124 / 453
57話・昼食作り
しおりを挟む
子供たちと笑いながら、かなりの肉の塊が入った袋を持ったフィアンマ様が歩いてきた。
「ん? おや、シェーンじゃないかい。こっちに、帰って来てたのかい」
「お久しぶりです、フィアンマ様。先程、戻ってきました」
「そうかい。毎回、顔を出すなんて相変わらず律儀な子だねぇ、シェーンは… ん?」
フィアンマ様と目が合う。
「なんだい、今日は婿でも見せに来たのかい? そりゃあ、おめでたいねぇ」
「え… ちがっ… でも…」
シェーンは、顔を真っ赤にして、何かを言っているのだが、何を言っているのか分からない。それに、チラチラと俺を見てくるので、助けに入る。
「フィアンマ様。ご挨拶をしたいのですが、宜しいですか?」
俺はシェーンの前に出て、そう助けに入る。
フィアンマ様は、それを見て微笑みながら、
「そこまで、畏まらなくても大丈夫だよ。私の名は、フィアンマ。呼ぶ時は、院長やフィア婆とかで構わないよ」
「…では、お言葉に甘えて、フィア婆様と呼んでもいいですか?」
「お、まだ少しかたい気もするけど結構物わかりがいい子だねぇ。それで、構わないよ。シェーンなんて、何度言っても呼んでくれないしねぇ」
やや肩をすくめながら、後半の台詞はシェーンにむけて言ったたと思うのだが、シェーンはまだ1人ぶつぶつ言っていて、聞いていなかった。とりあえず、シェーンの事は置いておいて、話を続ける。
「それで、フィア婆様。私は、シェーンの知り合いで、冒険者をしているセウンと言います。今日は、シェーンのお手伝いをしに来ました」
「なんだい、婿じゃないのかい」
「違いますね」
フィア婆様は、チラッと俺の後ろを見た後、再度微笑みながら、
「そうかい。勘違いして悪かったね、セウン」
「いえ、気にしないで下さい。それより、その荷物預かりましょうか?」
俺は、肉のつまった袋を指差し、そう尋ねる。
「お、そりゃあ悪いね」
俺は、袋を受けとる。ずっしりとした重さがある。
受け取った後は、今だぶつぶつ言っているシェーンに、声をかける。
「シェーン… シェーン!!」
「は… はい!!」
「悪いけど、厨房へ案内してくれる? フィア婆様からお肉も預かったし…」
言葉を止め、チラッとお腹の合唱を奏でている子供たちを見る。
「そうですね。フィアンマ様、厨房を借りてもいいですか?」
「あぁ、それは構わないよ。だけど、1人で大丈夫かい? 私も手伝うよ?」
「大丈夫ですよ、フィアンマ様。セウンさんに、手伝って貰いますから。フィアンマ様も、シビルさんも休んでいて下さい」
「ん、なんだい。セウンは、料理も出来るのかい?」
「まぁ、人並みにですか」
「そりゃあ、楽しみだね。なら、私たちは、少し休ませて貰おうかね」
「はい、ゆっくりして下さい。それじゃあ、シェーン行こうか?」
「はい!! こっちです、セウンさん」
俺は、シェーンの後に続き、昼食を作るため、厨房へとむかう。
「ん? おや、シェーンじゃないかい。こっちに、帰って来てたのかい」
「お久しぶりです、フィアンマ様。先程、戻ってきました」
「そうかい。毎回、顔を出すなんて相変わらず律儀な子だねぇ、シェーンは… ん?」
フィアンマ様と目が合う。
「なんだい、今日は婿でも見せに来たのかい? そりゃあ、おめでたいねぇ」
「え… ちがっ… でも…」
シェーンは、顔を真っ赤にして、何かを言っているのだが、何を言っているのか分からない。それに、チラチラと俺を見てくるので、助けに入る。
「フィアンマ様。ご挨拶をしたいのですが、宜しいですか?」
俺はシェーンの前に出て、そう助けに入る。
フィアンマ様は、それを見て微笑みながら、
「そこまで、畏まらなくても大丈夫だよ。私の名は、フィアンマ。呼ぶ時は、院長やフィア婆とかで構わないよ」
「…では、お言葉に甘えて、フィア婆様と呼んでもいいですか?」
「お、まだ少しかたい気もするけど結構物わかりがいい子だねぇ。それで、構わないよ。シェーンなんて、何度言っても呼んでくれないしねぇ」
やや肩をすくめながら、後半の台詞はシェーンにむけて言ったたと思うのだが、シェーンはまだ1人ぶつぶつ言っていて、聞いていなかった。とりあえず、シェーンの事は置いておいて、話を続ける。
「それで、フィア婆様。私は、シェーンの知り合いで、冒険者をしているセウンと言います。今日は、シェーンのお手伝いをしに来ました」
「なんだい、婿じゃないのかい」
「違いますね」
フィア婆様は、チラッと俺の後ろを見た後、再度微笑みながら、
「そうかい。勘違いして悪かったね、セウン」
「いえ、気にしないで下さい。それより、その荷物預かりましょうか?」
俺は、肉のつまった袋を指差し、そう尋ねる。
「お、そりゃあ悪いね」
俺は、袋を受けとる。ずっしりとした重さがある。
受け取った後は、今だぶつぶつ言っているシェーンに、声をかける。
「シェーン… シェーン!!」
「は… はい!!」
「悪いけど、厨房へ案内してくれる? フィア婆様からお肉も預かったし…」
言葉を止め、チラッとお腹の合唱を奏でている子供たちを見る。
「そうですね。フィアンマ様、厨房を借りてもいいですか?」
「あぁ、それは構わないよ。だけど、1人で大丈夫かい? 私も手伝うよ?」
「大丈夫ですよ、フィアンマ様。セウンさんに、手伝って貰いますから。フィアンマ様も、シビルさんも休んでいて下さい」
「ん、なんだい。セウンは、料理も出来るのかい?」
「まぁ、人並みにですか」
「そりゃあ、楽しみだね。なら、私たちは、少し休ませて貰おうかね」
「はい、ゆっくりして下さい。それじゃあ、シェーン行こうか?」
「はい!! こっちです、セウンさん」
俺は、シェーンの後に続き、昼食を作るため、厨房へとむかう。
3
あなたにおすすめの小説
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。
ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。
俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。
そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。
こんな女とは婚約解消だ。
この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる