ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,875 / 2,518

第1875話 訪問

しおりを挟む
 えっと……とりあえず、ダンジョンバトルが終わり、報酬が支払われた。今回はこっちにDPの補充は無いが、敵のダンマスが大量に魔物を召喚して送り込んでくれたおかげで、その討伐でDPをがっぽり稼いでいる。

 正直なところ、今回のダンジョンバトルで使用したDPより、バトル中に稼いだDPの方がはるかに多い。厳密には使ったDPを覚えていないのでどのくらいとは言えないが、少なくとも10倍近く稼いでいると思う。

 減るよりは増えた方が良いけど、ただでさえ余っているのに……どうすんべ?

 敵のダンジョンマスターは、召喚の消費が100分の1であったが、俺が倒して得られるDPは通常と変わらなかったので、こういう結果になったということだ。もし獲得できるDPがゼロだったら、大幅な赤字だったね。だからといって、何の問題も無いのだけどね。

 っと、アイギスの盾を召喚できるようになり、収納のアイテムの中まで詳細を調べられるようになったので、スプリガンの皆さんへの負担が多少減っている。元々、大した手間ではなかったので、ケロッとしているけどね。

 なんていうか新しい監視室を作っているが、クリエイトゴーレムで作成したゴーレムニューロンが、そこそこ活躍しているので負担が元々大きくなかったのだ。

 新しい監視室を作ったときには忘れていたけど、さっきスプリガンに報告しに行った時に、ゴーレムニューロンの話をして思い出したのだ。綾乃も一緒にいて、忘れてたの? みたいな顔をされたけど、覚えてるわけないだろ!

 綾乃が覚えていた理由は、時々スプリガンにお願いされてメンテナンスしてたからだ。それで忘れてたら、さすがにお前の方がやばいからな!

「ゴーレムニューロンって長いな……なんかいい略称ないか?」

「私は勝手に、ゴロンとか、ゴー脳とか呼んでるわね。人間の頭だけがそこにある状態で、名前を付けるのもなんかね……だから、ただ短くして呼んでただけね」

「ん~、知性は獲得できてないのか?」

「知性自体は、作った当初からあるじゃない。物事を知って、判断したりしてるんだからさ。まぁ、言いたいこと話分かるわよ。ゴロンに関しては、ある事象を知って考え判断はできるけど、それだけよ。自分で勝手に判断して、反乱を起こすようなことは無いわよ。正確には、起こす気が無いと言うべきかしらね」

「起こすことがないと、起こす気がないって大分意味が違うけど、何で言い直した?」

「クリエイトゴーレムって、情報も引き出すことできるでしょ? 実際にやると頭が痛くなるほどの情報が、一気に流れてくるからやらないけどさ。でも、ゴロンの脳に検索機能みたいなのを、後付けしたのね。どう考えているか知りたいからさ、インターネットの検索エンジンみたいなのを、外部機能としてね。

 そしたら面白いことが分かったのよ。人工知能による反乱の可能性はあり得るんだけど、ゴロンには監視をさせているでしょ。そこであんたたちが訓練をしている姿を見て、反乱は止めようって思ったみたいね。一度は考えたみたいよ。倒せる相手じゃないって判断して、諦めてたけどね」

「あ~そう言うことか。もしゴロンとやらが、外部端末を手に入れたとしても、人造ゴーレムあたりが限界だもんな。どう考えても、俺たちには勝てんわな。まぁ1000体とかいたら負けるかもしれないんじゃないか?」

「それは無理でしょ。そもそも、あれが設置されているマイワールドには、生身で入ることは出来ないわよ。ゲート潰して、専用のドッペルを配置したの忘れたの?」

 言われてみて、追加で思い出した。

「だから、万が一にも反乱はありえないわ。もし何かあれば、ボタン1つで終わりだからね」

 スプリガンの皆さんにお願いされて、自爆スイッチのようなものを作ったらしい。もちろん、クリエイトゴーレムで作っているので、スキルの無いゴロンには干渉できない代物になっている。解析くらいはできるかもしれないけど、無効化はスキル無しには不可能だ。

 それなら安心だな。

「それよりも、早く行くわよ。あんたの娘さんたちも待っているみたいだから、早く来てって連絡が入ったわ」

 何かと仲のいい、俺の妻と綾乃は連絡を取り合っているみたいだ。そこらへんはどうでもいいけど、俺に連絡しないで綾乃に連絡したのはなぜや?

 着いて分かった。妻と連絡しているかと思ったら、今回は娘たちから早く俺を連れてきてとお願いされていたらしい。確かに、妻から連絡が来たなんて一言もいってねえな。上の子たちとはゲーム仲間で、ゲームが上手なお姉さんで通ってるからな。

「「「ガロウたちの所にいくよ!」」」

 ミーシャたちが声を揃えたが、俺のお迎えの言葉ではなく、催促する言葉だった……お父さんはしょんぼりだよ。

 それもそのはずなんだけどね。ガロウは昔こそギンたちに鍛えてもらっていたが、今はフェンリルを従える長みたいになっているから、専用のマイワールドを与えているんだよね。もちろん行き来は自由だけど、なかなか出てこないので、娘たちも会う機会が少ないのだ。

 今はLv800を超えている子フェンリルたちだが、生まれたころは小さくてよく遊びに来てたんだけどね。大きくなってからはあまり来なくなって、ミーシャたちが寂しがっていたのだ。そこで、今回のご褒美じゃないけど、会いに行くことを伝えたら、ビックリするくらいの駄々をこねたので連れていくことになった形だ。

 連れていくのが嫌なわけではないし、ガロウたちも連れていけば喜ぶからな。

「とうちゃーく!」

「「「っく!」」」

 綾乃と同じポーズをとった娘たちを見て、微笑ましくなる。娘たちのが両手をあげてポーズをとっている姿は可愛いけど、綾乃の歳でそれは……すいません、なんでもありません。

 到着するとそこには、フェンリル親子が待っていた。ガロウとオウカは寄り添って伏せているが、子フェンリルたちは子犬のようにじゃれ合っている。クロたちくらいのサイズで……大きいので迫力がね。

 子フェンリルたちが俺たちに気付き近寄ってきて、娘たちの取り合いを始めた。誰にブラッシングしてもらうか、そんな感じの取り合いだけどね。

 俺はガロウとオウカの間に挟まって、子どもたちの交流を眺めていた。ウルも一緒にわちゃわちゃしてるな。

 おや? 気付かなかったがミヤも一緒に来ていて、俺の膝の中に入って丸まった。神を殺すと言われているオオカミの間で寝るって……肝っ玉がデカいな!
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...