乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

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第2章:第1節

ヴァンパイアハンターの能力発動!

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勉強会の後、レオン君と神無月は階段を降り、私とミナトは階段を上ってそれぞれの部屋に戻って行く。


夕食はとっくに済ませていて、部屋に戻った時には夜11時を過ぎていた。


「ハァー、七海のあれはマジで焦ったぜ!」


ミナトはため息を漏らし、頭に手を置いて掻く。


「ま、バレてはいないので良い方ですよ。」


確かに私も七海君の質問を聞いてバレるのでは無いかとヒヤヒヤしていたが、神無月のフォローのおかげでバレずに済んだのだ。


「お前、もう少し危機感を持てよ。」


ミナトは真剣な表情で私のところに歩み寄る。


「…………お前が女だと知ってんの、俺だけなんだから。」


そう言って、ミナトの手が壊れ物をそっと優しく触るように私の頬を触れ、私を見るミナトの眼差しの奥には不安がチラつかせていた。


「ミナト…………?」


何故不安そうな眼差しで私を見るのか、キョトンとした目で気になっていた。


「香月先輩!話があるんすけど、出てくれないっすか?」


ふと玄関の向こう側から、神無月の声が聞こえる。


「ミナト、呼んでいますけど…………」
「…………ああいうのは、無視が一番だ。」


無視は駄目でしょ、と私は心の中で呆れていたがミナトは頬に手を添えたまま私をジッと見つめる。


「香月先輩、いるのは分かってるんすよ。どうせ、男であるスピカ先輩にあんなこととかこんなことをしてるん…………」


ミナトは即座に私を離れて、玄関のドアを思いっきり開けた。



「やっぱりいるんじゃないっすか。居留守使うの良く無いっすよ。香月先輩♪」
「………テメェ、何勝手にありもしねぇことを言いだすんだ!!」


神無月はおどけた顔をすれば、ミナトは剣幕な顔で神無月を睨み付けた。


「えっ?違うんすか?てっきりその最中かと思いましたよ。」
「……んなわけねぇだろ。俺ら男だぞ!」
「男同士でも行為してる人いますって。ま、いくら俺でも………男同士の行為は見たく無いっすけど。」


私はチラッと玄関に向けて、顔を出す。それに気付いた神無月は笑みを浮かべてミナトに視線を戻した。


「……ここじゃアレなんで、屋上に行きません?」


そう言う神無月の顔は何処か真剣な表情に変わっていき、それを見たミナトは分かったと渋々返答して、私に部屋にいろと言って、神無月と一緒に屋上へと行く。


玄関のドアをガチャリと閉めて私一人になり、自分の部屋に入っていく。


(ここ来ておよそ一ヶ月、未だにイベント発生してない……)



私は枕元に眼鏡を置いてベットにダイブしてゴロリと横に向きを変える。


(もしかしたら、私の見てないところでイベント発生してるかもしれないけど、何らかしらの拍子はあるはずなんだよね……)


横向きのまま、窓越しにある夜景を見ながら腑に落ちない顔で考えていた。


(うーん…………私何処かで見落としてるのかな?)


私は顎に手を置いて頭を賢明に使い、思考しながら考えて声を唸り出し始める。だが、いくら考えてもそれらしきものは心当たりあらず、私は行き詰まっていた。


(考えても仕方ない、シャワー浴びてこようっと)


私はヒョイっと体を起こし、クローゼットの引き出しから数枚のタオルと着替えを取り出し部屋を出て、お風呂場へと向かう。


ガチャリとお風呂場に着いた私は鍵を掛けて服を脱ぎ、シャワーを浴びる。


シャワーを浴び終えた私は体から滴る水をタオルで拭き取り、ルームウェアに着替えお風呂場から出る。


「……………」


自分の部屋に入る直前にふと、何かの気配を感じた私は目を細め顔を険しくなる。


(この匂い、六人以外のヴァンパイアか………)


どうやら私の背後には、攻略対象以外のヴァンパイアがいるようで私は気付かないフリをする。


「………………」
「…っ!?」


そして背後にいるヴァンパイアに私は動きを止めて見せ、後ろに振り返った。


「…………運が悪いようですね」


凍り付くような声で氷のような眼差しでそいつに目を向ける。


「見たところ、君は中級のヴァンパイアのようですが。」
「っ!?き、貴様、ヴァンパイアハンター、か…………!!」



男は私の匂いに気付き、顔が歪み始めていた。シャワーした後だから臭い消しの効果が消えてるのは当然だ。


「今さら、僕がヴァンパイアハンターと気付いても遅いですよ。」
「か、体が………動けない………!!」
「無駄です。動かすことは不可能ですから」


男は顔を歪みながらも体を動こうとするが、ヴァンパイアハンターの能力により金縛りにあったかのように体は動けず、ピクリとも動かすことが出来ない。


「さてと、何故君はヴァンパイアハンターである僕を襲ってきたのか、教えていただけますか?」
「だ、誰が貴様なんかに…………グッ!?」
「口答えするのなら、こうするしかありませんね。」


そう言って私はヴァンパイアを見る眼差しをスッと目を細めて、念を込める。すると男の顔がますます歪み始め、首元に手を抑えてもがき出した。



「ぐ……苦、しい…………!?」
「苦しくて当然です。僕は今、ヴァンパイアハンターの能力を使っているのですから」


男はロープに首元を縛られてるように息苦しくもがき、抵抗する。


「グッ……アッ……ア゛アッ……!!」
「僕としては出来れば、ここで死体出したく無いのです。後の処理が面倒ですし、同室者も住んで居ますから」


私は息苦しくもがき続けるそのヴァンパイアを近づき、そのヴァンパイアの顔に手を添えて、私に向けさせる。


「ア゛ッ……ア゛ッ…………!!」
「…………話す気があれば、緩めて差し上げます。」


私は恐ろしく厳粛した表情で目を細めて男に目を向けた。


「ア゛ッ……誰が……貴、様……なんかに……グッ……話す……もの、か…………!!」


それでもそいつはもがきながらも口を開こうとせず、穢れているものをみるように私に軽蔑な眼差しを向ける。


「…………そうですか、残念です。」
「グワァァッ!?」


私は射抜くように鋭い眼差しをして、男の目を見た。するとそいつは息がつまり、顔が破裂しそうに真っ赤になっていく。


「グワッ……ア゛ッ……ァッ………ッ…………」



そして男は暫くして、抵抗する力を尽き首元に抑えた手をダラリと下に落ちる。


私はヴァンパイアハンターの能力を解除すると、男の亡骸がバタリと崩れ落ちた。


「さてと……臭い消しを使って、亡骸の匂いを消しますか。」


ヴァンパイアハンターでこういうのは経験済みのため、死体を見慣れている私は男の亡骸を私の部屋に運び、机に置いてある風雅さんに貰った臭い消しで男から漂う死体特有の匂いを消す。リビングにも念のため臭い消しを使う。ミナトに気付かれないようにするためだ。


(時間はもうすぐ門限だから外に運び出すのは不可能……)


チラッと時計をみると午後11時55分で門限が近くなっていた。



(なら、ミナトが帰ってきて寝静まってから、屋上に置きに行こうっと………)


それから数分後、ガチャリと玄関のドアが開ける音をして隣の部屋にミナトが入ったことを確認した私は、皆が寝静まった時間になった頃に亡骸を運び出し誰も見られないように、屋上のドア付近にある裏側にそっと置いた。


(本当ならば、土に埋めてあげたいけど出来そうも無いからな…)


私は男の亡骸を見て顔を曇らせ、何も無かったかのように前に向き、自分の部屋へと戻って行った。






 
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