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第2章:第1節
憂鬱な心境と初めての感覚
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学生寮に戻った私は部屋に入って、動きやすい格好に着替えて一旦507号室に出て、屋上へと向かう。
ガチャリと屋上のドアを開けてフェンスまで歩み寄り、フェンスに腕を置き、夕陽に染まる空を見上げ、たそがれていた。
「………藤野先輩でも、そういう顔をするのですね」
ふと流暢な落ち着きのある声に私は、声がする方に向ける。
「千夜君」
そこには眼鏡越しから健気な眼差しで私を見る葵君が立っていた。
「僕のことは葵と呼んで頂ければ光栄です。」
葵君は私の隣に歩み寄り、自身の体をフェンスに寄りかかる。 私は正面に向き、再び夕陽に染まる空を見上げる。
「葵君って、大人びてますよね。一年生とは思えないですよ。」
「…………この性格は、家系絡みですから」
葵君は眼鏡のフチを人差し指で抑えながら、クールに淡々と喋る。
(家系、ねぇ…………)
私は葵君がどんな家系か知っている。彼は千夜家という主人を服従する執事やメイドの一族であり、お姉さんとお兄さんの三人兄弟で末っ子にあたる。
中でも三人兄弟の中で葵君のお兄さんで長男、黒(コク)はヴァンパイアの王____ウォルフレッドを服従している。
ゲーム上では、名前や会話は表記されているが容姿や声は分からないため、名前は知っていても顔が分からないのでは初対面とほぼ変わらない。
「そういう藤野先輩は…………」
と私に目を向けて何かを言いかけたのだが、凛とした顔立ちが難しく考えるような顔に変わっていく。
「…………僕が、なんですか?」
「………いえ、なんでもありません。」
私は葵君に目を向けて投げかけると一旦咳払いして、凛とした顔立ちに戻っていく。
(あの葵君が言葉を言い淀むなんて珍しい…………)
葵君の性格上、例え小さな疑問でも思ったことは口に出すタイプで今のように言い淀むことは無いのだが……____
(彼にも言い淀むってことは、私には言いづらいことだろうか……?)
攻略対象の中で彼は空気を読める資質があり、負の空気なら絶対口に出すことは無い。相手のことを思っての行動だからだ。
(負の空気でもヤバイ状態の場合は別だけど……)
「それより、507号室に人が立って居たようなので部屋に戻ってみて下さい。」
「え?」
「僕が部屋出た後に507号室の前で、オドオドしそうに立っていたので…………」
「分かりました、すぐ戻りますよ。」
オドオドしいと聞いた私は、その人物が七海君だと分かり体の向きを変えた。
「では僕はこれで失礼しますよ。またこうやって話せればいいですね。」
「…………何故ですか?」
「学校ではお互い、中々会える時間がありませんから」
私は葵君に一言残して屋上のドアを開けて、部屋へと戻っていった。
※※※※※※※※※※
屋上にて一人残る千夜葵は考えていた。
「何故僕はあの時、言いかけるのを躊躇したのか…………」
誰もいない屋上でボソッと独り言を呟く。
(この気持ちはなんなんでしょうか?初めての感覚です)
葵は今まで味わったことのない感覚に戸惑いを感じていた。数分しか交わしてないはずなのに先程を思いだすだけで心臓がバクバクと高鳴っていた。
(藤野先輩は、有力候補外のはずなのに…………)
自分の胸に手を当てて、ゆっくりと自身の鼓動を聞く。
(カイトが藤野先輩に興味を示したのは彼……いいえ、"彼女"が女性であるだけかと思ったのですが、それだけではない気がします……)
彼は藤野スピカを既に調べており、神無月が興味を示してることは女性ではないのかと疑惑を抱いていたが、隣の507号室にて初めて藤野スピカに会った時に女性であることが確信したのだ。
(もう少し、"彼女"のことを知る必要がありますね)
決意の意を込めた顔で屋上のドアまで歩み寄り、部屋へと戻っていったのだった。
ガチャリと屋上のドアを開けてフェンスまで歩み寄り、フェンスに腕を置き、夕陽に染まる空を見上げ、たそがれていた。
「………藤野先輩でも、そういう顔をするのですね」
ふと流暢な落ち着きのある声に私は、声がする方に向ける。
「千夜君」
そこには眼鏡越しから健気な眼差しで私を見る葵君が立っていた。
「僕のことは葵と呼んで頂ければ光栄です。」
葵君は私の隣に歩み寄り、自身の体をフェンスに寄りかかる。 私は正面に向き、再び夕陽に染まる空を見上げる。
「葵君って、大人びてますよね。一年生とは思えないですよ。」
「…………この性格は、家系絡みですから」
葵君は眼鏡のフチを人差し指で抑えながら、クールに淡々と喋る。
(家系、ねぇ…………)
私は葵君がどんな家系か知っている。彼は千夜家という主人を服従する執事やメイドの一族であり、お姉さんとお兄さんの三人兄弟で末っ子にあたる。
中でも三人兄弟の中で葵君のお兄さんで長男、黒(コク)はヴァンパイアの王____ウォルフレッドを服従している。
ゲーム上では、名前や会話は表記されているが容姿や声は分からないため、名前は知っていても顔が分からないのでは初対面とほぼ変わらない。
「そういう藤野先輩は…………」
と私に目を向けて何かを言いかけたのだが、凛とした顔立ちが難しく考えるような顔に変わっていく。
「…………僕が、なんですか?」
「………いえ、なんでもありません。」
私は葵君に目を向けて投げかけると一旦咳払いして、凛とした顔立ちに戻っていく。
(あの葵君が言葉を言い淀むなんて珍しい…………)
葵君の性格上、例え小さな疑問でも思ったことは口に出すタイプで今のように言い淀むことは無いのだが……____
(彼にも言い淀むってことは、私には言いづらいことだろうか……?)
攻略対象の中で彼は空気を読める資質があり、負の空気なら絶対口に出すことは無い。相手のことを思っての行動だからだ。
(負の空気でもヤバイ状態の場合は別だけど……)
「それより、507号室に人が立って居たようなので部屋に戻ってみて下さい。」
「え?」
「僕が部屋出た後に507号室の前で、オドオドしそうに立っていたので…………」
「分かりました、すぐ戻りますよ。」
オドオドしいと聞いた私は、その人物が七海君だと分かり体の向きを変えた。
「では僕はこれで失礼しますよ。またこうやって話せればいいですね。」
「…………何故ですか?」
「学校ではお互い、中々会える時間がありませんから」
私は葵君に一言残して屋上のドアを開けて、部屋へと戻っていった。
※※※※※※※※※※
屋上にて一人残る千夜葵は考えていた。
「何故僕はあの時、言いかけるのを躊躇したのか…………」
誰もいない屋上でボソッと独り言を呟く。
(この気持ちはなんなんでしょうか?初めての感覚です)
葵は今まで味わったことのない感覚に戸惑いを感じていた。数分しか交わしてないはずなのに先程を思いだすだけで心臓がバクバクと高鳴っていた。
(藤野先輩は、有力候補外のはずなのに…………)
自分の胸に手を当てて、ゆっくりと自身の鼓動を聞く。
(カイトが藤野先輩に興味を示したのは彼……いいえ、"彼女"が女性であるだけかと思ったのですが、それだけではない気がします……)
彼は藤野スピカを既に調べており、神無月が興味を示してることは女性ではないのかと疑惑を抱いていたが、隣の507号室にて初めて藤野スピカに会った時に女性であることが確信したのだ。
(もう少し、"彼女"のことを知る必要がありますね)
決意の意を込めた顔で屋上のドアまで歩み寄り、部屋へと戻っていったのだった。
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