スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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86話・肉体へ

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 私は、もう少しだけここに残り、シュテンさんとここに来る為の合図を決めた。

「では、ここに来たい時は、鬼神化を使ってから、先程決めた合図を取ってくれたら、ここに呼び寄せますね」

「はい、分かりました。その時は、お願いします」

「では、最後に少し失礼しますね」

 そう言いながら、シュテンさんは、私の頭に手をのせる。

「えっと、何をしているんですか?」

「おまじないみたいなものですよ」

「おまじないですか?」

「はい、そうです」

「どんなおまじないなんですか?」

「それは肉体に戻った時に、ステータスを確認してみて下さい」

「ステータスをですか? 分かりました。後で確認してみます」

「では、やる事も終わりましたから、そろそろ肉体へとラス君の精神を返そうと思います。いいですか?」

「はい、分かりました」

「では、またお会いしましょう」

「はい!!」

 それを最後に、徐々に私の意識が薄れていった。





「ラス… だい… ぶか?」

 徐々に意識がはっきりしてきた為か、誰かが私を呼ぶ声が聞こえてくる。

「ラス、大丈夫か?」

 体を揺さぶられる感覚で、完全に意識を取り戻すと、目の前にはセウンさんの顔があった。

「セウンさん!?」

 それに驚いた私は、体勢を崩し転びそうになるが、転ぶ前に、セウンさんが助けてくれる。

「本当に大丈夫か、ラス?」

「あ… ありがとうございます、セウンさん。私は、大丈夫です。それで、どうしてセウンさんは私の目の前にいたんですか?」

 私は、セウンさんの胸から顔を離し、体勢を整えながら、そう尋ねる。

「ん? あぁ、それはな…」

 セウンさんが、どうして目の前にいたのかの説明をしてくれる。





~ラスが戻ってくる少し前~

「鬼神化!!」

 ラスが新しいスキルを発動した。
 何が起こるか分からない為、警戒していたが、ラスが動く気配がない。

「ラス、大丈夫か?」

 声をかけてみるが、反応がない。
 俺だけでなく、シエルたちもラスに声をかけたが、やはり反応はなかった。

「俺が近づいて様子をみてみるから、皆はそのまま警戒をしていてくれ」

 シエルたち3人にそう伝え、俺はラスに近づく。
 近くまで来ると、声をかけながら、伏せている顔を覗き込む様に見ると、目の焦点があっていないように見えた。
 今度は、ラスの体を軽く揺さぶりながら声をかけると、

「セウンさん!?」

 今度は反応があったが、そのまま後ろへと倒れそうになった為、すぐにラスの腕を掴み、自分のもとへと引っ張って助ける。
 そしてラスは、今の状況(何故俺がラスの目の前にいたのか)が分かっていないようなので、その説明をする。
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