24 / 70
第24話 休日の悪役令嬢
しおりを挟む
『ルーシーさん、ルーシーさん』
「んー、今日は会社休みだよぉー」
『あの、ルーシーさん。会社が何かは分かりかねますが、それより先程から、部屋の扉がノックされ続けていますが』
「えっ!?」
ユリアナの言葉で目を覚ますと、確かにドンドンと扉が叩かれていた。
これ、結構怒ってる感じなのかな?
とりあえずベッドから降りると、パジャマのまま扉を開けると、かなり苛立った様子の寮長さんが立っていた。
「ルーシーさん。まさか……というか、今の今まで寝てましたね?」
「あはは……あの、寮長さん。何かご用でしょうか?」
「貴女に来客ですよ」
「えぇぇぇっ!? だ、誰が来たんですか!?」
「ご自身で確認された方が早いかと。……お待たせしました。こちらがルーシーさんのお部屋です」
だ、誰!? 私、この格好で攻略対象に会うの!?
髪の毛はボサボサで、パジャマに、寝起きの顔だよ!?
引きこもりの頃ならまだしも、こんな格好で異性に会うのは……あ、でも流石にゲーム開始直後の週末は、強制イベントの類が無かったはず。
街に行けば話は変わってくるけど……って、よく考えたら女子寮に攻略対象が来る訳ないか。
内心慌てまくっていたけど、ここが女子寮だと思い出して安堵したところで、
「ルーシー様。いくら何でも、その格好は淑女として如何でしょうか」
「テレーズさん!」
「はい。……その様子だと、部屋も散らかしているんでしょうね」
この魔法学園まで付き添いで来てくれた、メイドさんが現れた。
寮長さんにお礼を言ったテレーズさんを、一先ず部屋の中に招くと、
「……一週間で、こうなりますか」
「ははは……いやー、授業が忙しくて」
部屋を見渡したテレーズさんに、溜息を吐かれる。
私だって頑張ったんだよ?
でも、授業を受けて、菜園クラブに行って、森の中で辺境へ飛ばされた後に生きる訓練をして……つい、服を脱ぎ散らかしたり、シーツがぐちゃぐちゃだったりしても、仕方ないよね?
「とりあえず、着替えてください。その間に、部屋を片付けますから」
「はーい」
家から学園へ来る時に着ていた唯一の私服に着替え……って、これもドレスみたいな服だから着るのが大変だったけど、テレーズさんに片付けの傍で手伝ってもらい、ようやく着替え終わる。
ただ、学校の制服は、勝手にコルセットを付けない事にしたのに、テレーズさんが居るから、私服なのにコルセットを付けられてしまったけど。
「テレーズさん。このコルセット……」
「淑女ですから、我慢してください。というか、家に居られた時は普通に付けられてましたよね? それに、もっとスムーズに着替えていましたし」
「いやー、それは色々と訳ありで」
「……まぁルーシー様ですからね。私は、一週間前にルーシー様は記憶喪失になったと思ってます」
う……正解と言えば正解よね。
絶対言えないけど。
それから、部屋の片付けだけでなく、掃除と洗濯までしてもらい、あっという間にお昼となってしまった。
「テレーズさん。そろそろ休憩って事で、お昼ご飯にしない?」
「そうですね。そろそろ頃合いかと」
「じゃあ、寮の食堂で良いかな? でも、テレーズさんの分ってあるのかな?」
「あの、ルーシー様。ここの寮の食堂ですが、休日はお休みですよ?」
「えっ!? そうなのっ!?」
「事前にご説明しておりますが。あと、本日の朝食で気付く……って、寝ていらしたんでしたね」
いやまぁ、働いていた時も、引きこもりの時も、あんまり朝ご飯は食べてなかったんだよね。
「……って、じゃあ休日のご飯って、どうすればっ!?」
「いえ、ですから私が来ているんですけど」
どうやら、テレーズさんがご飯を作ってくれるらしい。
……掃除に片付けに料理まで。
テレーズさんは凄いなぁ。
スーパーメイドのテレーズさんが、持ってきていた荷物の中から鍋を取り出したので、ワクワクしながら待つ事にした。
「んー、今日は会社休みだよぉー」
『あの、ルーシーさん。会社が何かは分かりかねますが、それより先程から、部屋の扉がノックされ続けていますが』
「えっ!?」
ユリアナの言葉で目を覚ますと、確かにドンドンと扉が叩かれていた。
これ、結構怒ってる感じなのかな?
とりあえずベッドから降りると、パジャマのまま扉を開けると、かなり苛立った様子の寮長さんが立っていた。
「ルーシーさん。まさか……というか、今の今まで寝てましたね?」
「あはは……あの、寮長さん。何かご用でしょうか?」
「貴女に来客ですよ」
「えぇぇぇっ!? だ、誰が来たんですか!?」
「ご自身で確認された方が早いかと。……お待たせしました。こちらがルーシーさんのお部屋です」
だ、誰!? 私、この格好で攻略対象に会うの!?
髪の毛はボサボサで、パジャマに、寝起きの顔だよ!?
引きこもりの頃ならまだしも、こんな格好で異性に会うのは……あ、でも流石にゲーム開始直後の週末は、強制イベントの類が無かったはず。
街に行けば話は変わってくるけど……って、よく考えたら女子寮に攻略対象が来る訳ないか。
内心慌てまくっていたけど、ここが女子寮だと思い出して安堵したところで、
「ルーシー様。いくら何でも、その格好は淑女として如何でしょうか」
「テレーズさん!」
「はい。……その様子だと、部屋も散らかしているんでしょうね」
この魔法学園まで付き添いで来てくれた、メイドさんが現れた。
寮長さんにお礼を言ったテレーズさんを、一先ず部屋の中に招くと、
「……一週間で、こうなりますか」
「ははは……いやー、授業が忙しくて」
部屋を見渡したテレーズさんに、溜息を吐かれる。
私だって頑張ったんだよ?
でも、授業を受けて、菜園クラブに行って、森の中で辺境へ飛ばされた後に生きる訓練をして……つい、服を脱ぎ散らかしたり、シーツがぐちゃぐちゃだったりしても、仕方ないよね?
「とりあえず、着替えてください。その間に、部屋を片付けますから」
「はーい」
家から学園へ来る時に着ていた唯一の私服に着替え……って、これもドレスみたいな服だから着るのが大変だったけど、テレーズさんに片付けの傍で手伝ってもらい、ようやく着替え終わる。
ただ、学校の制服は、勝手にコルセットを付けない事にしたのに、テレーズさんが居るから、私服なのにコルセットを付けられてしまったけど。
「テレーズさん。このコルセット……」
「淑女ですから、我慢してください。というか、家に居られた時は普通に付けられてましたよね? それに、もっとスムーズに着替えていましたし」
「いやー、それは色々と訳ありで」
「……まぁルーシー様ですからね。私は、一週間前にルーシー様は記憶喪失になったと思ってます」
う……正解と言えば正解よね。
絶対言えないけど。
それから、部屋の片付けだけでなく、掃除と洗濯までしてもらい、あっという間にお昼となってしまった。
「テレーズさん。そろそろ休憩って事で、お昼ご飯にしない?」
「そうですね。そろそろ頃合いかと」
「じゃあ、寮の食堂で良いかな? でも、テレーズさんの分ってあるのかな?」
「あの、ルーシー様。ここの寮の食堂ですが、休日はお休みですよ?」
「えっ!? そうなのっ!?」
「事前にご説明しておりますが。あと、本日の朝食で気付く……って、寝ていらしたんでしたね」
いやまぁ、働いていた時も、引きこもりの時も、あんまり朝ご飯は食べてなかったんだよね。
「……って、じゃあ休日のご飯って、どうすればっ!?」
「いえ、ですから私が来ているんですけど」
どうやら、テレーズさんがご飯を作ってくれるらしい。
……掃除に片付けに料理まで。
テレーズさんは凄いなぁ。
スーパーメイドのテレーズさんが、持ってきていた荷物の中から鍋を取り出したので、ワクワクしながら待つ事にした。
284
あなたにおすすめの小説
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。
imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。
今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。
あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。
「—っ⁉︎」
私の体は、眩い光に包まれた。
次に目覚めた時、そこは、
「どこ…、ここ……。」
何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。
【完結】そうは聖女が許さない〜魔女だと追放された伝説の聖女、神獣フェンリルとスローライフを送りたい……けど【聖水チート】で世界を浄化する〜
阿納あざみ
ファンタジー
光輝くの玉座に座るのは、嘘で塗り固められた偽りの救世主。
辺境の地に追いやられたのは、『国崩しの魔女』の烙印を押された、本物の奇跡。
滅びゆく王国に召喚されたのは、二人の女子高生。
一人は、そのカリスマ性で人々を魅了するクラスの女王。
もう一人は、その影で虐げられてきた私。
偽りの救世主は、巧みな嘘で王国の実権を掌握すると、私に宿る“本当の力”を恐れるがゆえに大罪を着せ、瘴気の魔獣が跋扈する禁忌の地――辺境へと追放した。
だが、全てを失った絶望の地でこそ、物語は真の幕を開けるのだった。
△▼△▼△▼△▼△
女性HOTランキング5位ありがとうございます!
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!
夏芽みかん
ファンタジー
生まれながらに強大な魔力を持ち、聖女として大神殿に閉じ込められてきたレイラ。
けれど王太子に「身元不明だから」と婚約を破棄され、あっさり国外追放されてしまう。
「……え、もうお肉食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?」
追放の道中出会った剣士ステファンと狼男ライガに拾われ、冒険者デビュー。おいしいものを食べたり、可愛い服を着たり、冒険者として仕事をしたりと、外での自由な生活を楽しむ。
一方、魔物が出るようになった王国では大司教がレイラの回収を画策。レイラの出自をめぐる真実がだんだんと明らかになる。
※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。
【2025.09.02 全体的にリライトしたものを、再度公開いたします。】
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる