英霊召喚 ~ハズレと呼ばれた召喚魔法で、過去の大賢者を召喚して史上最強~

向原 行人

文字の大きさ
137 / 343
第5章 新たな試練

第137話 獣人族の村の入口

しおりを挟む
 木々の葉の隙間から月明かりだけが薄らと注ぐ、樹の上の村が目の前にある。
 俺がソフィアたちと居る時に、樹の上に具現化魔法で足場を作った物とは全く違う、生きた樹を上手く使った村だ。
 だが時間が時間なので、視界に人の姿は無く、ここが本当に獣人族の村かどうかは判断出来ないが。

『人間。ここが獣人族の村だ。と言っても、我も実際に来るのは初めてだが』
(分かった。では、一旦猫の集会場へ戻って、報酬を渡すよ。ここは、もう瞬間移動で来る事が出来るし)
『……獣人族の村かどうか確認を取らなくて良いのか?』
(三日かけて調べてくれたんだろ? アンタを信じるよ)

 ボス猫へ伝えた通りワープ・ドアを出し、猫の集会場がある公園へと戻る。
 約束の品である魚の残りを出すと、名残惜しそうなジェーンを連れて寮の部屋へ。
 幸いユーリヤも起きておらず、暗闇の中で着替えを済ませると、何事も無かったかのように就寝した。

 その翌日、授業が終わるとすぐさまシャロンの元へ行く。

「え? 私を獣人族の村へ連れて行ってくれるんですか!?」
「あぁ。この数日間でシャロンの胸を堪能……じゃなくて、腕も成長したからね」
「そ、そうでしょうか? あまり実感はありませんが」
「大丈夫だよ。自分では気付いていないだけで、ちゃんと成長しているよ。それに剣の修行は元々護身が目的だからね」

 納得がいかないのか、シャロンが不思議そうに首をかしげているが、まぁそれも仕方がないだろう。
 先ず俺はシャロンには準備運動レベルの基礎体力を上げる訓練をメインにしていたのだが、ジェーンやニーナについても同じレベルではないだろうか。
 剣の持ち方と扱い方くらいは教えたが、これを剣術と呼べるかというと、そうではない。
 正直なところ、ただの時間稼ぎだったからね。
 だが、その時間稼ぎはもう必要ない。

「じゃあ、今から獣人族の村へ行くけど、準備は良い?」
「ま、待ってください。まだ休暇申請とか、食料の確保など、遠出をする準備が何も出来ていません」
「あ……言ってなかったっけ? 俺、瞬間移動の魔法が使えるから、そんな準備をしなくても一瞬で行けるよ?」
「あの、それならどうして護身の為に剣術の修行をする必要があったのでしょうか?」
「そ、それは……あの、あれだよ。獣人族たちは警戒心が強くて、突然襲ってきたりするからさ。その為さ」
「え……突然襲うような悪い人は居ないと思うんですが……」
「さぁ行こう! 獣人の村がシャロンを待って居る!」

 勢いでワープ・ドアを出し、シャロンの肩を抱き寄せると強引に扉の中へと連れて行く。
 もちろん、いつも通りユーリヤも居る。
 今日はおんぶで、俺の背中だが。

 やや薄暗い資料庫から、生い茂った葉から陽が射しこむ獣人族の村の前――高い樹の上へ移動し、眩しさに一瞬目がくらむ。

「ここが、ヘンリーさんが知っているという獣人族の村ですか?」
「あぁ、そうだよ」
「へぇー。私が思っていたのとは随分と……きゃあぁぁぁっ!」

 目の前にある木の家に向かってシャロンが歩きだし、何も無い場所へ足を踏み出した。
 寸での所で、シャロンの身体を抱きしめ、その身体を枝の上へと戻す。
 ……抱きしめた腕に、大きなおっぱいが乗っていたのだが、この身体の軽さに対して、この重圧は……もしかしたら、シャロンの体重の半分程度をこの胸が占めているのではないだろうか。

「ごめん。言い忘れていたけど、ここは樹の上なんだ」
「そ、そういう事は先に言ってくださいよっ! び、びっくりして、その……何でもありませんっ!」

 ビックリして何が起こったのだろう。
 シャロンが下腹部を気にしているようにも思えるけど、目が合ったら泣きそうな表情を浮かべられてしまったので、触れない事にする。
 樹の上にあり、木々の太い枝が道変わりらしい村へと繋がる、一本の枝を慎重に渡って行くと、

「おい! お前たちは何者だっ! どうしてこの場所へ来る事が出来たんだっ!」

 小柄な身体に大きな耳と大きな尻尾が生えた、いかにも獣人族ですという女性が枝の先に立ち塞がる。
 どうせなら、そっち側の複数の枝で安定感が増した場所で話させてもらえないだろうか。
 俺は平均台のような樹の枝の上で、ユーリヤをおんぶしつつ、シャロンの手を引いて居るという、非常に不安定な状態なんだよ。

「と、とりあえず立ち話もなんですから、そっちで話そうか」
「ダメだ! ここは我らの村。無関係の者を入れる訳にはいかん!」
「無関係ではないんだ。だから、とりあえず少しだけでいいから、入れさせてくれ」
「ダメだ! 少しだけでも入れさせる訳にはいかない!」
「いや、ほんの少しだけ。ちょっとだけで良いからさ」

 高い場所が苦手なのか、シャロンは完全に目を瞑っていて、完全に俺頼みになっているし、ユーリヤは言わずもがな。
 俺が落ちたら三人揃って死んでしまうから、多少強引にでも女性の方へ行こうとすると、

「ちょっとでもダメだ! ……って、おい! ダメだぞ! それ以上こっちへ来たら、非常な手段を取るぞ?」
「非常な手段?」
「あぁ。その枝を揺らす」
「やめろーっ!」

 獣人族の女性が枝に足を乗せたので、シャロンを引き寄せ、獣人族の村へとダイブする。
 着地先は幾つもの枝が組み合わされ、安定しているがゴツゴツしている場所だと思ったのに、意外と柔らかい。
 不思議な樹の枝で出来ているのかと思っていると、

「ちょ、おい! 早く私の上から降りろっ! あと、どさくさにまぎれて胸をまさぐるなっ!」

 無意識の内に、女性の胸を触っていたようだ。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...