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【第2章:密室での支配段階】(第5~10話)
第6話「脱いでほしい」
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三回目の土曜日。
透也は、アトリエへ向かう足取りが重かった。前回のことが、まだ頭から離れない。柊の手。あの触れ方。唇に触れた親指の感触。
「今日は...大丈夫だろうか」
不安を抱えながら、ドアをノックする。
「どうぞ」
柊の声。ドアを開けると、柊が立っていた。今日も白いシャツ。でも、今日は少し表情が違う。何か、期待に満ちている。まるで、クリスマスの朝を待つ子供のような。
「来てくれたね」 「...はい」
透也が中に入る。いつもの椅子が、窓際に置かれていた。
透也が椅子に座ろうとすると、柊が言った。
「先生、待って」
透也が振り返る。柊が真剣な表情で、透也を見つめていた。
「何か...?」 「お願いがあるんだ」
柊の声が、少し低くなった。透也の心臓が、嫌な予感で跳ねる。
「...何でしょう」 「シャツを、脱いでほしい」
透也の目が、見開かれた。
「え...?」 「上半身の筋肉の動きを描きたいんだ」
柊が一歩近づく。透也は思わず後ずさった。
「でも...」 「芸術のため」
柊の声は穏やか。でも、その目は真剣だった。いや、真剣を超えて、何か熱いものが宿っている。渇望。期待。
「嫌なら、無理強いはしない」
柊がそう言った。でも、その声には期待が籠もっていた。透也を見つめる眼差しは、懇願するようで。
透也の頭の中が混乱する。
「断るべきだろうか」
でも、心の中で別の声が言う。 「モデルって、そういうものだよな」
美大の授業でも、ヌードモデルはいた。芸術のためなら、裸になることも珍しくない。
「柊さんは画家だ。芸術家として、必要だと言っている」 「それに...断ったら失礼かもしれない」
透也の、人の期待に応えたいという性格が、顔を出す。
「...わかりました」
透也が小さく言った。柊の目が、輝いた。
「本当に?」 「はい...芸術のためなら」
透也は自分に言い聞かせた。これは芸術だ。変なことじゃない。
「ありがとう」
柊の声に、抑えきれない喜びが滲んでいた。まるで、長年の願いが叶ったかのような。
透也は立ち上がった。シャツのボタンに手をかける。 手が、少し震えている。
一つ、ボタンを外す。
柊の視線を感じる。熱い視線。透也の手元を、じっと見つめている。まるで、ストリップを見ているかのような、食い入るような眼差し。
透也の呼吸が、浅くなる。
また一つ、ボタンを外す。 胸元が見えてくる。透也の顔が、少しずつ赤くなっていく。
男に、裸を見られる。 その事実が、透也の心臓を激しく打つ。
三つ目、四つ目。 シャツが開いていく。透也は視線を下に向けた。柊を見ることができない。
柊の息を呑む音が聞こえた。
最後のボタンを外す。 シャツを、肩から滑らせる。 スローモーションのように、シャツが床に落ちる。
上半身が、露わになった。
細身だが、引き締まった身体。男性的な骨格。鎖骨のライン。白い肌。 窓からの陽光が、透也の肌を照らす。
透也は、恥ずかしさで顔を背けた。
「くそ...」
内心で呟く。男なのに、こんなに恥ずかしいなんて。まるで、初めて人前で服を脱いだ子供みたいだ。
「...美しい」
柊の声が、震えていた。
透也が顔を上げると、柊が透也を見つめていた。 その目には、もう隠しきれない熱がある。渇望。執着。飢えた獣のような。
透也の背筋に、冷たいものが走った。
「座って」
柊が言った。声が、いつもより低い。掠れている。
透也が椅子に座る。上半身裸のまま。 窓からの光が、透也の肌を照らす。白い肌が、陽の光に映える。
柊がキャンバスの前に立った。筆を持つ。 でも、やはり動かさない。 ただ、透也を見つめている。
今日の視線は、今までとは違った。 もっと濃密で。もっと執着的で。まるで、舌で舐めるように。
透也の首筋を、視線が辿る。 鎖骨へ。 胸へ。
乳首に留まる。
透也の身体がビクリと震える。 見られているだけなのに、乳首が反応してしまう。少しずつ、硬くなっていく。
「っ...」
透也が小さく声を漏らす。
柊の視線が、さらに下へ。 腹部へ。 腰へ。
まるで、指先で撫でるように。視線だけで、透也の全身を舐めている。
「観察」ではない。 「渇望」だ。
透也は、それをはっきりと理解した。
「...」
身体が震える。寒さではない。恐怖だ。でも、それだけじゃない。
透也の下腹部が、ジンと熱くなる。 見られているだけで。
「柊さん...」
透也が小さく呼んだ。柊がハッとして、我に返った。
「ああ、すまない」
柊が慌てて筆を動かし始める。でも、数分後には、また止まる。 そして、透也を見つめる。
その繰り返し。
透也は耐えた。これがモデルだ。そう自分に言い聞かせる。
でも、心の中では分かっていた。 「これは...普通じゃない」 「あの視線は...」
乳首が完全に硬くなっている。透也は気づかれないように、少し前かがみになろうとする。
でも、柊の視線は見逃さない。
「姿勢を崩さないで」
柊の声。命令口調。
透也が背筋を伸ばす。 硬くなった乳首が、完全に露わになる。 柊の視線が、そこに釘付けになった。
「っ...」
透也の顔が、真っ赤になる。
一時間が経った。透也の身体は、緊張で固まっていた。そして、別の緊張も。 ズボンの中が、少し窮屈になり始めている。
見られているだけで。 男性に。 こんな反応をするなんて。
「柊さん...そろそろ...」 「もう少しだけ」
柊が懇願するように言った。透也は頷いてしまう。
さらに三十分。
ようやく、柊が筆を置いた。
「今日はここまで」
透也は素早くシャツを手に取った。急いで着る。ボタンを留める手が震えている。
柊が近づいてきた。
「先生...」
透也が後ずさる。でも、背中が壁に当たった。
「ありがとう。本当に、ありがとう」
柊の手が、透也の肩に触れた。
「っ...」 「君は...本当に美しい」
柊の囁き。その声は、甘く、でも重い。吐息が、透也の首筋にかかる。
透也は柊の手を振り払った。
「...もう、帰ります」 「そうか...」
柊が一歩下がる。でも、その目は、まだ透也を捉えていた。渇望に満ちた眼差し。
「また...来週」
「...」
透也は答えずに、アトリエを出た。
階段を駆け下りる。外に出て、ようやく大きく息をついた。 全身が震えている。
「おかしい...完全におかしい」
透也は自分の肩を抱いた。まだ、柊の視線が肌に残っている気がする。 裸を見られた。男に。 その事実が、透也の心を重く押し潰す。
「もう...行かない方がいいかもしれない」
透也は呟いた。
でも。
「断れるだろうか」
透也は自分の弱さを知っていた。
帰り道、透也は何度も自分の身体を触った。シャツの上から。 柊に見られた肌。 まだ、熱い気がする。
そして、ズボンの中は、まだ完全には収まっていなかった。
「くそ...」
透也は舌打ちした。 男に見られて、興奮するなんて。 自分の身体に、裏切られたような気持ちだった。
家に帰って、鏡の前に立つ。シャツを脱ぐ。 自分の上半身を見つめる。 柊は、これを「美しい」と言った。 透也には、ただの男の身体にしか見えない。 でも、柊の目には違って見える。 乳首が、まだ少し硬い。
「...何なんだ」
透也は顔を覆った。
携帯が震える。柊からのメッセージ。
『今日は本当にありがとう。君の身体は、芸術そのものだ。次は...もっと描きたい』
透也は、そのメッセージを見て、胸が締め付けられる思いがした。
「もっと...?」
これ以上、何を?
透也は返信しなかった。できなかった。
ベッドに倒れ込む。 柊の顔が浮かぶ。あの視線。あの熱。
「怖い...」
透也は、初めてはっきりとそう思った。 柊が、怖い。 あの視線が、怖い。
でも。
「断れない...」
透也は自分の弱さに、苛立ちを覚えた。 なぜ、断れないんだ。 なぜ、柊の期待に応えようとしてしまうんだ。
「くそ...」
透也は枕に顔を埋めた。 このまま、どこまで行ってしまうのだろう。 透也には、もう分からなくなっていた。
翌日、日曜日。
透也は一日中、家に引きこもった。 柊からのメッセージは、その後も何通か来ていた。 でも、透也は見なかった。見たくなかった。
月曜日、学校で。
透也は、タートルネックを着ていた。 首を隠すため。 何も痕はついていない。でも、透也には、柊の視線の痕が残っている気がした。
「先生、暑くないですか?」
田中先生が心配そうに聞いてきた。春の陽気で、もうタートルネックは暑い。
「いえ...少し、寒気がして」
嘘をついた。
田中先生は、透也の顔色を見て、眉をひそめた。
「顔色、悪いわよ。無理しないでね」 「...はい」
透也は作り笑いをした。
放課後、悠斗が来た。
「先生...大丈夫ですか?」 「ああ、大丈夫だ」 「でも...」
悠斗が言いかけて、口を閉じた。何か言いたそうだが、言えない様子。
「どうした?」
透也が聞くと、悠斗は首を横に振った。
「...いえ、何でもないです」
でも、その目は心配そうだった。
透也は、悠斗に何も言えなかった。 「お兄さんが、おかしい」なんて。 言えるわけがない。
一人になって、透也は深いため息をついた。
「...どうすればいいんだ」
透也は、自分の首を触った。タートルネックの下の、白い肌。 柊に見られた肌。
「次は...もう行かない」
透也は決意した。
でも、その決意が、どれほど脆いものか。 透也自身が、一番よく知っていた。
透也は、アトリエへ向かう足取りが重かった。前回のことが、まだ頭から離れない。柊の手。あの触れ方。唇に触れた親指の感触。
「今日は...大丈夫だろうか」
不安を抱えながら、ドアをノックする。
「どうぞ」
柊の声。ドアを開けると、柊が立っていた。今日も白いシャツ。でも、今日は少し表情が違う。何か、期待に満ちている。まるで、クリスマスの朝を待つ子供のような。
「来てくれたね」 「...はい」
透也が中に入る。いつもの椅子が、窓際に置かれていた。
透也が椅子に座ろうとすると、柊が言った。
「先生、待って」
透也が振り返る。柊が真剣な表情で、透也を見つめていた。
「何か...?」 「お願いがあるんだ」
柊の声が、少し低くなった。透也の心臓が、嫌な予感で跳ねる。
「...何でしょう」 「シャツを、脱いでほしい」
透也の目が、見開かれた。
「え...?」 「上半身の筋肉の動きを描きたいんだ」
柊が一歩近づく。透也は思わず後ずさった。
「でも...」 「芸術のため」
柊の声は穏やか。でも、その目は真剣だった。いや、真剣を超えて、何か熱いものが宿っている。渇望。期待。
「嫌なら、無理強いはしない」
柊がそう言った。でも、その声には期待が籠もっていた。透也を見つめる眼差しは、懇願するようで。
透也の頭の中が混乱する。
「断るべきだろうか」
でも、心の中で別の声が言う。 「モデルって、そういうものだよな」
美大の授業でも、ヌードモデルはいた。芸術のためなら、裸になることも珍しくない。
「柊さんは画家だ。芸術家として、必要だと言っている」 「それに...断ったら失礼かもしれない」
透也の、人の期待に応えたいという性格が、顔を出す。
「...わかりました」
透也が小さく言った。柊の目が、輝いた。
「本当に?」 「はい...芸術のためなら」
透也は自分に言い聞かせた。これは芸術だ。変なことじゃない。
「ありがとう」
柊の声に、抑えきれない喜びが滲んでいた。まるで、長年の願いが叶ったかのような。
透也は立ち上がった。シャツのボタンに手をかける。 手が、少し震えている。
一つ、ボタンを外す。
柊の視線を感じる。熱い視線。透也の手元を、じっと見つめている。まるで、ストリップを見ているかのような、食い入るような眼差し。
透也の呼吸が、浅くなる。
また一つ、ボタンを外す。 胸元が見えてくる。透也の顔が、少しずつ赤くなっていく。
男に、裸を見られる。 その事実が、透也の心臓を激しく打つ。
三つ目、四つ目。 シャツが開いていく。透也は視線を下に向けた。柊を見ることができない。
柊の息を呑む音が聞こえた。
最後のボタンを外す。 シャツを、肩から滑らせる。 スローモーションのように、シャツが床に落ちる。
上半身が、露わになった。
細身だが、引き締まった身体。男性的な骨格。鎖骨のライン。白い肌。 窓からの陽光が、透也の肌を照らす。
透也は、恥ずかしさで顔を背けた。
「くそ...」
内心で呟く。男なのに、こんなに恥ずかしいなんて。まるで、初めて人前で服を脱いだ子供みたいだ。
「...美しい」
柊の声が、震えていた。
透也が顔を上げると、柊が透也を見つめていた。 その目には、もう隠しきれない熱がある。渇望。執着。飢えた獣のような。
透也の背筋に、冷たいものが走った。
「座って」
柊が言った。声が、いつもより低い。掠れている。
透也が椅子に座る。上半身裸のまま。 窓からの光が、透也の肌を照らす。白い肌が、陽の光に映える。
柊がキャンバスの前に立った。筆を持つ。 でも、やはり動かさない。 ただ、透也を見つめている。
今日の視線は、今までとは違った。 もっと濃密で。もっと執着的で。まるで、舌で舐めるように。
透也の首筋を、視線が辿る。 鎖骨へ。 胸へ。
乳首に留まる。
透也の身体がビクリと震える。 見られているだけなのに、乳首が反応してしまう。少しずつ、硬くなっていく。
「っ...」
透也が小さく声を漏らす。
柊の視線が、さらに下へ。 腹部へ。 腰へ。
まるで、指先で撫でるように。視線だけで、透也の全身を舐めている。
「観察」ではない。 「渇望」だ。
透也は、それをはっきりと理解した。
「...」
身体が震える。寒さではない。恐怖だ。でも、それだけじゃない。
透也の下腹部が、ジンと熱くなる。 見られているだけで。
「柊さん...」
透也が小さく呼んだ。柊がハッとして、我に返った。
「ああ、すまない」
柊が慌てて筆を動かし始める。でも、数分後には、また止まる。 そして、透也を見つめる。
その繰り返し。
透也は耐えた。これがモデルだ。そう自分に言い聞かせる。
でも、心の中では分かっていた。 「これは...普通じゃない」 「あの視線は...」
乳首が完全に硬くなっている。透也は気づかれないように、少し前かがみになろうとする。
でも、柊の視線は見逃さない。
「姿勢を崩さないで」
柊の声。命令口調。
透也が背筋を伸ばす。 硬くなった乳首が、完全に露わになる。 柊の視線が、そこに釘付けになった。
「っ...」
透也の顔が、真っ赤になる。
一時間が経った。透也の身体は、緊張で固まっていた。そして、別の緊張も。 ズボンの中が、少し窮屈になり始めている。
見られているだけで。 男性に。 こんな反応をするなんて。
「柊さん...そろそろ...」 「もう少しだけ」
柊が懇願するように言った。透也は頷いてしまう。
さらに三十分。
ようやく、柊が筆を置いた。
「今日はここまで」
透也は素早くシャツを手に取った。急いで着る。ボタンを留める手が震えている。
柊が近づいてきた。
「先生...」
透也が後ずさる。でも、背中が壁に当たった。
「ありがとう。本当に、ありがとう」
柊の手が、透也の肩に触れた。
「っ...」 「君は...本当に美しい」
柊の囁き。その声は、甘く、でも重い。吐息が、透也の首筋にかかる。
透也は柊の手を振り払った。
「...もう、帰ります」 「そうか...」
柊が一歩下がる。でも、その目は、まだ透也を捉えていた。渇望に満ちた眼差し。
「また...来週」
「...」
透也は答えずに、アトリエを出た。
階段を駆け下りる。外に出て、ようやく大きく息をついた。 全身が震えている。
「おかしい...完全におかしい」
透也は自分の肩を抱いた。まだ、柊の視線が肌に残っている気がする。 裸を見られた。男に。 その事実が、透也の心を重く押し潰す。
「もう...行かない方がいいかもしれない」
透也は呟いた。
でも。
「断れるだろうか」
透也は自分の弱さを知っていた。
帰り道、透也は何度も自分の身体を触った。シャツの上から。 柊に見られた肌。 まだ、熱い気がする。
そして、ズボンの中は、まだ完全には収まっていなかった。
「くそ...」
透也は舌打ちした。 男に見られて、興奮するなんて。 自分の身体に、裏切られたような気持ちだった。
家に帰って、鏡の前に立つ。シャツを脱ぐ。 自分の上半身を見つめる。 柊は、これを「美しい」と言った。 透也には、ただの男の身体にしか見えない。 でも、柊の目には違って見える。 乳首が、まだ少し硬い。
「...何なんだ」
透也は顔を覆った。
携帯が震える。柊からのメッセージ。
『今日は本当にありがとう。君の身体は、芸術そのものだ。次は...もっと描きたい』
透也は、そのメッセージを見て、胸が締め付けられる思いがした。
「もっと...?」
これ以上、何を?
透也は返信しなかった。できなかった。
ベッドに倒れ込む。 柊の顔が浮かぶ。あの視線。あの熱。
「怖い...」
透也は、初めてはっきりとそう思った。 柊が、怖い。 あの視線が、怖い。
でも。
「断れない...」
透也は自分の弱さに、苛立ちを覚えた。 なぜ、断れないんだ。 なぜ、柊の期待に応えようとしてしまうんだ。
「くそ...」
透也は枕に顔を埋めた。 このまま、どこまで行ってしまうのだろう。 透也には、もう分からなくなっていた。
翌日、日曜日。
透也は一日中、家に引きこもった。 柊からのメッセージは、その後も何通か来ていた。 でも、透也は見なかった。見たくなかった。
月曜日、学校で。
透也は、タートルネックを着ていた。 首を隠すため。 何も痕はついていない。でも、透也には、柊の視線の痕が残っている気がした。
「先生、暑くないですか?」
田中先生が心配そうに聞いてきた。春の陽気で、もうタートルネックは暑い。
「いえ...少し、寒気がして」
嘘をついた。
田中先生は、透也の顔色を見て、眉をひそめた。
「顔色、悪いわよ。無理しないでね」 「...はい」
透也は作り笑いをした。
放課後、悠斗が来た。
「先生...大丈夫ですか?」 「ああ、大丈夫だ」 「でも...」
悠斗が言いかけて、口を閉じた。何か言いたそうだが、言えない様子。
「どうした?」
透也が聞くと、悠斗は首を横に振った。
「...いえ、何でもないです」
でも、その目は心配そうだった。
透也は、悠斗に何も言えなかった。 「お兄さんが、おかしい」なんて。 言えるわけがない。
一人になって、透也は深いため息をついた。
「...どうすればいいんだ」
透也は、自分の首を触った。タートルネックの下の、白い肌。 柊に見られた肌。
「次は...もう行かない」
透也は決意した。
でも、その決意が、どれほど脆いものか。 透也自身が、一番よく知っていた。
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