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第1657話 意外な結果
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言い争いをしている綾乃とバザールに、「痴話喧嘩をするなら外でしろ!」と行ったところ、殴られた。
躱すことも出来たのだが、甘んじて殴られた。どうせ綾乃の拳で殴られても、痛くないので綾乃に殴ったという満足感? みたいなものを与えておけば収まるだろう。
バザールも俺のことを殴ろうとしてきたが、こいつには隷属魔法がかかっているので、殴る寸前で体が強制停止した。
でもさ、こいつにハリセンとかで叩かれたことがあるんだが、今回と前回で何が違うんだろうな?
変なことに頭を悩ませていたが切り替えて、何でダウンサイジングをお願いしていたのに、改良を行っていたのかを問い詰めた。
どうやら、据え置き用の大きなタイプのスチーム掃除機の改良を行ってから、次にダウンサイジングをしようと2人の中で決まったらしい。その理由を聞いたのだが、こいつらは上手く説明が出来なかったのだ。
それでどうして言い争いになっていたかと言えば、安全性とメンテナンスのしやすさから長く使えるものを作るべき! と主張する綾乃に対して、バザールは基幹部分は消耗品のようになるから、パーツと同じように簡単に取り換えられるものにするべき! と主張していたのだ。
どちらの主張もわかるが、正直どっちでもよかった。要は、消耗品になった場合のコストと生産性と安全性とメンテナンスのしやすさから、長く使えるもののコストを比べた時に、優秀な方を採用すればいいだろ。根幹に使っている魔道具に関しては、作りやすい魔道具の模倣をして作った物だからな。
消耗品って考えは正しいと思うから、おそらくバザールの考えが採用されるだろうが、そうすると分かりやすい問題が1つ発生する。
簡単に言えば、根幹の魔道具を簡単に壊れるように粗悪品にして、パーツ交換をわざと何度もさせて、お金を稼ぐといった詐欺的行為があり得る。
なので、バザールの消耗品の考えを取り入れながら、最低限の耐久性を確保する必要がある。ここまで考えて、2人のちょうど間の考えじゃね? とか思った。
俺たちがここで改良を加えたところで、耐久性や魔力の変換効率を叩き出せる魔道具を、作れる工房があるかって話んなんだよな。だから、魔道具の工房に根幹部に使う魔道具と同じ仕様の物を試作させ、コンペティションをすることで話がまとまった。
で、俺たちはダウンサイジングの話を始めた。
試作した据え置きタイプは、同時に何人も使うので出力がある程度高くなくてはいけなかったが、今回は小型にしても必要最低限の出力を、確保しなければいけないことが問題となるだろうか?
日本で市販されているハンディータイプを召喚してみたが、
「コンパクトだな」
「小さいでござる」
「科学技術って、やっぱりすごいのね」
俺たち3人の素直な意見だった。
魔道具の性質上、魔法陣を小さくすれば小さくするだけ出力が落ちる。大量の魔力を小さいものに流すと、一時的にだが出力は上がるがすぐに壊れてしまう。大きさと出力バランスの限界値がある程度決まっており、魔道具の制度によって限界値が上がる感じだろうか。
「俺たちが考案した立体魔法陣による魔導具ならコンパクトにできるけど、こればっかりは俺の妻までしか理解できなかったんだよな」
「でもでござる。確か、立体魔法陣は作れなかったでござるが、どこかの工房がコンパクトにした魔法陣を、重ねて出力を補強した話が無かったでござるか?」
そう言われて、記憶をほじくり返す。
確かにバザールの言っている仕様の魔道具は存在していた。だけどさ、その方法って結局採用されなかったんだよな。理由は簡単で、小さいのを複数並べた魔道具と大きいのが、1つの魔道具とで魔力消費を比べたところ、同じ効果を発揮するのに2~3倍も消費が大きかったのだ。
この世界の魔道具は魔石を消費して、魔力を引き出して効果を発揮するのだ。魔石はそこそこ値段が張るので、多少大きくなっても長持ちする方がいいという結論になったのだ。
さてさて、どうしたものやら。
とりあえず、根幹部分の魔道具を色々なサイズで作って、最低限の出力を確保できるサイズを見極めることにした。
それ以外の部分に関しては、クリエイトゴーレムを使って間に合わせを作って対応した。
2日後、最低限の大きさが判明する。
「このサイズなら使えると思うけど、他の工房に任せたら、ハンディータイプじゃなくて肩掛けサイズになるんじゃない?」
「だよな。俺たちが結構頑張って小さく精密に作ってこのサイズだもんな。他の工房に頼むとなると、それなりに大きくなるよな」
「これも、据え置き用と同じように、コンペティションを行えばいいのではないでござるか? 一番性能のいいのに合わせて、他のパーツを外注すれば問題ないのではござらんか?」
バザールの言う通りだ。すべて俺たちでやるというのは難しい。
「そうだな。一番性能のいいのに合わせればいいか。それでどうしようもなく大きくなるなら、日本の学校にある掃除機みたいに、キャスターをつけて移動できるようにすれば、使う人たちの負担は小さくなるか」
ということで、根幹部分はすべて魔道具工房に丸投げした。試作品で一番性能のよかった場所に発注をかけると言っておいたので、出来うる一番いいものを作ってくれるだろう。
それから1週間後、各魔道具工房から根幹部分の魔道具が持ち込まれ性能実験を行うことになった。
今回参加したのは8工房。発注をかけてもらったのはここの事務員だったので、何件依頼したのかは知らなかったのだ。予想よりも多くてびっくりしたよ。
6工房は、俺たちが出した仕様の中で限界値というものを作ってきたのに対して、残りの2つはコストパフォーマンスに重点を置いて作ってきたところと、仕様を多少逸脱してもバランスのいいものを作ってきた。
コスパに焦点を当てたのも感心するが、仕様を多少逸脱してもバランスのいいものをつくった工房には、正直驚かされた。
どっちのスチーム掃除機にしても、パーツは消耗品になるため多少のサイズ変更は、可能だろうという考えで逸脱したものを作っていたのだ。
そして、据え置き用のタイプには、その工房の物が一番適していたのも驚きの結果だった。逸脱しているマイナス点を補って余りある高得点だったのだ。
掃除部門に配置されるスチーム掃除機には、コスパを考えた工房の魔道具が採用された。王道の魔道具を作ってくれた6つの工房には申し訳ないが、こういう結果もあり得るのだと教訓を得て、次回からは限界値だけではなく、創意工夫をしてもらいたいところだ。
躱すことも出来たのだが、甘んじて殴られた。どうせ綾乃の拳で殴られても、痛くないので綾乃に殴ったという満足感? みたいなものを与えておけば収まるだろう。
バザールも俺のことを殴ろうとしてきたが、こいつには隷属魔法がかかっているので、殴る寸前で体が強制停止した。
でもさ、こいつにハリセンとかで叩かれたことがあるんだが、今回と前回で何が違うんだろうな?
変なことに頭を悩ませていたが切り替えて、何でダウンサイジングをお願いしていたのに、改良を行っていたのかを問い詰めた。
どうやら、据え置き用の大きなタイプのスチーム掃除機の改良を行ってから、次にダウンサイジングをしようと2人の中で決まったらしい。その理由を聞いたのだが、こいつらは上手く説明が出来なかったのだ。
それでどうして言い争いになっていたかと言えば、安全性とメンテナンスのしやすさから長く使えるものを作るべき! と主張する綾乃に対して、バザールは基幹部分は消耗品のようになるから、パーツと同じように簡単に取り換えられるものにするべき! と主張していたのだ。
どちらの主張もわかるが、正直どっちでもよかった。要は、消耗品になった場合のコストと生産性と安全性とメンテナンスのしやすさから、長く使えるもののコストを比べた時に、優秀な方を採用すればいいだろ。根幹に使っている魔道具に関しては、作りやすい魔道具の模倣をして作った物だからな。
消耗品って考えは正しいと思うから、おそらくバザールの考えが採用されるだろうが、そうすると分かりやすい問題が1つ発生する。
簡単に言えば、根幹の魔道具を簡単に壊れるように粗悪品にして、パーツ交換をわざと何度もさせて、お金を稼ぐといった詐欺的行為があり得る。
なので、バザールの消耗品の考えを取り入れながら、最低限の耐久性を確保する必要がある。ここまで考えて、2人のちょうど間の考えじゃね? とか思った。
俺たちがここで改良を加えたところで、耐久性や魔力の変換効率を叩き出せる魔道具を、作れる工房があるかって話んなんだよな。だから、魔道具の工房に根幹部に使う魔道具と同じ仕様の物を試作させ、コンペティションをすることで話がまとまった。
で、俺たちはダウンサイジングの話を始めた。
試作した据え置きタイプは、同時に何人も使うので出力がある程度高くなくてはいけなかったが、今回は小型にしても必要最低限の出力を、確保しなければいけないことが問題となるだろうか?
日本で市販されているハンディータイプを召喚してみたが、
「コンパクトだな」
「小さいでござる」
「科学技術って、やっぱりすごいのね」
俺たち3人の素直な意見だった。
魔道具の性質上、魔法陣を小さくすれば小さくするだけ出力が落ちる。大量の魔力を小さいものに流すと、一時的にだが出力は上がるがすぐに壊れてしまう。大きさと出力バランスの限界値がある程度決まっており、魔道具の制度によって限界値が上がる感じだろうか。
「俺たちが考案した立体魔法陣による魔導具ならコンパクトにできるけど、こればっかりは俺の妻までしか理解できなかったんだよな」
「でもでござる。確か、立体魔法陣は作れなかったでござるが、どこかの工房がコンパクトにした魔法陣を、重ねて出力を補強した話が無かったでござるか?」
そう言われて、記憶をほじくり返す。
確かにバザールの言っている仕様の魔道具は存在していた。だけどさ、その方法って結局採用されなかったんだよな。理由は簡単で、小さいのを複数並べた魔道具と大きいのが、1つの魔道具とで魔力消費を比べたところ、同じ効果を発揮するのに2~3倍も消費が大きかったのだ。
この世界の魔道具は魔石を消費して、魔力を引き出して効果を発揮するのだ。魔石はそこそこ値段が張るので、多少大きくなっても長持ちする方がいいという結論になったのだ。
さてさて、どうしたものやら。
とりあえず、根幹部分の魔道具を色々なサイズで作って、最低限の出力を確保できるサイズを見極めることにした。
それ以外の部分に関しては、クリエイトゴーレムを使って間に合わせを作って対応した。
2日後、最低限の大きさが判明する。
「このサイズなら使えると思うけど、他の工房に任せたら、ハンディータイプじゃなくて肩掛けサイズになるんじゃない?」
「だよな。俺たちが結構頑張って小さく精密に作ってこのサイズだもんな。他の工房に頼むとなると、それなりに大きくなるよな」
「これも、据え置き用と同じように、コンペティションを行えばいいのではないでござるか? 一番性能のいいのに合わせて、他のパーツを外注すれば問題ないのではござらんか?」
バザールの言う通りだ。すべて俺たちでやるというのは難しい。
「そうだな。一番性能のいいのに合わせればいいか。それでどうしようもなく大きくなるなら、日本の学校にある掃除機みたいに、キャスターをつけて移動できるようにすれば、使う人たちの負担は小さくなるか」
ということで、根幹部分はすべて魔道具工房に丸投げした。試作品で一番性能のよかった場所に発注をかけると言っておいたので、出来うる一番いいものを作ってくれるだろう。
それから1週間後、各魔道具工房から根幹部分の魔道具が持ち込まれ性能実験を行うことになった。
今回参加したのは8工房。発注をかけてもらったのはここの事務員だったので、何件依頼したのかは知らなかったのだ。予想よりも多くてびっくりしたよ。
6工房は、俺たちが出した仕様の中で限界値というものを作ってきたのに対して、残りの2つはコストパフォーマンスに重点を置いて作ってきたところと、仕様を多少逸脱してもバランスのいいものを作ってきた。
コスパに焦点を当てたのも感心するが、仕様を多少逸脱してもバランスのいいものをつくった工房には、正直驚かされた。
どっちのスチーム掃除機にしても、パーツは消耗品になるため多少のサイズ変更は、可能だろうという考えで逸脱したものを作っていたのだ。
そして、据え置き用のタイプには、その工房の物が一番適していたのも驚きの結果だった。逸脱しているマイナス点を補って余りある高得点だったのだ。
掃除部門に配置されるスチーム掃除機には、コスパを考えた工房の魔道具が採用された。王道の魔道具を作ってくれた6つの工房には申し訳ないが、こういう結果もあり得るのだと教訓を得て、次回からは限界値だけではなく、創意工夫をしてもらいたいところだ。
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