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第1章:第2節
七海とアロマ
しおりを挟むその後私はミナトに"お仕置き"という行為により首筋だけでなく、色んなところにミナトによって牙を突きつけられ、貧血気味になっていた。
「うっ…………」
私は今学生寮に出て、近くのコンビニにいる。
勿論、学生寮を出入り時は一つ縛りで眼鏡を掛けている。
コンビニに来た目的は、鉄分が多く含まれてるサプリを買うため、だ。
(このままだと、身がもたない……)
昨日吸われて今日も吸われているのだ。
この調子だといつミナトに私がヴァンパイアハンターと気付かれるか、たまったもんじゃない。
(ま、ミナトルートはどっちにしろ、最終的に私がヴァンパイアハンターだとバレるのだから、意味ないんだよね…)
「……藤野先輩?」
ハァーとため息を吐きながら憂鬱になっていた時ふと、声がしたので私は振り返る。
「七海君」
そこには、グレーのパーカー着に白シャツ、黒のジーンズとラフな格好をした七海君が立っていた。
「奇遇、ですね。藤野、先輩に、会える、なんて………」
七海君は相変わらず、オドオドしく喋っていたが昨日と違ってどこか雰囲気が変わっていた。
「七海君、何か嬉しい事があったんですか?」
「えっ?」
「何と言いますか……昨日と違って、言葉を途切れる回数が減ったと思いまして」
「あっ…………」
私は思ったことを淡々と口して、クイッと眼鏡をあげる。すると七海君は驚きを隠せず、目を見開く。
「よく、見てるん、ですね。昨日初めて、会った、ばかりなのに………」
「まぁ、洞察力が聡い方ですので。」
そう言いながら私は、サプリを手にしてレジを済ませた後、七海君と外に出る。
「実は、僕の行きつけに、行く店が、あるんですが、やっと、お気に入りの、アロマが、手に、入ったんです。」
「アロマ、ですか。」
(そういえば昨日、凪がアロマは七海君の趣味だと言ってたな)
よく見ると、七海君の手元には紙袋が持っていた。恐らく七海君の雰囲気が変わったのは、お気に入りのアロマをやっと手に入れられたからか。
「僕、アロマが、好き、なんです。アロマは、色んな、匂いがあって、色んな、効果もあって、心を、癒したり、体を、リラックス、したり、肌にも、いいんですよ。」
「……昨日、リビングに柑橘系の香りが漂っていました。あれ、正確に何の香りなんですか?」
昨日凪と七海君の部屋のリビングには柑橘系の香りが漂っていた。確かに柑橘系ではあったが、オレンジではなかった。
「あれば、ですね。カボスと、柚子を、ブレンド、したもの、です。」
「なるほど、ブレンドですか。」
それ聞いた私は納得する。
同じ柑橘系でミカン科でもあるから、カボスと柚子の相性は抜群だ。
「確か、カボスと柚子の効能はどちらも怒りやイライラを解消して、リラックスさせる効果があるとか。」
「確かに、心への、効能は、どちらも、同じです。」
そして七海君と話を弾んでるうちに学生寮へと辿り着く。
「あ、あの、藤野先輩!」
「なんですか?」
「今度、お詫びを、させてください。」
「お詫び?」
学生寮の門をくぐり抜けた辺りで七海君が急に真面目な話に入ったので、私は立ち止まる。
「昨日、藤野先輩が、質問、されて、図星を、突かれた時、僕、怖くなって、自分の、部屋に、閉じ篭って、しまいました。」
「あの時は、僕の質問の仕方が悪かったんです。凪から聞きました。貴方はとても繊細な人だと。」
「いえ、違うんです……」
七海君の真剣な眼差しは、私の瞳をまっすぐみて話をする。その目からはおどおどしさは感じられず、しっかり私を捉えていた。
「あの時の、藤野先輩は、僕のために、言って、くれてるんだと、分かって、いました。僕が、こういう、性格、だから。でも僕は、逃げて、しまいました。こんな弱い、自分が、情けなくて………」
そう話す七海君の声には震えていて、自分に対しての無力さが伝わってくる。
「でも僕、このままじゃ、ダメだと、思いました!藤野先輩の、言う通り、この性格を、治したいです!自分の意志で、ハッキリと、伝えたいです!そして、藤野先輩みたいに、淡々と、喋れるように、なりたいんです!」
それでも、彼の目からはオドオドしさは感じられなくて………
……____そして彼の褐色の瞳の奥には、固い決意を感じ取れた。
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