296 / 453
114話・びっくり
しおりを挟む
ラスちゃんと話をしていたセウンが急に走り出し、門を出ていった。
「急に走り出して、セウンは、どうしたの?」
「分かりません。どうされたんでしょうか?」
「たぶん、あれのせいじゃないかの?」
マオがそう言いながら、ラスちゃんを指差す。
より性格にいえば、ラスちゃんの持つ瓶をだ。
「ねぇ、マオ。あれって、もしかして…」
「たぶん、シエルの想像通りじゃろな」
「やっぱり…」
「まぁでも、セウンさんらしいと言えばらしいですが、どうして急に、ラスちゃんにあれを手渡したんでしょうか?」
「それについてはさっぱりじゃ」
「そうね。まぁでも、セウンだからじゃない」
少し呆れを含みながらも、笑みを浮かべながらそう言う。
「ふふ。そうかもしれませんね」
「そうじゃの」
2人とも私と同じ気持ちなのか、顔に笑みを浮かべる。
「じゃあ、セウンも帰ったみたいだし、私たちも帰りましょうか」
そう言い、ラスちゃんにも帰る旨を伝えて、私たちも孤児院を後にする。
門を出た所で、
「よ!!」
突然、声をかけられる。
「「「!?」」」
声が聞こえた方を見ると、塀に寄りかかっているセウンがいた。
「あれ、セウン? 帰ったんじゃなかったの?」
「ん? あぁ、走り去ったのは、ラスにやった物を返却させない為だ」
「やっぱり、そうだったのね。でも、どうしてここで待ってたの? 明日の事はもう決めてあるんだし、そのまま帰ってもよかったんじゃないの?」
「まぁ、それはそうだけど、一言言わずに帰るのもあれだし、一応日も暮れているから、シエルたちを家まで送っていこうと思ってな」
「「「!?」」」
それを聞き、頬が熱くなり、鼓動が早くなるのを感じた。
「そ… そうなのね!! あ… ありがとう、セウン。なら、お願いしようかな。ね、2人とも」
「そ… そうですね。よろしくお願いします、セウンさん」
「そ… そうじゃな。お願いするのじゃ」
「あぁ、もとよりそのつもりだ。じゃあ、帰ろうか」
「はい」 「分かりました」 「分かったのじゃ」
私たちはそのまま、今日泊まるマオの家までセウンに送って貰った。
◆
セウンさんは、渡すものだけ渡して、静止する間もなく走り去っていった。
その後、すぐにシェーンさんたちとも少し話をする。
シェーンさんたちにも、これをどうしたものか聞いたけど、貰っておけばいいとしか言われなかったので、これ以上何か言うのも折角くれたセウンさんに悪いと思い、有り難く貰う事にした。
そして、シェーンさんたちを見送った後、私も孤児院の部屋へと戻っていった。
「急に走り出して、セウンは、どうしたの?」
「分かりません。どうされたんでしょうか?」
「たぶん、あれのせいじゃないかの?」
マオがそう言いながら、ラスちゃんを指差す。
より性格にいえば、ラスちゃんの持つ瓶をだ。
「ねぇ、マオ。あれって、もしかして…」
「たぶん、シエルの想像通りじゃろな」
「やっぱり…」
「まぁでも、セウンさんらしいと言えばらしいですが、どうして急に、ラスちゃんにあれを手渡したんでしょうか?」
「それについてはさっぱりじゃ」
「そうね。まぁでも、セウンだからじゃない」
少し呆れを含みながらも、笑みを浮かべながらそう言う。
「ふふ。そうかもしれませんね」
「そうじゃの」
2人とも私と同じ気持ちなのか、顔に笑みを浮かべる。
「じゃあ、セウンも帰ったみたいだし、私たちも帰りましょうか」
そう言い、ラスちゃんにも帰る旨を伝えて、私たちも孤児院を後にする。
門を出た所で、
「よ!!」
突然、声をかけられる。
「「「!?」」」
声が聞こえた方を見ると、塀に寄りかかっているセウンがいた。
「あれ、セウン? 帰ったんじゃなかったの?」
「ん? あぁ、走り去ったのは、ラスにやった物を返却させない為だ」
「やっぱり、そうだったのね。でも、どうしてここで待ってたの? 明日の事はもう決めてあるんだし、そのまま帰ってもよかったんじゃないの?」
「まぁ、それはそうだけど、一言言わずに帰るのもあれだし、一応日も暮れているから、シエルたちを家まで送っていこうと思ってな」
「「「!?」」」
それを聞き、頬が熱くなり、鼓動が早くなるのを感じた。
「そ… そうなのね!! あ… ありがとう、セウン。なら、お願いしようかな。ね、2人とも」
「そ… そうですね。よろしくお願いします、セウンさん」
「そ… そうじゃな。お願いするのじゃ」
「あぁ、もとよりそのつもりだ。じゃあ、帰ろうか」
「はい」 「分かりました」 「分かったのじゃ」
私たちはそのまま、今日泊まるマオの家までセウンに送って貰った。
◆
セウンさんは、渡すものだけ渡して、静止する間もなく走り去っていった。
その後、すぐにシェーンさんたちとも少し話をする。
シェーンさんたちにも、これをどうしたものか聞いたけど、貰っておけばいいとしか言われなかったので、これ以上何か言うのも折角くれたセウンさんに悪いと思い、有り難く貰う事にした。
そして、シェーンさんたちを見送った後、私も孤児院の部屋へと戻っていった。
1
あなたにおすすめの小説
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。
ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。
俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。
そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。
こんな女とは婚約解消だ。
この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
薬師だからってポイ捨てされました!2 ~俺って実は付与も出来るんだよね~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト=グリモワール=シルベスタは偉大な師匠(神様)とその脇侍の教えを胸に自領を治める為の経済学を学ぶ為に隣国に留学。逸れを終えて国(自領)に戻ろうとした所、異世界の『勇者召喚』に巻き込まれ、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
『異世界勇者巻き込まれ召喚』から数年、帰る事違わず、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居るようだが、倒されているのかいないのか、解らずとも世界はあいも変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様とその脇侍に薬師の業と、魔術とその他諸々とを仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話のパート2、ここに開幕!
【ご注意】
・このお話はロベルトの一人称で進行していきますので、セリフよりト書きと言う名のロベルトの呟きと、突っ込みだけで進行します。文字がびっしりなので、スカスカな文字列を期待している方は、回れ右を推奨します。
なるべく読みやすいようには致しますが。
・この物語には短編の1が存在します。出来れば其方を読んで頂き、作風が大丈夫でしたら此方へ来ていただければ幸いです。
勿論、此方だけでも読むに当たっての不都合は御座いません。
・所々挿し絵画像が入ります。
大丈夫でしたらそのままお進みください。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる