スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

文字の大きさ
440 / 453

118話・完全鬼化

しおりを挟む
 ディメンジョンスラッシュは、鬼人の男の胸を切り裂き血が飛び散る。
 だけど、まだ使いなれていない魔法であり、鬼人の男の強度も強かった事からそこまで深くは斬り裂けていなかった。

「だが、まだ俺を殺るには威力が甘ぇぞ!!」

 鬼人の男が筋肉を膨張させると先程斬り裂いた筈の傷が塞がってしまう。
 そして、力を込め拘束から抜け出そうにしている。

「マオさん、もう拘束が破られそうです!!」

「マオ。私たちの方もそろそろ限界よ」

「もう少し持ちこたえてくれ。シエル!!」

「準備出来たわ!! いくわ、シャイニングサウザントソード!!」

 シエルの創り出した無数の光の剣が上空を覆う。

「これでもくらいなさい!!」

 光の剣が鬼人の男目掛けて発射される。

 ドドドドドドドドドドドドッ

 全ての光の剣が鬼人の男に発射され、土煙が辺りを漂う。

「ハァハァ… どんなもんよ」

「シエル。まだ、倒したかどうか分からないから油断するでないぞ」

「ハァハァ… 分かってるわ」

 少しすると土煙が晴れてくる。
 晴れた先には、無数の光の剣が突き刺さった状態の鬼人の男が立っていた。

「ねぇ、何かあの鬼人先程と少し違わない?」

「ウーちゃんの言う通り、あいつなんか少しでかくなってるし、頭の角も伸びてない?」

 ウンディーネとシルフが言うように、儂からみても先程までと少し様子が変わっているように見える。

「フンッ!!」

 鬼人が力を込めると突き刺さっていた光の剣が粉々に砕ける。
 光の剣が砕けた事で、刺さっていた箇所からは血が流れ出すが、再び鬼人が力を込めると先程と同様に傷が塞がってしまう。

「がっはははは。やっぱ最高だよお前ら。流石の俺も今の攻撃はかなり危なかったぜ。咄嗟に鬼化しなかったらもしかしたら殺られてたかもしれないな」

「鬼化じゃと?」

 咄嗟に出た疑問の言葉に

「あぁ鬼化だ。正確には完全鬼化って言ってな、俺の力、防御、敏捷が上がるスキルだ。そして、その上がった力に耐えれるように俺の体もこうして大きくなったって訳だ」

 何故か鬼人がわざわざ自分のスキルについて説明してくれる。

「…どうして儂らにスキルの詳細を説明するのじゃ?」

 理解の及ばない行動の説明を求める。

「スキルの内容が気になり、本来の実力が発揮できませんでしたなんて事になって、闘いがつまらなくなるのを防ぐためだ。それに…」

 ドンッ

「ぐぅ」

「な!?」

 目の前から消えた鬼人が一瞬で隣に移動し、横にいたシエルを殴り飛ばしていた。

「スキルの事をお前らに話しても、俺にとっては痛くも痒くもないからな」

 笑みを溢しながら鬼人が答える。
しおりを挟む
感想 105

あなたにおすすめの小説

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

薬師だからってポイ捨てされました!2 ~俺って実は付与も出来るんだよね~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト=グリモワール=シルベスタは偉大な師匠(神様)とその脇侍の教えを胸に自領を治める為の経済学を学ぶ為に隣国に留学。逸れを終えて国(自領)に戻ろうとした所、異世界の『勇者召喚』に巻き込まれ、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。 『異世界勇者巻き込まれ召喚』から数年、帰る事違わず、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居るようだが、倒されているのかいないのか、解らずとも世界はあいも変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様とその脇侍に薬師の業と、魔術とその他諸々とを仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話のパート2、ここに開幕! 【ご注意】 ・このお話はロベルトの一人称で進行していきますので、セリフよりト書きと言う名のロベルトの呟きと、突っ込みだけで進行します。文字がびっしりなので、スカスカな文字列を期待している方は、回れ右を推奨します。 なるべく読みやすいようには致しますが。 ・この物語には短編の1が存在します。出来れば其方を読んで頂き、作風が大丈夫でしたら此方へ来ていただければ幸いです。 勿論、此方だけでも読むに当たっての不都合は御座いません。 ・所々挿し絵画像が入ります。 大丈夫でしたらそのままお進みください。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。

ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。 俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。 そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。 こんな女とは婚約解消だ。 この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

処理中です...