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三大公爵家にはそれぞれに家門を守護する神獣がいる。
そのうち、騎士の一家であるエヴァーソン家には古の時代より、青く光り輝く美しい龍が守護神にいるとされていた。
「それでいかがでしたか、遠方での視察は」
「残念ながら収穫はなしだ」
午後の時間。
お茶の時間に呼び出されたサザンカは家族が集まる居間にいた。
目の前にはロエナとフィリップお兄様。
隣にはお兄ちゃんが座った状態で、公爵の話に耳を傾けていた。
「神獣の力はもう数十年、我が家門には戻ってはおらぬ。先代の時代、三大公爵家の暗殺を目論む者達の影響を受けて、今もその力は何処ぞの地に封印されたままだ」
なるほど~今回の視察はそれが目的だったのか。
公爵が頭を悩ませているところを見ると、赴いた地での情報は何もなかったようだ。
「お父様、そんなに悲しまないで下さい。お父様が悲しんでいると、私も悲しいです」
ロエナは公爵の手を握ると寂しそうな顔をする。
「ロエナ…優しいなお前は」
流石はヒロインの力!!!
公爵はそんなロエナにたちまち顔色を変えていた。
だが若干、何も思わない者が一名。
サザンカだけはカップ越しから公爵の肩回りを迂回する蛇を鬱陶しそうに見つめていた。
「我はここにおる!ここにおるではないか!!!」
「(うるせぇ、、、)」
目に見えて、声まで聞こえてる人間には最悪でしかない。
さっきから悲しむ皆を差し置いて、この蛇は公爵の周りをグルグルと回って注目を向けさせようと奮闘しているようであったが、馬鹿なのかコイツ、、。
「父上、元気を出して下さい。実はいい報告があるんです!」
すると横ではへロイスが話を切り出す。
よく見たら顔が嬉しそうだ。
「今回の研究試験で主席を取ったんです。それで受賞式があるのですが、是非とも見に…」
"失礼致します”
ノックと共に開いた扉からは使用人が顔を出す。
「どうした」
「公爵様!朗報です!!この度、フィリップ様が活躍された魔物討伐の件で王家直属から新書が。ついてはソードマスターの受賞式を執り行いたいと」
「なんと!!それは誠か!」
公爵は嬉しそうに立ち上がればフィリップを見る。
「よくやったぞ!流石は私の息子だ!!」
「いえ、俺は全力を尽くしたまでです(笑)」
「さっそく王家に伝報を。今回の件でエヴァーソン家の実力が再認されるだろう」
普段は無口で無表情なフィリップもこの時ばかりは喜んでいたし、ロエナも嬉しそうに祝福していた。
そんな様子をまた遠回しに見ていればチラッとへロイスを確認する。
(あ、、、お兄ちゃん…)
そこにはさっきまでと打って変わって暗い表情を見せる兄。
タイミングが良いのか悪いのか。
ちょうど王都で行われるお兄様のソードマスター受賞式とお兄ちゃんの主席受賞式は同じ日程だったのだ。
「………俺は一足先に失礼します」
そう言い、立ち上がったへロイスはニコリと笑って退室した。
どうしたもんか、、、
だがこの空気の中、いつまでも茶を飲んでいるのは気まずすぎる。
するとスロークが気づいて近寄ってきた。
「どうしたんじゃ?そんな浮かない顔して」
「ん~別になんでもないよ」
「なんじゃ、悩みでもあるのか?こんな素晴らしい日に。我が家門の人間からソードマスターが輩出!しかも我の力が無くてだ!流石はエヴァーソン家の人間なだけあるじゃろ!!」
「はいはい、そうですね~」
まあ、作中でも重要キャラとはいえないが、ヒロインの実兄。
ヒロインが主役キャラなら、兄もチートでなければおかしい訳で。
「なんじゃ、そんな暗い顔なんかしとって。嬉しくないのか?自分の兄が王家に貢献したんだぞ?」
「そりゃあ嬉しいけど…そういうんじゃ、、、」
「訳の分かんない奴じゃな~…ん?もう行くのか??」
「うん、また後でね!!」
「封印の約束を忘れるでないぞ?」
スロークと別れれば、サザンカも一足先に部屋を後にする。
やらなければならないことがまた一つ増えたからだ。
そのうち、騎士の一家であるエヴァーソン家には古の時代より、青く光り輝く美しい龍が守護神にいるとされていた。
「それでいかがでしたか、遠方での視察は」
「残念ながら収穫はなしだ」
午後の時間。
お茶の時間に呼び出されたサザンカは家族が集まる居間にいた。
目の前にはロエナとフィリップお兄様。
隣にはお兄ちゃんが座った状態で、公爵の話に耳を傾けていた。
「神獣の力はもう数十年、我が家門には戻ってはおらぬ。先代の時代、三大公爵家の暗殺を目論む者達の影響を受けて、今もその力は何処ぞの地に封印されたままだ」
なるほど~今回の視察はそれが目的だったのか。
公爵が頭を悩ませているところを見ると、赴いた地での情報は何もなかったようだ。
「お父様、そんなに悲しまないで下さい。お父様が悲しんでいると、私も悲しいです」
ロエナは公爵の手を握ると寂しそうな顔をする。
「ロエナ…優しいなお前は」
流石はヒロインの力!!!
公爵はそんなロエナにたちまち顔色を変えていた。
だが若干、何も思わない者が一名。
サザンカだけはカップ越しから公爵の肩回りを迂回する蛇を鬱陶しそうに見つめていた。
「我はここにおる!ここにおるではないか!!!」
「(うるせぇ、、、)」
目に見えて、声まで聞こえてる人間には最悪でしかない。
さっきから悲しむ皆を差し置いて、この蛇は公爵の周りをグルグルと回って注目を向けさせようと奮闘しているようであったが、馬鹿なのかコイツ、、。
「父上、元気を出して下さい。実はいい報告があるんです!」
すると横ではへロイスが話を切り出す。
よく見たら顔が嬉しそうだ。
「今回の研究試験で主席を取ったんです。それで受賞式があるのですが、是非とも見に…」
"失礼致します”
ノックと共に開いた扉からは使用人が顔を出す。
「どうした」
「公爵様!朗報です!!この度、フィリップ様が活躍された魔物討伐の件で王家直属から新書が。ついてはソードマスターの受賞式を執り行いたいと」
「なんと!!それは誠か!」
公爵は嬉しそうに立ち上がればフィリップを見る。
「よくやったぞ!流石は私の息子だ!!」
「いえ、俺は全力を尽くしたまでです(笑)」
「さっそく王家に伝報を。今回の件でエヴァーソン家の実力が再認されるだろう」
普段は無口で無表情なフィリップもこの時ばかりは喜んでいたし、ロエナも嬉しそうに祝福していた。
そんな様子をまた遠回しに見ていればチラッとへロイスを確認する。
(あ、、、お兄ちゃん…)
そこにはさっきまでと打って変わって暗い表情を見せる兄。
タイミングが良いのか悪いのか。
ちょうど王都で行われるお兄様のソードマスター受賞式とお兄ちゃんの主席受賞式は同じ日程だったのだ。
「………俺は一足先に失礼します」
そう言い、立ち上がったへロイスはニコリと笑って退室した。
どうしたもんか、、、
だがこの空気の中、いつまでも茶を飲んでいるのは気まずすぎる。
するとスロークが気づいて近寄ってきた。
「どうしたんじゃ?そんな浮かない顔して」
「ん~別になんでもないよ」
「なんじゃ、悩みでもあるのか?こんな素晴らしい日に。我が家門の人間からソードマスターが輩出!しかも我の力が無くてだ!流石はエヴァーソン家の人間なだけあるじゃろ!!」
「はいはい、そうですね~」
まあ、作中でも重要キャラとはいえないが、ヒロインの実兄。
ヒロインが主役キャラなら、兄もチートでなければおかしい訳で。
「なんじゃ、そんな暗い顔なんかしとって。嬉しくないのか?自分の兄が王家に貢献したんだぞ?」
「そりゃあ嬉しいけど…そういうんじゃ、、、」
「訳の分かんない奴じゃな~…ん?もう行くのか??」
「うん、また後でね!!」
「封印の約束を忘れるでないぞ?」
スロークと別れれば、サザンカも一足先に部屋を後にする。
やらなければならないことがまた一つ増えたからだ。
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