精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた

向原 行人

文字の大きさ
58 / 79
第3章 精霊と新しい暮らしを始める元聖女

第43話 商店街でのお買い物

しおりを挟む
 先日現れた、商人ギルドに雇われたという男性を捕まえてから、数日。
 何故か家を監視してくる変な人もいた訳だし、暫くは家の中で大人しく隠れて居ようと、家事のお手伝いをしつつアクセサリー作りを楽しんでいたんだけど、

「しまった……。材料が無いや」

 作ろうと思ったアクセサリーに必要な材料の、手持ちが無い事に気付いた。

『ん? いつもレオナに頼んでいなかったっけ?』
(そうなんだけど、今日は違う物を作りたい気分になったから、材料をお願いしてなかったの)
『じゃあ、昨日と同じ物を作ったら?』
(ダメダメ。もう私の手と心が、あのアクセサリーを作れって叫んでいるからね。この熱い衝動は覆せないよ)
『……どこの芸術家なのさ。まったく』

 エミリーには呆れられてしまったけれど、今まで作っていた可愛らしいアクセサリーに一区切りがついた所で、クールな感じのアクセサリーが作りたいって思ってしまったんだもん。
 この想いは、絶対アクセサリーにぶつけないとね。

『で、どうするの?』
(もちろん買いに行くよ。幸い、この前空から街を見たおかげで、だいたい場所が分かったしね)
『ふぅん。でも、商人ギルドには行かない方が良いんじゃない?』
(あー、確かにそうだね。じゃあ、商店街にある個人商店を見て回ろうっと。案外、そういうお店の方が、穴場的に良い物を扱っていたりするもんねー)

 念の為、工房――と勝手に呼んでいる私が使っている部屋から、完成したアクセサリーや作りかけのパーツなんかを、全てイドちゃんの力、何でも収納箱へしまってもらい、

「セーラさん。ちょっとだけ、お出掛けしてきますねー」
「あらリディアちゃん。お散歩かい?」
「はい、そんな所です。インスピレーションを得る為には、散歩が最適なので」
「いんす……? よく分からないけど、気を付けてね」

 セーラさんに外出する旨を伝えて商店街へ向かう。
 平日のお昼過ぎだからか、そこまで人も多くないし、人混みに紛れて襲われたりする事もなさそうね。

「何かしら、凄く良い香り……あの串焼きのお店ね」
「あ! この雑貨屋さん、可愛い!」
「こんな所に、手芸屋さんがあるんだ! ……そう、これ! こういう生地が欲しかったの!」

 商店街を歩き、いろんなお店を見て回って、目当ての材料を見つけた。

『途中、関係ない所へ立ち寄りまくっていたけどねー』
(あはは。まぁでも、ちゃんと目的の物を見つけたから良いじゃない)
『まぁウチは別に構わないけど……って、あれ? リディア。あの前の方に居る男……この前言ってたカイルって男だよ』
(えっ!? あの、クロードさんの家を見張れって他の街の人を雇ったっていう?)
『うん。あ、どこかの建物に入るね。えーっと、冒険者ギルドって書いてあるね』
(本当だ。どうしよう。私たちも入って様子を伺ってみる?)

 あれ以来、一応誰も家の近くには来ていなさそうだけど、依然として何が目的だったのかは分かっていない。
 なので、放っておいても良さそうだけど、気持ち悪いので確認してみたいという思いもある。

『リディアが行ったら危ないからダメだってば』
(でも……)
『だから、リディアじゃなくて、ウチが行けば良いじゃない。という訳で、行ってくるねー!』

 そう言って、私の返事も待たずにエミリーが冒険者ギルドの中へと入って行った。
 なんだかんだ言っていたけど、エミリーはこういう人の秘密を聞くのが好きな所があるから、ただただ好奇心で行っているだけのような気もするんだけど。
 そんな事を考えていると、早くもエミリーが戻って来た。

(エミリー。随分と早かったけど、どうしたの?)
『リディア、大変だよ! あのカイルって男が、レオナと談笑してるっ! あれは顔見知りっていうより、仲間……なんじゃないかな?』

 え!? ど、どういう事っ!?
しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

追放された元聖女は、イケメン騎士団の寮母になる

腐ったバナナ
恋愛
聖女として完璧な人生を送っていたリーリアは、無実の罪で「はぐれ者騎士団」の寮へ追放される。 荒れ果てた場所で、彼女は無愛想な寮長ゼノンをはじめとするイケメン騎士たちと出会う。最初は反発する彼らだが、リーリアは聖女の力と料理で、次第に彼らの心を解きほぐしていく。

【完結】傷モノ令嬢は冷徹辺境伯に溺愛される

中山紡希
恋愛
父の再婚後、絶世の美女と名高きアイリーンは意地悪な継母と義妹に虐げられる日々を送っていた。 実は、彼女の目元にはある事件をキッカケに痛々しい傷ができてしまった。 それ以来「傷モノ」として扱われ、屋敷に軟禁されて過ごしてきた。 ある日、ひょんなことから仮面舞踏会に参加することに。 目元の傷を隠して参加するアイリーンだが、義妹のソニアによって仮面が剥がされてしまう。 すると、なぜか冷徹辺境伯と呼ばれているエドガーが跪まずき、アイリーンに「結婚してください」と求婚する。 抜群の容姿の良さで社交界で人気のあるエドガーだが、実はある重要な秘密を抱えていて……? 傷モノになったアイリーンが冷徹辺境伯のエドガーに たっぷり愛され甘やかされるお話。 このお話は書き終えていますので、最後までお楽しみ頂けます。 修正をしながら順次更新していきます。 また、この作品は全年齢ですが、私の他の作品はRシーンありのものがあります。 もし御覧頂けた際にはご注意ください。 ※注意※他サイトにも別名義で投稿しています。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

【完結】いくら溺愛されても、顔がいいから結婚したいと言う男は信用できません!

大森 樹
恋愛
天使の生まれ変わりと言われるほど可愛い子爵令嬢のアイラは、ある日突然騎士のオスカーに求婚される。 なぜアイラに求婚してくれたのか尋ねると「それはもちろん、君の顔がいいからだ!」と言われてしまった。 顔で女を選ぶ男が一番嫌いなアイラは、こっ酷くオスカーを振るがそれでもオスカーは諦める様子はなく毎日アイラに熱烈なラブコールを送るのだった。 それに加えて、美形で紳士な公爵令息ファビアンもアイラが好きなようで!? しかし、アイラには結婚よりも叶えたい夢があった。 アイラはどちらと恋をする? もしくは恋は諦めて、夢を選ぶのか……最後までお楽しみください。

奈落を封印する聖女ですが、可愛い妹が追放されたので、国を見捨てる事にしました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 ファンケン公爵家の長女クラリスは本来家を継ぐ立場だった。だが奈落の底に住む魔族を封印する奈落の聖女に選ばれてしまった。聖なる役目を果たすため、クラリスは聖女となり、次女のエレノアが後継者となった。それから五年、両親が相次いで亡くなり、エレノアは女性ながら公爵となり莫大な資産を引き継いだ。その財産に目をつけたのが、日頃から素行の悪い王太子アキーレヌだった。愛人のキアナと結託し、罠を仕掛けた。まず国王を動かし、エレノアを王太子の婚約者とした。その上で強引に婚前交渉を迫り、エレノアが王太子を叩くように仕向け、不敬罪でお家断絶・私財没収・国外追放刑とした。それを奈落を封じる神殿で聞いたクラリスは激怒して、国を見捨てエレノアと一緒に隣国に行くことにしたのだった。

無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています

如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」 何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。 しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。 様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。 この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが…… 男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。

役立たずと追放された令嬢ですが、極寒の森で【伝説の聖獣】になつかれました〜モフモフの獣人姿になった聖獣に、毎日甘く愛されています〜

腐ったバナナ
恋愛
「魔力なしの役立たず」と家族と婚約者に見捨てられ、極寒の魔獣の森に追放された公爵令嬢アリア。 絶望の淵で彼女が出会ったのは、致命傷を負った伝説の聖獣だった。アリアは、微弱な生命力操作の能力と薬学知識で彼を救い、その巨大な銀色のモフモフに癒やしを見いだす。 しかし、銀狼は夜になると冷酷無比な辺境領主シルヴァンへと変身! 「俺の命を救ったのだから、君は俺の永遠の所有物だ」 シルヴァンとの契約結婚を受け入れたアリアは、彼の強大な力を後ろ盾に、冷徹な知性で王都の裏切り者たちを周到に追い詰めていく。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

処理中です...