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第1章:第1節
攻略対象二人目 香月ミナト
しおりを挟む数分後、私は香月と共に507号室に入る。
部屋は2DKで玄関が近い順にトイレ、お風呂、洗濯機が並べておりその奥にはリビングがある。
そのリビングの向こうに二つの扉が目に入る。恐らく自分たちの個室だろう。
____香月ミナト、栖蘭学園の三年生で由奈の攻略対象の一人
身長172㎝でやや高身長。漆黒の黒髪に細めのアクアマリンの瞳、スラッとした体で野性的でありながらどこか気品を漂わせる俺様系男子
そして私の中で香月は、一番厄介なキャラである。
(凪以外の攻略キャラとまだ出会ってないのに、凪の次に香月に出会うなんて……)
私は心の中で不安の念に駆られていた。
なんせ香月の話の最後に私がヴァンパイアハンターとバレる前提で、由奈の選択肢によってエンドが決まる。
選択を間違えると私は殺されて、バッドエンドに向かう。
因みに前世では、香月はNo.1でその次が私が推してるキャラ、No.3が凪。
「改めて言うぜ。俺は香月ミナト、この部屋の同室者でお前のクラスメートだ。」
香月は手を出し握手を求める。
「改めまして、藤野スピカです。よろしくお願いします。」
私は恐る恐る手を差し出し、香月と握手をする。
すると香月は一瞬、目を見開き私をジッと見つめる。そして何を思ったのか…
「………やっぱりな」
そう口にする。
(何が、"やっぱり"なんだろうか……)
その言葉を聞いた私は何故かゾワーッと一瞬、悪寒を感じ、聞いてはいけない気がして私は敢えてスルーした。
「ところで、香月君。僕の部屋は………」
「ミナト」
「………はい?」
「はい?…じゃねぇよ。俺のこと、ミナトと呼べよ」
話逸らそうとしたら、僕の部屋はどちらですかと言い切る前に、香月が下の名前を呼ぶよう、要求される。
またこのパターンですか………
「えっと……ミナト君、僕の部屋はどちらですか?」
「俺の部屋は左だから、お前の部屋は右だ。」
そう言われたので私は右側のドアに行こうとした時、ちょっと待てと呼び止められる。
「……その喋り方やめろ。癪にさわるし、マジウザい。」
「……この喋り方は元々です。」
「その喋り方って……演技だろ?」
その真剣な眼差しを見て私はゾクリと戦慄する。香月のアクアマリンの瞳の奥に私のことを見透かされてる気がして…
「……何を言いだすかと思えば。あなたは、初対面の人にそんなことを言ってるんですか?」
私は悟られたくなくて平然なふりをする。
「……………」
「……………」
暫く二人の間に沈黙が続く。その沈黙を破ったのは香月だった。
「ま、しばらくはお前の演技に付き合ってやるよ。」
「僕は演技だと一言も………」
「…………それともお前の秘密を暴露した方がお望みか?」
「っ!?」
さっきまで私の目の前にいたはずの香月がいつの間にか私の隣に立っていて、右腕を掴まれて左手で私の左肩を抑え、耳元で囁く。
(な、な、な、な……!?///)
あまりの衝撃に私は思わず……
「……何僕の隣に立ってるんだ!!貴様は!!///」
「ぐはっ!?」
空いていた左肘で香月の鳩尾を思いっきり喰らわせた。
「いたたた……」
人間なら最悪気絶するであろう鳩尾を喰らわせても、香月は言葉を平然と発している。流石ヴァンパイアと言うべきか……
(……って、何感心してるんだ!)
「そういうのは、女にやれ!男である僕に耳元で、ハスキーボイスで囁くんじゃねぇ!!///」
そう言い放った私は、顔を真っ赤にしながらリビングの奥にある右側のドアを思いっきり開け閉めた。
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