていうからな。

 ほら、ピーチが胸を出してプラムを誘導すると、吸いついた。結構勢いよく吸いつくんだな。ミーシャたちの時もこんなだったっけ?

 ご飯だったのかと安心した表情をみせた。早ければそろそろうんちが出始めるのかな? まぁよく分からんが、赤ちゃんのうちは迷惑かけるのが仕事だからな。ピーチ・アリス・ライラたちが、ノイローゼにならないようにみんなと一緒に協力しないとな。

 しばらくするとお腹がいっぱいになったのか眠ってしまった。

 お昼寝の邪魔をしてはいけないので、ウルたちを連れて移動する事にした。お昼を多く食べたから、少し運動しておきたいな。娘たちも体を動かしてもらうか。

「4人とも少し体を動かそうか? 外で遊ぶわけじゃないけど、あの部屋にいかないか?」

 あの部屋と聞いて娘たちが目を光らせた。

 あの部屋とは簡単に言ってしまえば、室内子ども用アスレチックフロアだ。子どもたちだけでは利用させない、ちょっと危ない場所もある遊び場である。安全を期すためにスライムたちを限界まで動員する。

 小学校の校庭にあるような雲梯やのぼり棒、ブランコ、ジャングルジム等もあるが、ミーシャたちの体の大きさに合わせたボルダリングも作っている。後はアスレチックにありそうなバランス感覚を養うような遊具がたくさんあるのだ。

 監視がつかないと危ない程度には、危険な遊具があるということだ。

 娘たちのステータスであれば怪我をすることはないのだが、だからといって何でも許可をするわけではない。

 そこで夕食に呼ばれるまで、4人と一緒に遊び続けた。改めて子どもの体力に驚かされた時間だったな。ダンジョンにもぐって戦闘するより疲れたよ。

 それから3日が過ぎた。その間は、娘たちと一緒に変わらずにプラムの様子を見たり遊んでいた。

 予定日の2日前のお昼頃にライラが産気づいた。陣痛が始まったようで、すぐに分娩室へ入って行った。すぐに生まれるわけではないが、ここの分娩室は病室のような物も併設しているので、20秒もあれば移動ができる。

 ライラも戦闘訓練や戦闘で痛いおもいをしているのだが、陣痛はそれとは痛みが違うのか大きな声をあげている。その声にウルたちが心配してしまったので、落ち着かせるためにリビングへ移動した。

 痛がっている声を聞いてしまったためか、ウルたちの精神状態があまり良くない。食事の前だったのだがこの状態でいるのも良くないと考えた俺と母親3人は、仕方がなく闇魔法で睡眠を促すスリープの魔法を使用した。

 抵抗はなかったのだが気持ちが高ぶっているというか、不安定なせいか少し強めにかけないと効果が表れなかった。シルクちゃんとツィード君に色々確認しながら魔法を使ったので、後遺症などはないだろう。

 そもそも闇魔法でも、悪夢を見させるナイトメアのような魔法でもない限りは、後遺症を起こすようなことはあり得ないと言っていた。

 娘たちが寝た事によって落ち着いた表情になったので、4人を並べていつものような状態で寝かせておく。今回は母親の3人が一緒にいるから、俺には休むように言ってきた。

 この5日間ずっと子どもたちに付きっきりだったから疲れているでしょ? という判断だった。確かに疲れているけど、娘たちの為だったから気にすることでもないと思っていた。だってこんなに可愛いんだから、疲れだって吹き飛ぶさ!

 何て言っていたら、部屋に入って来たシュリに羽交い絞めにされ、ライム・ジュリエット・レミー・イリア・ネルが俺の頭に触れた。

 そうすると俺の意識に靄がかかり暗い闇に閉ざされた。そこで初めてウルたちと同じように、スリープの魔法を使われたと理解した。おそらく1人では成功しないと判断したのか、魔法の得意な5人で俺にスリープの魔法を使ったのだろう。

 そのまま深い眠りへと落ちて行った。
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