スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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114話・びっくり

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 ラスちゃんと話をしていたセウンが急に走り出し、門を出ていった。

「急に走り出して、セウンは、どうしたの?」

「分かりません。どうされたんでしょうか?」

「たぶん、あれのせいじゃないかの?」

 マオがそう言いながら、ラスちゃんを指差す。
 より性格にいえば、ラスちゃんの持つ瓶をだ。

「ねぇ、マオ。あれって、もしかして…」

「たぶん、シエルの想像通りじゃろな」

「やっぱり…」

「まぁでも、セウンさんらしいと言えばらしいですが、どうして急に、ラスちゃんにあれを手渡したんでしょうか?」

「それについてはさっぱりじゃ」

「そうね。まぁでも、セウンだからじゃない」

 少し呆れを含みながらも、笑みを浮かべながらそう言う。

「ふふ。そうかもしれませんね」

「そうじゃの」

 2人とも私と同じ気持ちなのか、顔に笑みを浮かべる。

「じゃあ、セウンも帰ったみたいだし、私たちも帰りましょうか」

 そう言い、ラスちゃんにも帰る旨を伝えて、私たちも孤児院を後にする。
 門を出た所で、

「よ!!」

 突然、声をかけられる。

「「「!?」」」

 声が聞こえた方を見ると、塀に寄りかかっているセウンがいた。

「あれ、セウン? 帰ったんじゃなかったの?」

「ん? あぁ、走り去ったのは、ラスにやった物を返却させない為だ」

「やっぱり、そうだったのね。でも、どうしてここで待ってたの? 明日の事はもう決めてあるんだし、そのまま帰ってもよかったんじゃないの?」

「まぁ、それはそうだけど、一言言わずに帰るのもあれだし、一応日も暮れているから、シエルたちを家まで送っていこうと思ってな」

「「「!?」」」

 それを聞き、頬が熱くなり、鼓動が早くなるのを感じた。

「そ… そうなのね!! あ… ありがとう、セウン。なら、お願いしようかな。ね、2人とも」

「そ… そうですね。よろしくお願いします、セウンさん」

「そ… そうじゃな。お願いするのじゃ」

「あぁ、もとよりそのつもりだ。じゃあ、帰ろうか」

「はい」 「分かりました」 「分かったのじゃ」

 私たちはそのまま、今日泊まるマオの家までセウンに送って貰った。





 セウンさんは、渡すものだけ渡して、静止する間もなく走り去っていった。
 その後、すぐにシェーンさんたちとも少し話をする。
 シェーンさんたちにも、これをどうしたものか聞いたけど、貰っておけばいいとしか言われなかったので、これ以上何か言うのも折角くれたセウンさんに悪いと思い、有り難く貰う事にした。
 そして、シェーンさんたちを見送った後、私も孤児院の部屋へと戻っていった。
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