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エヴァーソン家はカプチーノ王国の基盤となる三大公爵家の一つ。
国の守護神と呼ばれ、代々に渡って優秀な騎士を多く輩出してきた強豪家だ。そんな三大公爵家には古くから異能と呼ばれる力が当主に備わっていた。
「おかえりなさいませ、お父様!!」
「お勤め、ご苦労様でした」
ロエナ達が父親に向かっていく姿をへロイスと二人見つめる。
あれがエヴァーソン家の公爵か。
フィリップの銀色の髪に青い瞳はもれなく父親から受け継いだのであろう、こうして三人が並んでいると家族としてよく分かる。
「お兄ちゃん、私達も行こう!」
「………おう」
およ?
へロイスの声が少し緊張しているように感じる。
公爵を見つめる横顔。
もしやこの時から既にへロイスは自分と兄妹の立場を比較していたのか??
だったら安心したまえ!!
「大丈夫だよ、お兄ちゃん」
サザンカはニカっと笑うと歩き出す。
「私がいるからね!!」
それを合図にぐっちょぶを決め込めば、へロイスはやがて吹き出した。
「ふはっ、なんだよそれ」
良かった、これで少しは元気になったか。
合流すればさっそく公爵に話しかける。
「おかえりなさいませ!お父様!!」
「サザンカか」
公爵は意外にも優しく頭を撫でてくれた。
良かった、いくらサザンカが悪役令嬢とはいえ、公爵には嫌われていないようだ。
「つい長い間、家を留守にしてしまったが。変わりはなかったか?」
いえ、もれなくありまくりです!!
まず転生して中身はサザンカと別人なこと。
国の掟を破って騎士訓練に勝手に参加していること。
後はお兄ちゃんに魔法を教えて貰って~
最近ではガーデニングにも力を入れているところとか~
え、これってお父様にバレたらどうなるんだろう、、、
「おい、何をボーっとしてんだよ」
「は!私、今、ボーっとしてた⁈」
「してただろ。せっかく父上が話かけて下さってるのに」
「ごめんて(笑)。あ、お父様、帰って来て早々なんですけど、お願いがあっ…ん?」
不意に公爵の肩回りを浮遊するある生物に目がいく。
なんか全体的に青いモヤをまとっているが、よく見たら小さな蛇のようだ。
「サザンカ?どうした」
「え、あ、いえ、なんでもないです!!すみません、話はまた今度で!」
「そうか。なら疲れただろうから今日はもう休みなさい」
「は~い!!」
なんだったんだろう、、、
公爵が戻っていく後ろ姿を見てももう蛇はいなかった。
だがあの時、蛇と目があったような気がした。
「ねえお兄ちゃん」
「なんだよ」
「ん~…お兄ちゃんは何か見えた?」
誰も周りにいなくなったタイミングでこそっと聞いてみた。
「見えた?何をだ??」
「…いや、なんでもない」
なんだ、へロイスには見えなかったのか。
ならあれは何かの目の錯覚かもしれないな~
さてと!!部屋に戻ったら新しい企画でも考えとかないと。暫くは外出禁止を言い渡されたし、訓練場に行くのは先になってしまいそうだから。
国の守護神と呼ばれ、代々に渡って優秀な騎士を多く輩出してきた強豪家だ。そんな三大公爵家には古くから異能と呼ばれる力が当主に備わっていた。
「おかえりなさいませ、お父様!!」
「お勤め、ご苦労様でした」
ロエナ達が父親に向かっていく姿をへロイスと二人見つめる。
あれがエヴァーソン家の公爵か。
フィリップの銀色の髪に青い瞳はもれなく父親から受け継いだのであろう、こうして三人が並んでいると家族としてよく分かる。
「お兄ちゃん、私達も行こう!」
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公爵を見つめる横顔。
もしやこの時から既にへロイスは自分と兄妹の立場を比較していたのか??
だったら安心したまえ!!
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「私がいるからね!!」
それを合図にぐっちょぶを決め込めば、へロイスはやがて吹き出した。
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良かった、これで少しは元気になったか。
合流すればさっそく公爵に話しかける。
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「サザンカか」
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良かった、いくらサザンカが悪役令嬢とはいえ、公爵には嫌われていないようだ。
「つい長い間、家を留守にしてしまったが。変わりはなかったか?」
いえ、もれなくありまくりです!!
まず転生して中身はサザンカと別人なこと。
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後はお兄ちゃんに魔法を教えて貰って~
最近ではガーデニングにも力を入れているところとか~
え、これってお父様にバレたらどうなるんだろう、、、
「おい、何をボーっとしてんだよ」
「は!私、今、ボーっとしてた⁈」
「してただろ。せっかく父上が話かけて下さってるのに」
「ごめんて(笑)。あ、お父様、帰って来て早々なんですけど、お願いがあっ…ん?」
不意に公爵の肩回りを浮遊するある生物に目がいく。
なんか全体的に青いモヤをまとっているが、よく見たら小さな蛇のようだ。
「サザンカ?どうした」
「え、あ、いえ、なんでもないです!!すみません、話はまた今度で!」
「そうか。なら疲れただろうから今日はもう休みなさい」
「は~い!!」
なんだったんだろう、、、
公爵が戻っていく後ろ姿を見てももう蛇はいなかった。
だがあの時、蛇と目があったような気がした。
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