スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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16話・孵化

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 今回も、死人のようになった顔のリセさんを見てみぬふりをして、冒険者ギルドを後にする。
 今日は、そのまま宿屋へ戻らず、もう1ヶ所別の場所に寄る。
 
「ふぅ~」

 俺は、今湯船の中にいる。
 ここは、王都にある銭湯みたいなものだ。記憶が戻る前は、お金に余裕がある時に、たまに寄っていた場所だったりする。体をしっかり温まったので、体を冷やさないように、駆け足で宿屋に戻った。
 宿屋に戻ると、おばちゃんが出迎えてくれたので、買っておいた容器を手渡す。

「こんなに、買ってきたのかい? いくらだったんだい?」

 どうやら、お金を支払う気のようだ。

「俺が頼んだ事なのでお金は、大丈夫ですよ」

「そうかい? なら、残りも急いで作らせる事にするよ」

「ありがとうございます。夕食も貰ってもいいですか?」

「はいよ。座って待ってておくれ」

「はい」

 席についた俺は、ポケットから卵を取り出し、魔力を流しながら、夕食を待った。少しして、おばちゃんが持ってきた夕食を食べてから、部屋に戻る。
 部屋に戻ったタイミングで、丁度ブレスレットが、光出したので、ベッドに寝転びながら魔力を流す。

『せ… セウンさんですか?』

「あぁ、そうだよ。シェーンか?」

『はい、そうです!!』

「どうかしたか?」

『あ… いえ、別に… セウンさんは、今何しますか?』

「俺か? 俺は、ベッドでゴロゴロしてるな。シェーンは、確か国に戻ってるんだよな? 帰りついたか?」

『いえ、もう少しかかりそうですね』

「そっか、まぁ気を付けてな」

『はい!!』

 その後も、少し話た後、遠話を切った。

「さて、俺も寝るかな… ん…」

 今手に持っていた卵が動いたような気がする。

「そういえば、卵って温めた方がいいんだろうか?」

 一応、アイテムボックスからタオルを取り出し、軽くくるんだ後、割れないように横に置いて眠りついた。


「ん…」

 何か、音がしたような気がして、首だけ起こし、薄暗い部屋を見渡たしてみる。

「何もないか…」

 窓から見える景色も暗い為、再び眠りについた。





「んん~」

 目が覚めた俺は、寝たまま体を伸ばす。
 
「ん?」

 伸ばした腕に、何かが触れる感触がする。
 それを手に取って見てみると

「殻?」

 割れた殻のような物だった。

「殻!!」

 バッと体を起こし、殻があった所を見てみると、タオルの上に割れた殻とそれがそこにいた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー作者より(捕捉)

従魔の卵は、魔力で成長するので温めても意味はないです。また、普通の孵化する卵でも、タオルでくるむくらいの温かさでは、孵化しません(たぶん…)。
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