へなちょこ鑑定士くん、脱獄する ~魔物学園で飼育された少年は1日1個スキルを奪い、魔王も悪魔も神をも従えて世界最強へと至る~

めでめで汰

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生き返れ「地獄、異界」編

第77話 二千年前の鑑定士

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 薄暗く、枯れ木と岩山ばかりの地獄にぽつんと光る看板『地郎じろう』。

「トラジロー、あれなに?」

「あれは地郎だよぅ。ボクは食べたことないけど、麺の入った汁物らしいよぅ」

「麺? 飲食店なのか?」

「そうだよぅ。とっても罪深い食べ物なんだよぅ。だからボクら餓鬼が食べたら即地獄に落とされちゃうんだよぅ。ぅぅ……怖いよぅ……」

 ギュッと繋いだテスの手を握るトラジロー。
 怖がりながらも漏らさないあたり、しっかりと彼も成長してるようだ。

「鬼は、あれを食べていいのか?」

「鬼はいいんだよぅ。鬼は、ここで働いてるだけのただの魔物なんだよぅ」

「働いてる? 仕事なのか?」

「そうだよぅ。詳しくは知らないけど、魔神だかなんだかとの契約で働いてるって聞いたことがあるよぅ」

「魔王じゃなくて?」

 オレの「魔王」という言葉にテスがピクリと反応する。

「魔神だよぅ。あんまり詳しく知らないよぅ」

「そっか。まぁ、なんにしろオレたちには関係ないことだな。さっさとここから脱出しよう」

 その店の前を早足で通り過ぎようとするオレたち。

 クイッ。

「うおっ、なに?」

 テスがオレの上着の裾を引っ張る。
 見れば、なにやらテスは指を咥えて店の方を見つめている。

「え? もしかして食べたかったりする? たしかにこのニンニクの臭いはなかなかに魅力的だが……いかんいかん! 元の世界に戻ったらいっぱい美味しいもの食べよう、な?」

 疲れた体にみてきそうな油の臭いに後ろ髪を引かれつつ、立ち去ろうと促す。

「あれ」

 テスは、行列の中の一人の男を指していた。

「え? 餓鬼……いや、人間? なんで一人だけ……」

 大柄な赤鬼や青鬼たちに混じって一人、小柄な人間が並んでいる。

「みたきおくがある」

「記憶? 昔の大悪魔が見たってこと?」

「そう。たしか、えんまをころそうとした人間……」

 ピクッ。

 今度は、プロテムが「閻魔」という言葉に反応する。
 なんか個人的になにかあるんだろうか。
 プロテムは喋れないから知りようがない。
 まぁ、あまり知りたくもない感じなのだが。
 それにしても。
「魔王」やら「閻魔」やら、なんだか面倒くさそうな言葉に反応する面々。
 勘弁して欲しい。
 頼むから、これ以上面倒なことにオレを巻き込まないでくれよ……。

「いいか、テス? オレたちは、今から閻魔にお願いして元の世界に戻してもらわなきゃいけないんだ。なのに、閻魔を殺そうとした人間なんかと関っちゃダメだろ? な? わかるよな? だから、ほら、無視して先に進もうな?」

 テスの背中を押して先をうながすも。

「もう、おそい」

「え? あっ……」

 テスの目線を追うと、その小柄な男がジロリとこちらを睨んでいた。

 スッ──。

 ただならぬ気配に、プロテムが臨戦態勢に入る。

 も。


 ガッ──!


「!?」

 気がつくと一瞬のうちにプロテムが組み伏せられていた。

「……! いつの間に……!」

 唖然とするオレたちを横目に、男は行列の鬼に声をかける。

「あ、お前、そこオレ並んでっから取っとけよ。すぐもどっから」

「あ、はい。そんな、まさか割り込みなんかしやしませんよ。あはは……」

 ひきつり顔で恰幅かっぷくのいい赤鬼が答える。

(なんだ、こいつ……? 人間のくせに鬼にまざって並ぶだけじゃなく、鬼を従えてる……? それに、あのプロテムを一瞬で組み伏せるだって?)

 仲間のピンチだ。魔力を節約してる場合じゃない。相手の正体を見極めないと──!


 【鑑定眼アプレイザル・アイズ


 右目に、オレにしか見えない赤い炎が宿る。


 名前:ネビル
 種族:餓鬼
 レベル:0
 体力:0
 魔力:0
 スキル:なし


 トラジローの時と同じでレベルは0。
 いや……なら、さっきの動きは一体……?

 頭の中に「?」が渦巻いていると、男の口から意外な言葉が飛び出した。


「ほう……お前、鑑定士か?」


「!?」

 ブレスレットに戻していた魔鋭刀を短剣へと変形させ、パリィ・スケイルを顔の前に掲げる。オレの万全の戦闘態勢だ。

「テス、トラジロー、下がってろ」

 ……なんだ? 何者だ?
 なんでオレが鑑定士だとわかった?
 ……鑑定した時に目に宿る炎を見られた?
 いや、これはオレにしか見えないはず。
 なら、なんで?

「フィード、あいつ、ちょう強かったにんげん。すうせんねんまえの」

 テスが声をかけてくる。

「数千年前?」

「そう、たしか名前は……」


 トッ──。


「ネビル」


 瞬きをした一瞬。
 男は顔をオレの鼻先まで顔近づけて、そう囁いた。

(見えなかった……!)

 目の前の男──ネビルの顔を見る。
 幽霊のように白い肌。
 鼻筋は太く力強い。
 目はつり上がっていて肉食獣のよう。
 口は大きく、中からはキバが覗いている。
 そして。
 荒々しい雰囲気を中和するかのような美しく柔らかな銀髪。
 力強さと美しさ。
 ふたつを兼ね備えた男へ対して、オレは警戒体勢を最高レベルにまで引き上げる。


 【狡猾モア・カニング!】


 最後の魔力を振り絞って発動させた。
 善だ悪だと言ってる場合じゃない。
 最小の魔力で最大の効果を計算できる、このスキル。
 オレが一番最初に奪い取った、このスキル。
 オレの、オレたちの命運を、このスキル「狡猾モア・カニング」に託す。

 くるくるくると思考が縦横無尽に駆け巡っていく。

 まずは、整えろ。
 少しでも相手より優位に立てる「場」を作るんだ。
 それからテスに聞いて、あの男の正体を知る。
 最後に対処法を練って、テスとプロテムを閻魔の元へと送り届ける。
 よし、この手順で行くぞ。

 追い詰められたことを悟ったオレは、教室で檻に入れられていた頃のような詰将棋的思考を張り巡らす。

「テス、やつの正体は? 何者なんだ?」

 男から飛び退き、背後のテスに尋ねる。

「わからん。太古の記録には、ただ『えんまに挑んだ人間』とだけ。にがおえと名前、それと身体的とくちょう。それだけ」

「太古? そんな男がなんで……」

「お兄ちゃん、あの人、地獄にずぅ~っと前からいる人だよぅ……。長くいすぎて、餓鬼なのに鬼よりも強くなっちゃって実質どこでも出入り自由になってるっていう人だよぅ。あだ名は──」

 ガッ!

 背後から現れたネビルが、オレとトラジローの肩を組む。

「『アンチェインだれもオレを縛れない』だ。よろしくな」

「くっ──離せっ!」

 振り払おうとするが、ピクリともしない。

 くそ……魔力さえあれば「怪力ストレングス」を使えるのに……。

「くくく……懐かしい、懐かしいなぁ。オレもそういう風に息巻いてたよ、昔は」

「昔? お前は一体何者なんだ!」

 状況を打破するため、オレは少しでも情報を引き出そうとする。

「なにもの? ん~、にぶい。にぶいなぁ。オレだよ、オレ。鑑定の赤い炎が見えるってことはぁ~?」

「まさか……!」

「そう」

 男がオレの耳元で囁く。


「オレも鑑定士なんだよね~」


 ……!
 初めて会った自分以外の鑑定士。
 しかも……そいつは閻魔を殺そうとしたというヤバい奴だった。
 オレたちはこれから地上に戻るために閻魔に直談判に行く途中。
 なのに、なんでよりによって「閻魔を殺そうとした鑑定士」なんて最悪なやつが絡んでくるんだよ!
 タイミング悪すぎるだろ!

 ハッ──!

 そこで、ふと思った。

 こいつ……どっちだ?
 鑑定しか出来ない鑑定士なのか。
 それとも吸収眼アブソプション・アイズも使える鑑定士なのか。
 そもそも他の鑑定士の話自体を全然聞いたことがない。
 吸収眼アブソプション・アイズが使えるのってオレだけなのか?
 それとも──。

「お前の考えを読んでやろうか?」

 男は強力な力でがっちりと肩を組んだまま言葉を続ける。


「はたしてこいつは知ってるのか? ──吸収術のことを、と」


「──ッ!」

 やはり、こいつ……覚醒した側の人間……!
 あれ? でも、今……なんて言った?

 吸収術?

 吸収眼アブソプション・アイズじゃなくて?

 ひょっとしたら。
 ここになにか突破口があるのかもしれない。

「いやぁ~、何と勘違いされてるのかわかりませんが、オレ達はただ迷い込んできちゃっただけなんで。あ、先急いでるんで。それじゃ……」

「おっと、待てよ」

 しれっと立ち去ろうとしたオレの後ろ襟を、ネビルが掴む。

「ただ迷い込んできちゃっただけだぁ?」

 力を込めて振り払おうとするも、逆にひねり返される。

「ふざけんなよ、オレの目は誤魔化されねぇぞ! こんな変わった装備を身につけて、子供に餓鬼にローパーを引き連れ、生きたまま地獄に来た鑑定士!? ハッ! お前の目的はわかってんだよ! あぁん!?」

 目的?
 オレたちの目的は、地獄から出ることなんだが?
 だが、このネビルという男が何を推論立ててるのかも気になる。

 聞け。

 オレの発動させた狡猾モア・カニングがそう囁く。

「ほぅ? なら、なんだと思うんだ?」

「決まってるだろ」

 グイ──とネビルは再び顔を近づける。


「閻魔を殺しに行くんだろ?」


 ………………はい?
 …………は? 閻魔を……殺す?

「わはは! わかってるわかってる! 手の内を明かす訳にはいかないもんな!」

 そう言って楽しそうにバンバンとオレの背中を叩くネビル。

「よし!」

 決意したようにネビルが言った時、黄色い看板の『地郎』から頭にタオルを巻いた店員鬼が出てきた。

 ガラッ!

「おいっ! さっきから誰が店の前で騒いで……って、あれ? ネビルさんじゃないッスか! お疲れ様ッス! あ、今日は食べていかないんスか?」

 ネビルの姿を見た瞬間にヘコヘコと頭を下げる店員鬼。

「あはは、もういいわ! 今日は地郎よりもよっぽど美味しそうなもの見つけたから!」

 ……ん?

「ってことで、行くぞ、お前ら!」

 …………んん?

「腕が鳴るぜぇ~……なんてったって二千年ぶりに閻魔をぶっ殺しに行くんだからなぁ……!」

 ………………んんんん~!?
 いやいや、オレたちは地上に戻りたいだけで、閻魔を殺そうだなんてこれっぽっちも思ってないんだけど!?

「さぁさぁ、レッツゴーレッツゴー! 楽しくなってきたぞ!」

 オレとプロテムと肩を組み、ルンルン気分でスキップするネビル。

 え、いや、ちょっと……?

 オレの中の狡猾モア・カニング

 それは「とりあえず話を合わせて先に進むがきち」と判断を下していた。

 えぇ~……。ウソでしょ……?


 【ダンジョンから切り離された大悪魔の存在消滅まで あと一時間十一分】
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