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第1章 精霊と共に追放された元聖女
第3話 精霊の力で困っている人を癒す
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王宮にあった自分の部屋に次いで、寝泊りする回数が多いムーちゃんの小屋で寝ようとしていると、
――ドンドンドン!
突然薄い石で出来た扉が激しく叩かれる。
何!? 一体、何なの!? と驚いていると、
「頼む! 開けてくれっ! 野盗に襲われて逃げてきたんだっ!」
外から焦る男性の声が聞こえてきた。
「大変っ! ちょっと待ってくださ……」
『リディア。開けるのはちょっと待って。ウチが本当かどうか確認してくる』
そう言って、エミリーが石をすり抜けて外へ出ると、すぐに戻ってきた。
『どうやら、襲われたのは本当みたい。男の人が結構なケガをしていて、かなり顔色が悪いね。あと、妹さん……かな? 小さな女の子が一緒に居て、怪我は無いものの、精神的にまいっているみたいだね』
(じゃあ、すぐに開けてあげないと)
『ただ、自作自演っていう可能性もあるからね。完全に信じちゃダメだよっ!』
もうエミリーったら、こんな時まで心配性なんだから……と、今はそれどころじゃないわね。
一先ず、扉を開け、エミリーから聞いた通りの二人――二十歳くらいの顔面蒼白な男性と、十二、三歳といったくらいの少女を中へ入れる。
「大丈夫ですか? 狭いですが、中へどうぞ」
「す……すまない、恩に着るよ。わ、私はクロード。エスドレア王国で商人をしている。こっちは……」
「それより先に傷の手当てを」
(エミリー。ディーネちゃんをお願い)
『了解っ! ……ウンディーネ!』
エミリーの呼びかけで水の精霊であるディーネちゃんが来てくれたので、コップ……とかが何も無い!
仕方がないので、両手で水をすくうように重ね、
(ディーネちゃん。私の手に生命の水を)
『お安い御用よ』
ディーネちゃんが生み出してくれた、傷を治す効果のある水が私の手のひらに溢れてきた。
「クロードさん。これを飲んでください。傷に効きますから」
「……こ、これは!? お嬢さん、まさか魔道士なのかっ!?」
「それより早く飲んでください。こ、こぼれちゃう……」
クロードさんが私の指先に口をつけ……き、緊急事態とはいえ、ちょっと恥ずかしく思っていると、
「凄い。これが噂の魔導具の力なのか」
ディーネちゃんの力であっという間に傷が治る。
ちなみに、私はエミリーに頼んで、その場で精霊さんに魔法を使って貰っているため、いわゆる魔道士――魔導具の扱いに長けた人たちとは違う。
違う……んだけど、実は聖女の説明が大変なので、王宮の外で精霊の力を使った時は、魔道士だっていう事にしている。
「どこも痛くない……傷跡すら残って無いなんて。お嬢さん、本当にありがとう」
傷が治り、血色の良くなったクロードさんが、恭しく私の手を取って……あ、あれ? クロードさんの傷を治す事に必死だったから気付かなかったけど、クロードさんって……かなり若い上に、ちょっと格好良くない?
顔立ちも整っているし、背も高くて、気品があるように見える。
……正直言って、あの第四王女ユフィ様よりも王族らしい気がする。
『リディア。男の人の次は、そっちの女の子も』
(あ……そ、そうだね)
いけない、いけない。
エミリーを始めとする精霊たちは、魔法と言っても過言では無い凄い力が使えるんだけど、それを現実世界で行使するには、聖女の――私の依頼が必要となる。
なので、今度は光の精霊であるオーちゃんの力で女の子の心を落ちつかせた。
「お嬢さん。この光は?」
「大丈夫です。気持ちを落ち着かせる効果のある光です。襲われたからなのでしょう。こちらの女の子がショックを受けていたので、それを少し和らげさせていただきました」
そう言って、女の子に目をやると、
「確かに不思議と不安な気持ちが……」
「――ッ! シャルロット様! 声が……」
「……ほ、本当だわっ! 声が、声が出てるっ! 夜盗に襲われた我々を助けてくれた上に、魔導具で私の呪いを治してくださるなんて……このご恩は一生忘れません!」
突然私の手を握り、上目遣いで見上げてきた。
精神的にショックを受けているとエミリーから聞いていたので、オーちゃんに状態異常を全て治癒する「癒しの光」という力を使ってもらったんだけど、この女の子は、何やら訳有りみたいだった。
――ドンドンドン!
突然薄い石で出来た扉が激しく叩かれる。
何!? 一体、何なの!? と驚いていると、
「頼む! 開けてくれっ! 野盗に襲われて逃げてきたんだっ!」
外から焦る男性の声が聞こえてきた。
「大変っ! ちょっと待ってくださ……」
『リディア。開けるのはちょっと待って。ウチが本当かどうか確認してくる』
そう言って、エミリーが石をすり抜けて外へ出ると、すぐに戻ってきた。
『どうやら、襲われたのは本当みたい。男の人が結構なケガをしていて、かなり顔色が悪いね。あと、妹さん……かな? 小さな女の子が一緒に居て、怪我は無いものの、精神的にまいっているみたいだね』
(じゃあ、すぐに開けてあげないと)
『ただ、自作自演っていう可能性もあるからね。完全に信じちゃダメだよっ!』
もうエミリーったら、こんな時まで心配性なんだから……と、今はそれどころじゃないわね。
一先ず、扉を開け、エミリーから聞いた通りの二人――二十歳くらいの顔面蒼白な男性と、十二、三歳といったくらいの少女を中へ入れる。
「大丈夫ですか? 狭いですが、中へどうぞ」
「す……すまない、恩に着るよ。わ、私はクロード。エスドレア王国で商人をしている。こっちは……」
「それより先に傷の手当てを」
(エミリー。ディーネちゃんをお願い)
『了解っ! ……ウンディーネ!』
エミリーの呼びかけで水の精霊であるディーネちゃんが来てくれたので、コップ……とかが何も無い!
仕方がないので、両手で水をすくうように重ね、
(ディーネちゃん。私の手に生命の水を)
『お安い御用よ』
ディーネちゃんが生み出してくれた、傷を治す効果のある水が私の手のひらに溢れてきた。
「クロードさん。これを飲んでください。傷に効きますから」
「……こ、これは!? お嬢さん、まさか魔道士なのかっ!?」
「それより早く飲んでください。こ、こぼれちゃう……」
クロードさんが私の指先に口をつけ……き、緊急事態とはいえ、ちょっと恥ずかしく思っていると、
「凄い。これが噂の魔導具の力なのか」
ディーネちゃんの力であっという間に傷が治る。
ちなみに、私はエミリーに頼んで、その場で精霊さんに魔法を使って貰っているため、いわゆる魔道士――魔導具の扱いに長けた人たちとは違う。
違う……んだけど、実は聖女の説明が大変なので、王宮の外で精霊の力を使った時は、魔道士だっていう事にしている。
「どこも痛くない……傷跡すら残って無いなんて。お嬢さん、本当にありがとう」
傷が治り、血色の良くなったクロードさんが、恭しく私の手を取って……あ、あれ? クロードさんの傷を治す事に必死だったから気付かなかったけど、クロードさんって……かなり若い上に、ちょっと格好良くない?
顔立ちも整っているし、背も高くて、気品があるように見える。
……正直言って、あの第四王女ユフィ様よりも王族らしい気がする。
『リディア。男の人の次は、そっちの女の子も』
(あ……そ、そうだね)
いけない、いけない。
エミリーを始めとする精霊たちは、魔法と言っても過言では無い凄い力が使えるんだけど、それを現実世界で行使するには、聖女の――私の依頼が必要となる。
なので、今度は光の精霊であるオーちゃんの力で女の子の心を落ちつかせた。
「お嬢さん。この光は?」
「大丈夫です。気持ちを落ち着かせる効果のある光です。襲われたからなのでしょう。こちらの女の子がショックを受けていたので、それを少し和らげさせていただきました」
そう言って、女の子に目をやると、
「確かに不思議と不安な気持ちが……」
「――ッ! シャルロット様! 声が……」
「……ほ、本当だわっ! 声が、声が出てるっ! 夜盗に襲われた我々を助けてくれた上に、魔導具で私の呪いを治してくださるなんて……このご恩は一生忘れません!」
突然私の手を握り、上目遣いで見上げてきた。
精神的にショックを受けているとエミリーから聞いていたので、オーちゃんに状態異常を全て治癒する「癒しの光」という力を使ってもらったんだけど、この女の子は、何やら訳有りみたいだった。
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