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第1章:第1節
学生寮
しおりを挟む「由奈、学生寮について誰か聞いてますか?」
「ううん、聞いてないよ」
「そうですか、困りましたね……」
私は眼鏡をクイッと上げ、由奈に声をかける。
栖蘭学園の学生寮があり、学園から徒歩で約10分。
男子と女子が分かれており、男子は【紅薔薇寮】女子は【白百合寮】になる。
栖蘭学園の在校生は必ず、学生寮に暮らすことを義務付けられている。
「仕方がありません。あの人に聞いてみm………」
「スピカ!」
私はもう一人のサポートキャラである、立花レイカの姿を捉えたのでその子に声かけようとしたら、凪に呼び止められた。
「僕の方が寮について詳しいから案内するよ~!」
※※※※※※※※※※
その後私と由奈、凪という奇妙な組み合わせで学生寮に着いて………
「……桃野先輩。スーちゃんから離れてくれませんか?」
「……由奈ちゃん?いくらスピカと幼馴染だからって、腕を抱きながら帰るのは度が超えてるよ~」
私は左右に由奈と凪に挟まれた状態のまま、下校していた。
(歩きづらい………)
明らかにおかしい。
ゲーム上でスピカが一人の生徒に声をかけるシーンがあるのだが、その生徒がもう一人のサポートキャラで由奈と同じクラスである、立花レイカ。
これがキッカケで由奈と友達になり、学園のことや学園で有名な攻略対象達の説明、好感度を教えてくれるサポートキャラ。
そして学生寮の行き方を立花レイカが行きながら説明する、はずだった……
因みに"藤野スピカ"こと、私の役割は、それまでの記憶をセーブやロード、各エンドを全て見ると、各攻略対象の弱点を教えてくれるのだ。
「あら、もしかして栖蘭学園に転校してきた藤野君と加々見さんかしら?」
ふと声がする方に向けば、そこにはおっとりとした女性と高身長のヤンキー男の二人の人物が立っていた。
「はい、そうです。」
「あ、やっさんと若ちゃん~」
凪が言ってるやっさんと若ちゃんは恐らくこの二人のこと。
「……成る程、こいつらが藤野と加々見だな」
ヤンキー男の人は私と由奈を物色している。
「あ、あの……」
「大丈夫だよ。この人達は寮長さんだから」
由奈が身構えると、凪がそう答えた。
「私、若松菜穂。【白百合寮】の寮長をやってるわ」
先程私達に声をかけたのは【白百合寮】の寮長、若ちゃんこと若松菜穂。
「俺は濱田涼だ!【紅薔薇寮】の寮長をしてるぜ!」
このヤンキー顔をしてるのが【紅薔薇寮】の寮長、やっさんこと濱田涼。
「桃野君は知ってるけど、二人共初めてだと思うから軽く説明するわね。此処は栖蘭学園の在校生が住む学生寮よ。男子と女子は分かれていて、男子は【紅薔薇寮】、女子は【白百合寮】と決まってるの。」
「一階は食堂があって、朝食は6時30分~9時、夕食は18時~21時までだ。二階はそれぞれの寮に行ける通路がある。一部屋二組で風呂、洗濯機は常備している」
前世でゲーム上のこの二人の説明は丁寧でとても分かりやすかった。藤野スピカとして転生した今でもこの二人は良き相談相手になりそうだ。
「因みにね、二階から寮に行ける通路なんだけど、在校生のご家族以外は【紅薔薇寮】は女人禁制、【白百合寮】は男人禁制よ。」
「門限も決まっていてな、男子は24時で女子は23時までだ!それを過ぎると門は閉まるから気をつけろよ!」
軽く説明が終わると、ついてきなと濱田さんの後ろをついていく。
※※※※※※※※※※
一階にある食堂を見終わると二階に行き由奈は【白百合寮】へ、私と凪は【紅薔薇寮】へとそれぞれ分かれる。
凪は同室者に電話で呼び出されて、自分の部屋に戻っていく。凪の部屋は402号室だ。
「これで、一通り説明は終わりだ。こいつが藤野の鍵だ。」
説明を聞き終えた私は寮長である濱田さんから鍵を渡される。
「鍵まで薔薇なんですね。」
鍵のロゴのデザインが寮の名前と同じ紅薔薇。
「栖蘭学園の創立者で初代学園長がこだわってたらしいからな。」
栖蘭学園の創立者が初代学園長だと知っていたが、ここまでこだわるとは。ゲーム上ではそこまで語ってなかったからそれは初耳である。
あそうそう、と濱田さんが振り返って……
「今藤野が渡した鍵……同室者いるからな。」
そう聞いた私は、ピタッと固まり体を強張りはじめる。
(えっ?今なんて言いました……?)
「同室者、ですか……?」
私は悟られないように眼鏡をクイッと上げ、濱田さんに聞く。
「あ?当たり前だろ?さっきの説明聞いてなかったのか?」
「…いえ、聞いてました。聞いてましたが、その、同室者が誰かと思いまして。」
淡々と喋ろうとしたら緊張するあまり、ところどころ言葉がきれて、完全に声が裏返ってしまった。
「ああ、転校してきたから分からなくて当然か。」
いやいや、確かに一部屋二組って言ってたし同室者いるのは分かってたよ。分かってたけど、嫌な予感がするんだよね…
「藤野が今日から住む507号室の同室者はな……____」
「濱田さん」
濱田さんの背後から聞き覚えのある声がした私は、完全に思考回路が止まっていた。
(思い出した……藤野スピカには同室者がいて、その同室者が……__)
「………そいつ、誰ですか?」
私の同室者であろうその人は、私を捉えて訝しげな顔をする。
「今日転校してきた藤野スピカで、お前の同室者だ!」
「転校生…………ああ、思い出した。俺のクラスに転校してきた奴か」
濱田さんがそう言い放つと、その人は私をジロジロみて、へぇ~とニヤリ、妖しい笑みを浮かべる。
「俺の名前は、香月ミナトだ。」
藤野スピカの同室者で由奈の攻略対象の一人でもある___香月ミナトが立っていた。
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