スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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86話・追い付く

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 センを回収してから、すぐ階段へ向かっていく。
 念入りに確認した訳ではないが、センが潰した死体の服装があいつが着ていた物と違っていたし、周りで転がっていた死体の数も最初見た時と比べ1人減っていたので、たぶんあれはあいつに殺された守衛の1人だろうと思う。
 そうなると、あいつはここから逃げた可能性が高かったので、何かしらのアイテムで転移していない事を祈りつつ進んでいったと思われる階段をかけ上がっていく。
 階段を上りきり、外側へと続く通路を進んでいくと、

「いた!!」

 少し先に、走っているあいつの姿を捉えた。

「!?」

 俺の声に反応し走りながら振り返ったあいつの顔は、驚愕に染まっていた。
 だけどあいつはすぐ向き直り、更に速度を上げ俺を引きはなそうと走る。
 それを追いながら、内心転移していなくて良かったと思いつつ、俺も足に力をいれ一気に距離をつめていく。
 そして、後少しで手が届くという所で、あいつが転がるように外へと飛び出した。
 俺もそれに続き、すぐ外へと出る。

「ハァハァ… 完全に騙せるとは思っていませんでしたが、まさかそんな時間をおかずして追いかけてくるとは思いませんでしたよ」

 あいつはこちらを警戒しながら体を起こしつつ話しかけてくる。

「一瞬焦りはしたが、周りの死体の数や服が違っていたからな。ただお前が転移して逃げたのか、それとも走って逃げたのかどうかまでは分からなかったから、正直走って逃げてくれていてホッとしたよ」

「それは良かったですね。まぁ、私からしたらとんだ迷惑ですがね」

「そうか。それは悪かったなとでも言ったらいいのか?」

「別にそんな言葉必要ないですよ」

「そうか。じゃあ、そろそろお前との決着をつけるとして、その前に1つ聞きたいんだが、何でこの前みたいに転移して逃げなかったんだ?」

 時間的余裕がそんなにある訳ではないのだが、少し気になったので答えるかどうか分からないが聞いてみた。

「あぁ、その事ですか… 単純に前回使ったアイテムが手持ちになかっただけですよ」

 あいつは小孝する素振りを見せた後答え出す。

「手持ち? 転移系のアイテムを持ってなかったという事か?」

「そんなところです。あれは、かなり貴重な物ですからね。本来なら今回も用意しようと思っていたのですが、手違いで準備が間に合わなかったんですよ。まぁそれでも、今回の作戦的に必要ないと思ったんですが、それは完全に私の判断ミスでしたよ」

「そうか…」

 本当かどうか分からないが、実際転移して逃げていない事を踏まえると本当の可能性が高いのかもしれない。
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