乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

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第1章:第4節

病室と心が読める院長(下)

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(なんで風雅さんが、臭い消しを知ってるの!?)


臭い消し……それは、ヴァンパイアハンターだとバレないようにヴァンパイアが嫌うヴァンパイアハンターから出る独特な臭いを消すスプレー。


なんでもヴァンパイアハンターの匂いは、一番クサイ花と言われているラフレシアのように強烈で鼻がもげる匂いらしい。


「ここまで言えば、頭の良い君なら分かるんじゃないかな。わたしの能力を。」


そう言われてハッと我に返って、風雅さんをマジマジと見る。


「風雅さんって…………心の声が聞こえるんですか?」
「正解、ということにしておこうか。」


まさかと思い、風雅さんに問い出したら風雅さんの顔つきがニコリと笑みを浮かべる。




「わたしはね、他人の心が読めるのだよ。」


風雅さんは、見透かされたその瞳で私をジッと見た。


「昨日の夕方、凪君が血相変えて負傷した君を背負って、わたしのところにきた時は驚いたよ!凪君が敵である君を助けを求めてきたんだから!」


その視線を捉えられた私は、目を逸らすことが出来なかった。



「なら………敵である私を、殺しますか?今の私なら、簡単に殺せますよ?」



けど私は負けじと凍り付くような声で風雅さんを睨みつける。



「その凍り付くような声が………ヴァンパイアハンターとしての君なのかい?」


風雅さんは目を細めて、私を見返す。


「………こうでもしなければ、ヴァンパイアハンターは勤められませんから。」



私がそう言うと風雅さんは何を思ったのか、ハァーとため息を突かれる。



「藤野さん君は、囚われすぎてるようだね。」



当然、何故ため息突かれたのか分からない私は怪訝な顔つきで風雅さんを見た。



「私が、何に囚われてると言うんですか?」
「すべて、と言うべきかな。」
「…………すべて?」


風雅さんは姿勢を整えて、私を改めて見る。



「君は、ヴァンパイアハンターはこうあるべきだと思ってるようだ。どんな状況に陥っても常に冷静沈着で取り乱すことなく、次の行動をうつす。」
「……それが、何か?」
「私から見て君はどうも、無理してるように見えるんだよ。」
「…別に私は、無理などしておりません。」



風雅さんは目を逸らさず、真剣な眼差しをするが、哀しげな表情を見せる。



「その性格も喋り方も、自分がヴァンパイアハンターだと自覚するための演技じゃないのかね?」


真剣な眼差しの奥には私のことを見透かすように、同情が見え隠れする。


何故敵である私にそんな表情を見せるのか、理解出来なかった。



「……おっと、もうこんな時間か?」


風雅さんは右腕にはめてる腕時計を見て、立ち上がった。


「わたしが渡したその臭い消し、使ってみるといい。君自身から出る匂いも消えるようにしてあるからね。」


そう言って風雅さんはドアを引いて、病室から出て行く。


「……………」


私は渡された臭い消しを手にジッと見る。



(私自身の匂いが消える、本当かな………?)



振り返ってみると、攻略対象達にヴァンパイアハンターであることには気付いてないものの、私から甘い匂いがするらしく何かと絡んでくることが多かった。



(でも私自身の匂い消えるのなら有難いことだよね。それに、今使ってる臭い消し……私の部屋に置いて来ちゃったからな。)



取り敢えず私は、風雅さんに渡された臭い消しを使った。



私自身はその匂いが消えてるかどうかは分からない。



(少し、横になろうっと………)



私は再び、仰向けになって窓側に体を横たえる。



(授業の内容、誰かに見せて貰おう……)



そして私は目を瞑り、授業のことを思いながら眠りに就いた。








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