悪役令嬢はポジティブすぎて死亡フラグもクソもない!!

空蝉ノ十八番

文字の大きさ
25 / 44

25

しおりを挟む
会場奥ではロエナが令嬢達と話してるのが見えた。
流石はヒロイン、人気っぷりが凄まじかった。
中心でニコニコ笑ってるだけなのに、他の令嬢がわらわら集まっている。

「エマ、私のお姉様があそこにいるの見える?貴方は先にハンカチを届けに行ってて頂戴。私は飲み物を持ってから向かうから!」
「分かりました。私、頑張ります!」
「うん!がんば!!」

半ば緊張気味にロエナ達のいる輪の方に歩いていくエマ。
心の中で「ファイト~!」と応援しながら、自分も飲み物を取りに行こう!と別の方向に足を向けた。
あれだけ飲んだくせにまだ飲むのかって?
失礼な、自分はただ緊張して喉がカラカラになった時用に保険をかけておこうと思って、、、

「ん?あれ、あそこにいるのは…」

テーブルに置かれていたワイングラスを一つ、シャンパングラスを一つ持ったタイミングでエマのお姉さんを見つける。向こうは家族と一緒?にいるのか誰かと挨拶でも交わしているようだ。
これはラッキーだ!!
バレないようにそっと近づけば、話のタイミングを伺うことに決めた。

「いや~実に美しいお嬢様であらせられる。ミランダ嬢のような方を娘に持てて男爵は幸せでありますな~」
「はっは、ありがたきお言葉です。我が娘は兄弟達の中でも優秀でして。将来はその能力を生かして我が事業を引き継がせようと考えているところです」
「なるほど、そうきましたか~なんとも勿体ないことを。これほどの美しさがあれば、さぞ嫁ぎ先も多くございますでしょうに」

でっぷりと肥えたお腹が特徴的な男性。
それを愛想笑いで微笑むエマのお姉さん・ミランダ様と歓談を楽しむ父親の姿。

だが妙に変な気分なのはなぜ、、、?

「そう言えば男爵、ミランダ嬢には下に妹もいましたな」
「ああ、エマのことでしょうか」
「そうだそうだ、エマと言ったか。先程チラリと拝見しましたが、なかなか可愛らしいお嬢様でしたな。…なんとも気立ての良い純粋な。それでいて嫁ぎ先でも従順そうな子だ」

ニヤリと笑うでっぷり親父。
その顔つきにミランダは警戒する。
だが何を言いたいのか意図を察したのはミランダだけではない。

「よく娘を知っておいでで(笑)。普段は地味で読書が好きなだけの飾り気のない子ではありますが」
「いやいや、そういう子の方が刺さる者も多いのですよ…ある意味ね。いかかでしょう!この際いい機会です。我が事業とお宅の事業で手を組むというのは」
「なんと!それが叶うのでしたらありがたい!!」

待ってました!と言わんばかりの父親。
もはやそっちがメインとでも言いたげな顔だった。

「ですが一つ、こちらからも条件といきましょう。この話を進めるにあたって、是非ともエマ嬢を我が妻に貰い受けたいのだがね。…どうだろうか?」
「!…それは、、」

その言葉に声を詰まらせた父親。

「そんなことで宜しいのなら喜んで!エマも格式高い家に嫁げると知れば、泣いて喜ぶことでございましょう!」
「それを聞いて安心しましたぞ。ではまた後日、改めて」

でっぷり親父と別れれば、たちまちミランダは焦った。

「お父様!今の話は本当なんですの?少しお待ち下さい!!」
「黙れ!これはもう決まった話だ!ウチの大事な取り引き相手だ。オマエは何も考えずただ黙って従っていろ」
「そんな…」
「…いいか?エマには上手くオマエから説得しておくのだぞ。これも我が家門のため。お前には期待しているからな」
「…はい」

男爵がいなくなればミランダ様は暗い顔をする。
その様子を少し離れたところで観察。

ん?
待てよ?
私ってばだいぶヤバイ話を聞いちゃった感じ??

整理すると段々と話が見えてきた。
つまり簡単に訳せばこう。
ミランダ様の父親が事業拡大の為、エマをあのでっぷり親父に売ろうとしているってことだ!!

(ヤバイじゃないか!!!)

もう死亡フラグとか言っている場合ではない。
今すぐにこの話をエマに知らせないと、、、
急いでその場から退散しようと背を向けるも、ミランダ様の悲しそうな横顔が脳裏に浮かんだ。

あれ?なんであんなに悲しそうな顔してたんだろう。

だってミランダ様はエマを苛めてて、、、


み『ミランダ嬢は実は優しい姉でね!フィリップルートではサザンカを使って悪役を演じるんだけど。でもそれには訳があって~…』


そんな話を思い出す。
つまりミランダ様は妹が嫌いなんじゃない。
イベント内でわざと悪役を演じたことで、何かから妹を守っていたとなれば、、、

「は!つまりそれって、、ミランダ様!!!」
「は?え、サザンカ様??」
「ちょ~っといいですかね??????」

急いでミランダ様のとこにダッシュ!
手を引っ張って会場を出れば向こうは驚いていた。
この話の展開は自分しか分かっていない。
ならば上手く使えばミランダ様もエマも助ったりして!!

そうと決まれば悪役令嬢サザンカの出番だ!!


「ミランダ様、今から私の言うこと聞いてくれますか!共に平和の為に手を取り合いましょう!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

気配消し令嬢の失敗

かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。 15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。 ※王子は曾祖母コンです。 ※ユリアは悪役令嬢ではありません。 ※タグを少し修正しました。 初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。 ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...