【ぼっち】は異世界でも 【ぼっち】を目指す

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②巻き込まれ召喚?

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 異世界 召喚・・・頭の中にわんわん響くワード
 これって、これって・・・僕は身体中の力が抜け、再びへたり込んだ。
 (そんな、そんな~~~。なぜに、僕がっ!モブ中のモブの僕が~~~)

 「おい、おい・・・お前!」乱暴に腕を掴み上げられる。
 「い、痛い・・ヒイィ」腕を引っこ抜かれるかと思うような力だ。思わず悲鳴が漏れる。
 「おい、よさないか。乱暴はいけない、相手はお年を召した女性だぞ」
 「しかし、デリク皇子。こいつは不敬にも殿下を無視する行いを・・・」
 (いけない、又、トリップしてた)
 「うん、問題無い。この人は茫然自失状態だ、誰だって急に見知らぬ世界に放り込まれたらおかしくなる。お前が、この老婆と同じ立場だったらそうなるだろう?」デリクと呼ばれた皇子様は変わらず優しく接し、僕の腕を騎士から解放してくれる。
 (老婆?老婆だって!?・・・そうだ、今僕はシンデレラの魔女、つまり老婆の扮装のままだった)
 「どうだ?立てそうか?何時までも冷たい床に座っているのはよくない。別室で、くわしく話しをしよう。どうだい?」皇子の問い掛けに、頷いた僕を彼自らそっと立たせてくれる。そうして、僕は皇子に誘われ別室へと移動した。

 「どうぞ」目の前に湯気の立てた暖かいティーカップが置かれる。正直、今の僕には有り難い。
 「遠慮なく、どうぞ」僕が直ぐに手を出さないのは、遠慮してではなく見るからに超高級そうなカップに慄いたからだ。(割ったらどうなる?お岩さんみたいに手打ちになるとか・・・)
 「どうぞ、冷めない内に召し上がれ」皇子は再度、僕に促した。
 「あ、有難う御座います」(すいません、ど庶民で)心の中で謝って、カップを手に取り口を付ける。
 (暖かい、生き返る~~)甘めの紅茶?糖分が脳に沁み渡る。
 「どうです、異世界に来た話しを信じられますか?」
 皇子は紅茶を飲んで人心地ついた僕に優しく話掛けて来た。人間的に本当に出来た人だ。(こんな怪しい老婆にも優しいなんて。いや、老人だからかえって優しくしてくれているのかな?だったら、このまま老女で押し通そう)
 「はい・・・最早、疑う余地は無いかと」
 「良かった。・・・それで、巫女様の召喚に巻き込まれたと言う事も、理解できますか?」
 「はい・・・巫女は黒崎さんの事ですよね。それに、ぼ、私が巻き込まれて一緒にくっついて来ちゃったと」僕の言葉に皇子は頷く。
 「あの、あの、私の立場は理解しました。それで・・も、元の日本に帰れますか?」
 皇子の顔が申し訳なさそうに歪んだ、それだけで分かってしまった。
 「申し訳ない、帰る方法は有りません。異世界召喚は一方通行のようなのです」

 ガ~ン ガ~ン 漫画なら、さぞかし主人公の頭の中で鳴り響いていた事だろう。僕はガックリ肩を落とした。ついでに、頭をテーブルに打ち着ける。
 「おい、大丈夫か!」僕の後ろに立っていた騎士の人が、慌てて肩を掴んで身体を引き起こしてくれた。(案外優しい奴かもね、肩が抜けそうだけども・・・)
 「はあ~~~~」盛大に溜め息が出る。後ろの騎士から、途端に圧力が掛る。圧迫感半端ねぇ~。
 (不敬だろ、分かってる。でもこっちは、人生詰んでる。異世界、召喚、おまけに巻き込まれただけのおまけ者。どうすりゃいいの?おまけに非力、金も無し、チートも無し、背も低けりゃ、顔面偏差値も低い)                 
 「よい、ヘルン。構うな」騎士の名前はヘルン、一応頭に入れて置く。皇子のお陰で直ぐさま圧迫感が無くなる。
 「それで、ぼ、私はどうなるのでしょう?牢屋行きとか、国外追放とか・・・」
 「まさか、こちらの都合で巻き込んだのだ。そなたの生きて行く面倒は見るつもりだ。何か希望はあるかな?」その言葉を聞いてホッとする。何も無しで放り出されたら即死に決定だ。
 「当面はここに置いて貰えると言う事ですか?」
 (それなら良かった飢え死にしないで済む)
 「うん、ずっと城で暮らしてくれてもよい。何処かに、部屋を見繕う」
 「それは有り難いです、が・・・ずっとここにいるのは流石に憚れます。その・・・厚かましいお願いをしてもいいですか?」
 「出来るだけ希望に副うよう善処しよう」
 「では・・・ここで、一ヵ月か二ヵ月くらい三食付きで置いていただけたら有り難いです。あ、部屋はお城の端っこの方で人目に付かない所が良いです。それで、図書館が有れば本を読んで勉強したいです。それと、一人で生活して行けるようこちらの貨幣単位とか、生活習慣とか、言語とか、あっ、文字も知りたいです。それと、わ、私でも働けるような職業を紹介して貰えれば。出来れば外出せずに済む内職的な何か仕事が有れば・・・いいんです・・が・・・?」
 「クックック、アッハッハッハ」皇子は最初プルプルと震えていて、何なんだろうと思っていたら大声で笑い出した。
 「な、何なんですか?」
 「いや、ごめん。最初の印象と違って、あまりにも縦板に水の如く喋り始めるから」
 「ぼ、私は必死なんですよ」(でも、不思議だ・・・初対面の人とこんなに話せるなんて)
 「クククク・・・そう・・だね。それで、お城を出て何処に住むつもりかな?出来れば住む所は把握しておきたい」
 「それなら、そちらで用意して貰えれば有り難いです・・・住む場所はできれば、街に近い、田舎がいいです。田舎でも、私が住んでも紛れるような・・・田舎町?」
 「ふふふ、うん、希望通り行けそうだよ。仕事は・・おいおい、考えて行けばいいと思う。仕事が有っても無くても、必要最低限の生活費は生涯保障しよう。それとは別に、食料も差し入れよう」
 「そんな事が出来るのですか?」
 「ああ、私の領地だ。辺境にあるが、私の屋敷がある周辺は街になっている。周りは長閑な田園風景が広がっているし、人口も田舎と言えど、それなりいる。屋敷の近くの田舎家も一軒くらいは空きがあるだろうし、近いから食料の差し入れも頻繁に出来る。どうだい?」
 「・・・・それは、有り難いですが・・・出来れば、私の事を誰も知らない所に行きたい・・です」
 「それは・・・難しいな。目が届かなければ、ちゃんと生活出来ているか分からないし、支援も滞りがちになる・・・老女一人では物騒だよ。それとも、魔法が使えるのかな?それなら一人暮らしでも大丈夫だけども」
 僕は首をブンブン振った。(そうか、この世界は魔法有きなのか・・・)
 その時ノックの音がして、一人の少年が招き入れられた。

 「失礼いたします、デリク殿下。国王陛下と、大神官様が御呼びです。至急、巫女様の精霊宮に参られるようにとのご伝言で御座います」
 「承知した、とお伝えせよ」
 少年が立ち去ると、皇子は部屋の隅に立っていた青年を呼んだ。先程、紅茶を給仕してくれた人だ。

 「コール、老女を緑星宮の客間に案内いたせ」
 「はい、確かに承りました」
 「さて、ご老女」皇子は再び、こちらを向くと、呼び掛けて来た。
 僕も真っ直ぐ、皇子を見やる。
 「あなたの名前は何と言うのですか?」
 「!!」
 (名前、全く考えていなかった・・・でも、男女ともに使える名前だから分かんないよね)
 
 「私は、デリク・ランセン・トロイヤス・フォーブナ―ル。このエッカート王国の第二皇子です」

 「わ、私は落星緑おちぼしみどりと申します」

 「オチボシミドリ?」

 「え~と、名前が緑。名字が落星です」

 「そう、ミドリ。よろしくね」そう言うと、皇子はにっこり笑い掛けた。

 僕はただただ頷くしかなかった。

 (何が、よろしくなのーー?)皇子の綺麗な笑顔が凄過ぎて怖かった。

 キラキラ過ぎて目が痛い・・・

 






















































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