スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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57話・昼食作り

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 子供たちと笑いながら、かなりの肉の塊が入った袋を持ったフィアンマ様が歩いてきた。

「ん? おや、シェーンじゃないかい。こっちに、帰って来てたのかい」

「お久しぶりです、フィアンマ様。先程、戻ってきました」

「そうかい。毎回、顔を出すなんて相変わらず律儀な子だねぇ、シェーンは… ん?」

 フィアンマ様と目が合う。

「なんだい、今日は婿でも見せに来たのかい? そりゃあ、おめでたいねぇ」

「え… ちがっ… でも…」

 シェーンは、顔を真っ赤にして、何かを言っているのだが、何を言っているのか分からない。それに、チラチラと俺を見てくるので、助けに入る。

「フィアンマ様。ご挨拶をしたいのですが、宜しいですか?」

 俺はシェーンの前に出て、そう助けに入る。
 フィアンマ様は、それを見て微笑みながら、

「そこまで、畏まらなくても大丈夫だよ。私の名は、フィアンマ。呼ぶ時は、院長やフィア婆とかで構わないよ」

「…では、お言葉に甘えて、フィア婆様と呼んでもいいですか?」

「お、まだ少しかたい気もするけど結構物わかりがいい子だねぇ。それで、構わないよ。シェーンなんて、何度言っても呼んでくれないしねぇ」

 やや肩をすくめながら、後半の台詞はシェーンにむけて言ったたと思うのだが、シェーンはまだ1人ぶつぶつ言っていて、聞いていなかった。とりあえず、シェーンの事は置いておいて、話を続ける。

「それで、フィア婆様。私は、シェーンの知り合いで、冒険者をしているセウンと言います。今日は、シェーンのお手伝いをしに来ました」

「なんだい、婿じゃないのかい」

「違いますね」

 フィア婆様は、チラッと俺の後ろを見た後、再度微笑みながら、

「そうかい。勘違いして悪かったね、セウン」

「いえ、気にしないで下さい。それより、その荷物預かりましょうか?」

 俺は、肉のつまった袋を指差し、そう尋ねる。

「お、そりゃあ悪いね」

 俺は、袋を受けとる。ずっしりとした重さがある。
 受け取った後は、今だぶつぶつ言っているシェーンに、声をかける。

「シェーン… シェーン!!」

「は… はい!!」

「悪いけど、厨房へ案内してくれる? フィア婆様からお肉も預かったし…」

 言葉を止め、チラッとお腹の合唱を奏でている子供たちを見る。

「そうですね。フィアンマ様、厨房を借りてもいいですか?」

「あぁ、それは構わないよ。だけど、1人で大丈夫かい? 私も手伝うよ?」

「大丈夫ですよ、フィアンマ様。セウンさんに、手伝って貰いますから。フィアンマ様も、シビルさんも休んでいて下さい」

「ん、なんだい。セウンは、料理も出来るのかい?」

「まぁ、人並みにですか」

「そりゃあ、楽しみだね。なら、私たちは、少し休ませて貰おうかね」

「はい、ゆっくりして下さい。それじゃあ、シェーン行こうか?」

「はい!! こっちです、セウンさん」

 俺は、シェーンの後に続き、昼食を作るため、厨房へとむかう。
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