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第3章 精霊と新しい暮らしを始める元聖女
挿話16 怒りのレオナ
仕事を終えて帰ってきたら、リディアちゃんから話があると言われ、バカ――もとい、カインが人を雇ってうちの家を監視していたという話を聞いた。
仕事の立場上、私はカインの相手をしなければならない事もあって、一緒に談笑していたから仲が良いのかと思っていたとも。
口に出してはいないけれど、その話から察するに、私とカインが手を組んで、リディアちゃんを監視していたと思われていたのではないだろうか。
「まったく。ほんっと、あのバカは! 誤解だって分かってくれたから良いものの、カインのせいでリディアちゃんに疑惑の心を抱かせちゃったじゃない!」
未だにリディアちゃんを匿う理由をクロードが教えてくれないけれど、かれこれ数日一つ屋根の下で過ごしているし、一緒に食事を取って、二人でお風呂にも入っているのに、私がリディアちゃんを監視したりする訳ないじゃない!
もしかしたらクロードと結婚する可能性だってあるんだから、もう義妹みたいなものなのに。
明日、可愛いリディアちゃんに僅かでも猜疑心を抱かせる原因となったカインに鉄槌を喰らわせないとね。
……けど、それにしてもカインはどうしてうちの家を? まぁ別の街の人を使ったのは、この街の住人なら、誰もこの家を覗こうなんて気が起きないからだろうけど。
カインに会ったら、理由も聞こうと思いながら就寝する。
その翌日、いつもの様に冒険者ギルドで仕事をしていると、お昼過ぎにカインが現れた。
「レーオーナーさー……ぷげぇっ!」
カインがいつものニヤニヤ顔で近づいてきたので、椅子に座ったまま顔に拳をめり込ませると、後ろへ大きく吹き飛ぶ。
「げ! 最近のレオナさんは穏やかだったのに、今日は久々にキレてるな。誰かギルドマスターを呼びに行った方が良いんじゃないのか?」
「本気でキレたらマスターでもヤバいだろ。セーラさんを呼んだ方が良くないか!?」
「というか、魔道士が先だろ! どう考えても、あの吹き飛び方はマズいって! 何をやらかしたのかは知らないけれど、治療してやらないと手遅れになるぞ!?」
周囲が何やら騒がしいが、私はキレていないし、ちゃんと手加減もしている。
これもリディアちゃんが作ってれくたアクセサリーのおかげだろう。
カインに対して怒ってはいるが、我を失ったりしていないからね。
「カイン。奥の個室へ来なさい」
「……れ、レオナさん!? いきなり何をするんですか!?」
「おぉっ! あの兄ちゃんスゲーな! レオナさんに吹き飛ばされたのに、ピンピンしてるぞ」
カインの打たれ強さは良く知っているので、騒めく周囲の言葉を無視して、ずるずるとカインを奥へ引っ張って行く。
「カイン。アンタ、わざわざ人を雇って、私の家を監視していたらしいわね。どういうつもりなの!?」
「はっはっは、こんな所まで連れてきて何を仰るかと思えば。レオナさん、僕がそんな事をする訳ない……もげぇっ!」
「別の街に住んで居る、中肉中背で茶髪の若い男が、カイルと名乗るアンタから依頼を受けたって吐いているわよ。商人ギルドの建物の三階の個室へ一緒に入って行くところもね」
「余計な事を。しかもギルドの中での話まで……っ!?」
そう言って、カインが今更しまった! と、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
「事実だと認めたわね。さて……何が目的なのか話してもらいましょうか」
「く……こうなったら……」
「カイン。元A級冒険者を舐めないでもらえるかしら」
逃げ出そうとしたカインに先回りし、あっさり動きを封じた。
仕事の立場上、私はカインの相手をしなければならない事もあって、一緒に談笑していたから仲が良いのかと思っていたとも。
口に出してはいないけれど、その話から察するに、私とカインが手を組んで、リディアちゃんを監視していたと思われていたのではないだろうか。
「まったく。ほんっと、あのバカは! 誤解だって分かってくれたから良いものの、カインのせいでリディアちゃんに疑惑の心を抱かせちゃったじゃない!」
未だにリディアちゃんを匿う理由をクロードが教えてくれないけれど、かれこれ数日一つ屋根の下で過ごしているし、一緒に食事を取って、二人でお風呂にも入っているのに、私がリディアちゃんを監視したりする訳ないじゃない!
もしかしたらクロードと結婚する可能性だってあるんだから、もう義妹みたいなものなのに。
明日、可愛いリディアちゃんに僅かでも猜疑心を抱かせる原因となったカインに鉄槌を喰らわせないとね。
……けど、それにしてもカインはどうしてうちの家を? まぁ別の街の人を使ったのは、この街の住人なら、誰もこの家を覗こうなんて気が起きないからだろうけど。
カインに会ったら、理由も聞こうと思いながら就寝する。
その翌日、いつもの様に冒険者ギルドで仕事をしていると、お昼過ぎにカインが現れた。
「レーオーナーさー……ぷげぇっ!」
カインがいつものニヤニヤ顔で近づいてきたので、椅子に座ったまま顔に拳をめり込ませると、後ろへ大きく吹き飛ぶ。
「げ! 最近のレオナさんは穏やかだったのに、今日は久々にキレてるな。誰かギルドマスターを呼びに行った方が良いんじゃないのか?」
「本気でキレたらマスターでもヤバいだろ。セーラさんを呼んだ方が良くないか!?」
「というか、魔道士が先だろ! どう考えても、あの吹き飛び方はマズいって! 何をやらかしたのかは知らないけれど、治療してやらないと手遅れになるぞ!?」
周囲が何やら騒がしいが、私はキレていないし、ちゃんと手加減もしている。
これもリディアちゃんが作ってれくたアクセサリーのおかげだろう。
カインに対して怒ってはいるが、我を失ったりしていないからね。
「カイン。奥の個室へ来なさい」
「……れ、レオナさん!? いきなり何をするんですか!?」
「おぉっ! あの兄ちゃんスゲーな! レオナさんに吹き飛ばされたのに、ピンピンしてるぞ」
カインの打たれ強さは良く知っているので、騒めく周囲の言葉を無視して、ずるずるとカインを奥へ引っ張って行く。
「カイン。アンタ、わざわざ人を雇って、私の家を監視していたらしいわね。どういうつもりなの!?」
「はっはっは、こんな所まで連れてきて何を仰るかと思えば。レオナさん、僕がそんな事をする訳ない……もげぇっ!」
「別の街に住んで居る、中肉中背で茶髪の若い男が、カイルと名乗るアンタから依頼を受けたって吐いているわよ。商人ギルドの建物の三階の個室へ一緒に入って行くところもね」
「余計な事を。しかもギルドの中での話まで……っ!?」
そう言って、カインが今更しまった! と、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
「事実だと認めたわね。さて……何が目的なのか話してもらいましょうか」
「く……こうなったら……」
「カイン。元A級冒険者を舐めないでもらえるかしら」
逃げ出そうとしたカインに先回りし、あっさり動きを封じた。
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