婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?

向原 行人

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第6章 太陽の聖女と星の聖女

第308話 イナリとコリンの策

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 トリスタン王子とイナリの戦いが凄すぎて、ハラハラしながら見守るしかない。
 その一方で、弓矢を構えるコリンの事も気になるのだけど、トリスタン王子が大きく距離を取って動きを止め、イナリに腕を向けた。
 この動きは……雷がくる!
 その行動パターンが分かって来たからか、ミアちゃんが土の壁をトリスタン王子の前に出す。

「チッ……誰かと思えば、あの時の幼女か。邪魔だな」
「誰が幼女よっ! 私はドワーフだから人間族と比べたら幼く見えるだけよっ!」

 トリスタン王子が雷を放つのを止めたのか、再び凄い速さで動きだし、壁を迂回してミアちゃんの近くへ。
 イナリが間に入ったので、再びトリスタン王子が距離を取った。
 ミアちゃんも、トリスタン王子を殴ろうとするんじゃなくて、そこは逃げようね。
 トリスタン王子とイナリが再び高速移動したのち、再びトリスタン王子が動きを止め……腕を上に向けた!?

「ふははっ! 天から落ちる雷を防げるものなら防いでみろっ!」

 上からっ!? しかもさっきの発言のせいで、イナリを狙うのかミアちゃんを狙うのかがわからない!
 これまで見た感じだと、ミアちゃんは瞬時に出せるのは一方向への壁だけなので、天井みたいなのは作れ無さそう。
 どうすれば……と思っていると、コリンが動いた。

「きたっ! イナリっ! 今だよっ!」
「心得た!」

 コリンが空に向かって何本も矢を放ち……雷が矢に向かって行く!?

「なっ!? 魔王の力だぞ!? どうして、雷の動きを……」
「避雷針って……知らないか。それより、自分の心配をした方が良いと思うよ」
「ぐっ! がはっ!」

 イナリの動きが速過ぎて見えないけど、コリンが鉄の矢を空に向かって放ったそうで、雷がイナリにもミアちゃんにも落ちない。
 コリンによると、これが事前にイナリと考えていた策で、見事にトリスタン王子の雷を無効化した。
 そして、動きが止まったトリスタン王子を、雷を無視したイナリが攻撃し続けている。
 これでトリスタン王子が攻撃を止めてくれると良いのだけど……様子がおかしい?

「うぐっ! 魔王の……魔王の力を得た俺が、この程度でやられてなるものかぁぁぁっ!」
「むっ!? くっ……」

 トリスタン王子が黒い光に包まれ……六枚の翼が生えた!?
 い、一体何がどうなっているの!?
 ううん。そんな事より、今の光にイナリが吹き飛ばされてる!

「イナリっ! これを!」
「アニエス……ありがとう。だが、これは……」
「何か知っているの?」
「うむ。我も直接見た訳ではないのだが、魔王には六枚の翼が生えていたと聞いている。おそらく、我がバカ王子を弱らせたが為に、魔王の意識に身体を乗っ取られたのではないだろうか」
「じゃあ……トリスタン王子ではなくて、魔王として攻撃してくるって事!?」
「先程までは、力と速度はあっても、行動パターンが単純だった。ここからは、どうなるか我もわから……アニエスっ!」

 突然イナリに抱きかかえられ、大きく跳ぶ。
 見れば、先程まで私たちがいたところが、黒い炎に包まれていた。

「攻撃方法が変わった?」
「おそらく、今までは魔王の力の一端……雷の力だけをバカ王子が使えていたのだろう。だが、魔王自身がバカ王子の身体を動かす事によって、本来の魔王の力を出せるようになったのかもしれぬ」

 えぇっ!? じゃあ、あれは正真正銘の魔王!?
 そんなの、どうすれば良いのっ!?
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