スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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79話・鏡

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 シュテンさんの話を聞き、漫画やアニメでよくあるあれを自分で体験するとは思わなかったけど、無事ならそれでいい。
 それに、ここでの時間がむこうの一瞬なら、皆に心配をかけていないという事だし安心した。
 といっても私がそう思っただけで、本当にそうなのか少し心配になったので、一応シュテンさんに確認してみる。

「なら私がむこうに戻っても、そんなに時間がたっていないって事でいいんですよね?」

「えぇ、その通りですよ。ですから、ラス君がスキルを使った際、周りにいた者たちに心配をかけるという事はないと思いますから安心して下さい」

 ちゃんと言質をとれたので、

「そうですか。良かったです…」

 安堵したのも束の間、
 
「…でもちょっと待って下さい、シュテンさん」

「ん? どうかしましたか?」

「今、私の周りにいた者って言いましたよね?」

「えぇ、言いましたよ。それがどうかしましたか?」

「どうかしましたかって、どうしてシュテンさんは、私の周りに人がいる事を知ってるんですか?」

「あぁ、その事ですか。それはですね…」

 シュテンさんが指をならすと、家の奥から白◯姫で出てくる女王が持っていそうな魔法の鏡みたいな物が飛んできて、私たちの前で止まり、

「これのおかげですよ」

 その鏡を指差しながらそう答える。

「…もしかして、むこうを見る事の出来る鏡とかですか?」

「そこまで分かるなんて流石ですね。正解です。ラス君が鬼神化スキルを授かったのを感じ取ったので、この支給されたこの人界を映す事の出来る鏡でラス君の事を見てたんですよ」

 案の定だった。

「…それで、シュテンさん。いったいこの鏡でどこまで観たんですか?」

 私は、ジト目でシュテンさんを睨み付けるように見る。

「あぁ、そこは安心して下さい。人界を映せるといっても、私の持っている鏡では、建物の中まで観る事は出来ませんし、それに、鏡に映っている人が何を言っているのかも分かりませんからね。ですから、私が観たのは、ラス君たちが建物の外でやっていた模擬戦とかですね」

「なんだ、そうだったんですね…」

 特に観られて困る事をした覚えはないけど、やはり観られていい気はしなかったから、それを聞いてホッとする。

「まぁでも、知っている言語なら口パクで何を言っているのか分かりますから、暇な時によくこの鏡を使い暇潰しをしているんですよ」

「あ、そうなんですね…」

 続くシュテンさんの話に、改めてシュテンさんのハイスペックさに少し呆れる。
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