ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1450話 一番の恩恵

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 俺たちは今、身内用のマイワールド移動部屋に来ている。

 今日は本当の意味で全員参加だ! ウルやミーシャたちだけでなく、意味も分からずにつれてこられたプラム・シンラ・シオンの3人も一緒だ。お母さんたちに抱っこされて、参加している。もちろんベビーカーも、専属のケットシーたちもついてきている。

 ちなみにうちの猫たちが、俺の前でニャーニャー叫んでいて何事かと思ったら、自分たちにもマイワールドを寄越せと言っているって、ケットシーが通訳してくれた。お前たち何も仕事してないだろ! って通訳させたら、ケットシーたちが仕方がないとばかりに、自分たちが働いた分で改造しますってさ。

 お前ら、しっかりケットシーたちにお礼を言っておけよ!

 ということで、子どもたちの面倒をみてくれているケットシーたちにもDPをあげる事になったが、どの程度あげていいか分からなかったので、ひとまず100万DPほど与えておいた。

 娘たちへの付与は、母親たちによってきめられており、今回だけは特別ということで10万DPを付与する事になった。妻たちには、基本無制限で使えるようにブラウニーたちを個人につけている。

 子どものいる6人と俺は、子どもたちの面倒をみないといけないので、自分のマイワールドは後回しである。俺の担当はウルだ。なので一緒に行動しようとしたら、俺には内緒にしておきたいと言われて拒否をされ、その場で崩れ落ちてしまった。

 その様子を見たウルは、俺を招きたいわけじゃなく、一番最初に招きたいから内緒にしておきたいとのことだった。とはいえ、1人にするのは心配だしよろしくないので、家から追加で1人ブラウニーを呼んで、ウルの相談に乗ってもらうように頼んでおいた。

 妻たちはみんな移動し終わったようで、俺も仕事がなくなったので自分のマイワールドに行こうとしたら……後ろから、クゥーンと情けない泣き声が聞こえてきた。

 振り向くとギンやクロたち先輩従魔に鼻で押されて、俺の方へ突き出されているダマを発見した。ダマ、お前って白虎だよな? 虎ってことはネコ科だろ? それなのにクゥーンって泣き声はどうなんだ? どうでもいいことを心の中で突っ込んでいた。

「で、ダマ……今回は何なんだ?」

『えっとですにゃ……先輩方が、自分たちにもマイワールドが欲しいと言われてまして、自分たちも今まで色々助けてきたし、お手伝いもしてきたと思うんです! だから、DPも沢山下さい! って言っていますにゃ』

「なるほどな。お前たちも俺の家族だもんな。自分たちの分は欲しいか……でも、1匹に1つはさすがにな。みんなで1つでもいいか? エリア毎に個々の意見は聞くから、仲良く使ってほしいんだが?」

 ガウガウ、キュウキュウ、聞き取れないほどの泣き声が聞こえて、ダマが必死に聞きとっている様子がうかがえる。

『それで構わないそうですので、よろしくお願いできますか?』

「了解だ。とりあえず、お前たちのゲートを準備したから、一緒に行くか」

 仕事がなくなったかと思ったら、新しい仕事が追加され、従魔たちのマイワールドを作る事になった。

「って、初めに作れっていうのが……まさか、自分たち専用の家とはね。お前たちらしいな。ここに合わせて好みのクッションや、椅子を準備させられる羽目になるとは。俺から見れば、自分の家はかなり大きい方だけど、お前たちみたいに体が大きいと、狭く感じるか」

 そして、最も力を入れてくれと言われたのが、子ども部屋を映すカメラの映像をここに取り込んでほしいと、従魔たちが俺を囲んで凝視してきたのだ。こいつら本当に子どもが好きだよな。俺の従魔だからか、その中でも特に、俺の子供¥どもたちにはデレデレである。

 って思ったけど、俺も、妻たちもたいして従魔たちと変わらないと思った。

 従魔たちは、基本的にディストピアも樹海も自由に行き来ができるように、首輪とか身分を証明できるものを身につけさせているので、運動したいときは自由に出て行くのだが、それとは別に思いっ切り運動できる場所が欲しかったそうだ。

 ダンジョン農園でも、よく走り回っているそうだが、さすがに全力で走っているわけではないらしい。何も気にせず動ける場所が欲しいんだってさ。

 後は、巨大な木を使ったキャットタワーみたいなのも欲しいと言っていたので、100キロメートル四方まで広げて森や草原、山岳地帯と色々な環境を準備して、中心となる家の横に高さ50メートルくらいの特製キャットタワーの様な物を作ってやった。

 水浴びやお風呂なども自由に入れるように、冷たい水、ぬるい水、お湯と分けて大きな湯船を準備してやった。周りは、ウッドデッキのようになっており、濡れた状態で移動をしても汚れないシステムだ。まあ汚れても、スライムたちも利用するから掃除してくれるだろう。

 クロやギンが思い思いに走っているところを見ると、ウォーホースたちにも準備してあげた方がいいのでは? と思うようになった。あいつ等は、毎日ではないが馬丁たちに連れられて、畑エリアで走っているみたいだけど、専用の場所を用意しようかな?

 1週10キロメートル位ある芝とダートコースを作り、その内側にも同じようにコースを作るが、こっちは起伏があったり、障害物があったりと、コースとしては難易度が高くしてある。遊ぶ場所としてちょうどいいかなと思う。

 コースの内側は、自由に動けるスペースになっているが、ウォーホースのスピードからすれば、狭い空間となってしまうだろう。だけど思いっ切り走る時は、コースがあるから大丈夫! そして、広くし過ぎると管理してくれている馬丁さんたちが大変だからね。

 このほかにも、水の温度を変えられ、負荷の高い運動を可能とする流れるプールエリアもあり、体を綺麗にするための強めに水が噴き出す機会を使って、体を洗えるスペースも作った。

 ウォーホースたちは頭がいいので、体を洗いたければ自分で起動して体を洗うだろう。実際に、畑エリアで遠くに水を撒く際のホースを咥えて、お互いに水をかけあっている姿を畑エリアで働いている人が見ていたりもするのだ。

 ウォーホースたちのいる厩舎から直接ここに来れるようにしておこう。明日、グリエルに報告してから馬丁に話を通すかな。後は、各街にいるウォーホースたちも利用できるように調整しないとな。

 従魔たちにとっては、概ね良い方向にすすんだのではないだろうか? 海賊船を攻略した恩恵を一番に受けているかもしれないな。今まで、窮屈な思いをさせていたのかもな。
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